第6章 メルベイユ王国
4人はメルベイユ王国に来ていた。
船や他の乗り物も乗らずに来たのだ。
「さすがの俺もお前らの体力には驚きだぜ」
4人はマジカール王国から飛んできたのだ。
マルスの背中にハニーを乗せ、ジュピターの背中に翔を乗せ、途中イザムラ国とサイエンス王国で休憩をしたが、それでも5日でマジカール王国からメルベイユ王国まで来たのだ。
「初めてマジカール王国からイザムラ国に行った時は、地図が小さいから海というのも狭い物だと思っていました。けど、いざ渡ったらあまりの広さに驚きでした」
少し疲れた顔をしているがマルスは笑顔でそう言った。
町に行く前にハニーはある物を皆に渡した。
それはマジカール王国だけでなく、この世界全ての言葉が話せる超ホンヤックの実だ。
そして4人は宿を捜し歩いた。
すると二十代前半の青年にハニーがぶつかった。
「すみません。大丈夫でしたか?」
と、優しく手を差し伸べるハニー
「こちらこそすみません」
青年はなかなか感じのいい青年であった。
だが、彼は何者かたちに追われていた。
「見つけたぞ」
「何だお前ら?」
挑発的な態度の翔。
「旅の者か?おとなしくその男を渡すのだ」
六十代~七十代くらいのお年寄りがそういってきた。
「彼は悪魔に取り付かれておる。今はおとなしいが夜になると……特に満月の夜などは大暴れをするのだ」
「ふ~ん。なら俺が大暴れしてやろうか?」
「うっ……皆の者、今日は引きましょう」
8人くらいの集団はおとなしく去っていった。
「よろしいのですか?」
「今宵は満月。あの者たちもアイツが悪魔になったら、おとなしくするだろう」
「はい」
「(しかしさっきの少年、何て恐ろしい目をしておるんじゃ。まさかあの者も悪魔に……)」
4人は青年の家でお礼の昼食をいただいていた。
「うまかった~」
「本当ですね」
「ご馳走様」
「あのう、あの者たちは何者ですか?」
と、ジュピターが聞いた。
「悪魔祓いです」
一瞬険しい顔で彼はそう言ったが、すぐに微笑み自分の名前を名乗った。
「ゴットン・シェン・ロールです」
「どうも、大空翔だ」
「織田ハニーです」
「マルスです」
「僕はジュピター」
「私は夜になると悪魔に取り付かれるみたいなのです」
「えっ?」
「ですから、日が暮れる前にはお引取りを。いい宿屋を紹介します」
その言葉を聞いて翔が黙っていない。
「悪魔!?おもしれ~」
「何を言っているのですか!私は……悪魔はこの村人たちを何人も殺害したんですよ」
「なら、何故あの悪魔祓いから逃げた?」
「あの方たちでは私の中の悪魔を退治できない。だから、誰か私を救ってくれる人を探すために逃げたのです」
「救ってやれるかは分からんが、悪魔を退治してやろうか」
「私を殺してくれるのですか」
「いや、俺はただ、悪魔と戦いそして勝つ」
「(何だこの少年の目は……もしかしたら本当にこの人なら)」
そして昼から夜へ
太陽から月へと変わった。
ゴットンが苦しみ始めた。
「マルス様いいのですか?」
「兄上たちと戦う前に、あの方がどれほど強いかもう一度確かめたい」
「うお~!!!」
「ゴットンさん」
ハニーが叫んだ。
「俺様はゴットンじゃね~」
さっきまで穏やかな顔をしていたゴットンだが、今は恐ろしい表情へと変貌した。
「俺様の名はマージュ・ピコールだ」
と、彼が言った瞬間翔がゴットンを……マージュを殴った。
「お前が悪魔となった時から勝負は始まったんだよ」
「フッ……面白い餓鬼だ」
「てめ~が悪魔なら俺は修羅だ」
悪魔に乗り移られたゴットン。
修羅へ覚醒した翔。
果たして勝者は悪魔かそれとも修羅か。
激しい戦いはもう始まっている。