第1章 戦いを求める者
「しかし、まだ信じられんな~。お前が生きていることに」
そう言ったのは、左頬に傷があり、髪を金髪に染めた17くらいの少年だった。
「俺がアンタの親父を倒すつもりだったのに……なあ、ハニー」
「私も驚いています。まさか貴方がこの時代にいるなんて……」
「お前の親父のタイムマシンにしがみ付いていたんだが、手を離してしまい、そのまま時空に流され、この時代に来ちまった。それにしても80万年後の未来が魔法世界になっているとは……魔王やサイエンス星人とも戦いたかったな。俺は……天神流の継承者は、皆修羅になるからな」
「翔さん」
織田ハニーと話していたのは、22世紀末の天神流25代目継承者、大空翔であった。
彼は織田軍を追ってタイムマシンにしがみ付いていたが、手を離してしまい、そのまま時空に流され、織田軍やサイエンス星人との戦いから10年後の時代にたどりついたのだ。
「さて、まずコンドン夫婦に喧嘩を売るか」
「えっ?」
「言っただろう。俺は修羅だ。戦いの中でしか生きられない。さあ、案内してもらおうか」
「……」
ハニーは止めようとしたが、彼がどういう人間か知っているため、止める事ができず、二人はそのままロウやレイカ、さらにソージョーやロージアがいるカーワ村に向かった。
カーワ村……
ロウとレイカは結婚し、幸せに暮らしていた。
二人が結婚した後、ソージョーとロージアも結婚し、幸せに暮らしていた。
ロウとソージョーは畑仕事をしていた。
そして夕方になると、レイカとロージアが迎えに来るのが日課だ。
「二人とも、お疲れ様」
レイカが微笑みながらそう言った。
そして4人が帰宅しようとした時、ハニーと翔が現れた。
「ハニーさん!」
「お久しぶりです。皆さん」
「あれ、その人は?」
ロウがハニーに聞いた。
だが、彼の中の25号の記憶が、ふと蘇る。
「翔さん!?」
「何だ?ロウ、知っているのか?」
ソージョーがロウに聞いた。
「僕自身は知らないが、僕の中の25号が知っているようなんだ」
ハニーは4人に大空翔のことを説明した。
「じゃあ、コイツも過去から来た人間なんだ」
と、ソージョーが言った。
「はい」
「そして、僕たちに戦いを挑んできたんですか」
と、ロウが言った。
「は、はい……」
「ロウだったよね。アンタあの25号の記憶があるんだろう。なら、俺がどういう人間か知っているよね」
「えっ、ええ……でも、僕らは無意味な戦いはしたくないのです」
「ふーん。25号は強かった。敵だったけど、嫌いじゃなかった。たぶんアイツも俺を気にいっていた。天神流を奴は独学で研究していた。奥義だけじゃなく神技まで……アンタ、俺でも使えなかった神技一天波を使ったんだろう。あれを使った継承者は、開祖の天神斎と18代目の神威龍一だけなんだけどね」
「あの時は夢中で……」
「まあ、戦う気が無い者と戦っても意味が無い」
「すいません」
「まあ、その気になったら、戦ってくれ。(あんたらも戦いの中でしか生きられない、ならば……)あと、ハニーをよろしく」
「か、翔さん、どこへ?」
「ん?強者を求めて旅してくる。お前も幸せになれよハニー」
「えっ!」
「(会えて嬉しかったぜ。幸せになれよハニー)」
こうして翔は旅に出た。