第16章 翔女に戻る
ある場所で、ついに魔王が蘇った。
「貴様らか?俺様を蘇らせたのは?」
「そうだ」
「何故だ?」
その言葉にアポロンは薄っすら笑った。
「魔王の全てをもらうためさ」
「何?」
そう言って、お互い吸収の術を使い始めた。
「餓鬼が俺様を吸収できると思うなよ」
「もう魔王の時代は終わっているんだ」
その頃翔たちはリーザ団を見事鎮圧し、町の英雄になっていた。
だが、新たな事件が起きた。
翔の様子がおかしいのだ。
3時間くらい前に、ある人に手紙を出すついでに、ロードワークに出かけて、帰ってきたのだが、彼女の様子がおかしいのだ。
「翔さんがどうかしたのですか?」
と、仲間に聞くゴットン。
彼も教会へ出かけていたため、翔の様態を知らない。
「翔さんが、翔さんじゃなくなってしまわれたのよ」
と、マルスが言った。
「はあ?」
その時、ニーナの服を借りて、化粧までした翔が二階から降りて来た。
誰もが驚いた。
「どう似合うかしら?」
「翔さん!」
「ヴィーナちゃん、私の名前は佐奈、楢崎佐那よ」
「どうなってしまったんだ。25代目」
「半次郎さん、私もあなたと同じ。戦いなんてもうしないで、恋をして平和に生きるの」
「本気か?」
「もちろんよ」
翔……いや佐奈の姿を見て一人だけ、違う目線で彼女を見ていたものがいた。
バータの息子のマーキュリーだ。
彼は共に風呂に入ったときから、彼女に好意を持ち始めていたのだ。
「(綺麗です。ああ、でもこの想い臆病者な僕には伝えれない)」
さらに気になるのが、彼女が手紙を出した相手が誰なのかも謎だ。
彼女に聞いても「ひ・み・つ」としか言わないのだ。
だが、その時、ゴットンが何かを思い出した。
「もしかしたら、巨人の近くにある水道水を飲んだのかも知れない」
「どういうことですか?」
と、マルスが聞いた。
するとニーナが答えた。
「巨人の近くに一つだけ呪いの掛かった水があるのです。私たち地元の者はその水の正体を知っているから、誰も飲みませんが、よその方はよく飲んでしまうんです。もちろん壊そうという声もあったがのですが、呪いが掛かっているため、そのままにしてあるのです」
「それで、その水を飲むとどうなるのですか?」
と、ジュピターが聞いた。
「人によっては男なのに女と思い込んだり、また、他にも自分が最強だと思い込んだりするようです。翔さんの場合は女を捨てたはずが、水を飲んだため、今は自分が完全な女性だと思い込んでいるようです」
「直す方法は分かりますか?」
と、マルスが聞いた。
「分かりません。ただ、自然に治った人も何人かいます」
「じゃあ、自然に治るのを待つしかないのね」
「はい」
魔王が復活したのに、翔が戦いを嫌う女性になってしまった。
果たして彼女は元に戻れるのだろうか?