第15章 魔王復活
占い師探しは他の者たちに任せ、翔は人気のない所で、マーキュリーに稽古を付けていた。
「(オッサン……アンタがいつか人間らしくなったら、名乗るんだよな。俺もその時までに、コイツを少しは強くしとくよ)」
「ハアハア……」
「どうした!もうお終いか?そんなんじゃ俺たちのように強くなれんぞ!」
「は、はい」
マーキュリーにはアポロンたちと戦うため、強くしてやると翔は答えていた。
「クソ!」
「ほらほら、もっと腰を入れて」
「ハアハア……」
「今日はここまでにしよう。お前風呂に入って来いよ」
「は、はい」
ザブーン!!
と背中に湯をかけ、風呂の中に入っていった。
その時、翔も入ってきたのだ。
マーキュリーもすでに彼女が女だと知っている。
「何だ?何恥ずかしがっているんだ?」
「えっ……それは……」
「ハッキリいいな」
「スイマセン。女の方と一緒にお風呂なんか入ったことないから」
「お前、チェリーか?」
「はい」
「まあ、いい。悪いが俺の背中洗ってくれるか?」
「は、はい」
彼女の背中には闘神阿修羅が彫られている。
「これがあしゅら……」
「ああ、武器も持たず、戦いに身を置く神だ」
マーキュリーはしばらく阿修羅の入った翔の背中を見ていた。
だが、彼が一番気になるのは背中の阿修羅ではなく、翔の胸元だ。
「(柔らかそう)」
「どうした?」
「い、いえ」
「俺の胸でも触りたいのか?」
「はい!」
と、勢いよく返事をしてしまった。
「クスッ……お前素直で可愛いな」
「えっ?」
翔は彼の両腕を握り、自分の胸を触らせた。
「柔らかい」
「もっと強く揉んでいいぜ」
「は、はい」
マーキュリーは翔の前へと体勢を変えた。
「ん、舐めてもいいですか?」
「どうぞ」
翔のおっぱいを優しく吸うマーキュリー。
その姿は赤子のようであった。
そして翔は優しく見守った。
いつもは修羅のような表情をしているが、この時だけは菩薩のような顔をしていた。
そして、とある場所では……
連れてこられた男はすでに骸となっていた。
死者復活の術を始めてから1週間くらい経っていた。
魔方陣の上には男が一人裸で座っていた。
そう、ついにアポロンたちは魔王を甦らせたのだ。
ヴィーナが蘇ったため、彼女を吸収する前の姿だが、まぎれもなく、ビルダー魔王だ。