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第12章 父を探す少年

町から少し離れたところ


修羅と夜叉の戦いが始まった。

だが、半次郎は刀を抜かず鞘だけで戦っていた。

この戦いをハニー以外の戦士と、ニーナは静かに見守った。


「どうした岡田、いい加減刀を抜きなよ」

「僕はもう人斬りじゃないんで」

すると翔は日本語でこう彼に言った。

「アンタが人斬りをやめたのは、あのニーナって娘に一目惚れしたからだろう?」

その言葉に岡田の顔が赤くなった。

「そうですよ。僕は魔法世界ここに来るまで、人を斬る事に歓喜してました」


岡田が初めて人を斬ったのは彼が16歳の時だ。

ある男に、自分の武術の師匠を殺され、仇を討ったときが最初出会った。

師匠の刀を持ち、その刀で師匠を殺した相手を斬り殺した。

その後彼は、人を斬る事に歓喜を覚え、大金さえ出せばどんな相手でも斬り殺してきたのだ。

ジャッキー・リーを除いて唯一殺せなかったのが天神流17代目、月形瑠奈である。


「だが、君はこんな戦い方じゃ気にいらないようだから」

そう言って、ついに刀を抜いた。

間合いを取り、正眼の構えから袈裟斬り……

と、思わせておいて、右足で鳩尾に前蹴りを放っていた。

「いいね~」

だが、翔には通じなかった。

後ろに下がり、蹴りを避けたのだ。

「刀で攻撃すると見せて、蹴り技で来るのはいいが、多くの修羅場を潜ってきた俺には通じないな」

「そうみたいだね(本気で行くよ。25代目)」

そう言って、ジョーカーの時と同じように鞘と刀を神速で真空波を作り、かまいたち現象で翔に攻撃をした。

だが、彼女は高く跳び交わした。

さらに着地をすると、神速で岡田の間合いに入り、左腕の逆関節を取り、そのまま地面に叩きつけ、同時に岡田の喉にかかと落としをしたが、岡田も紙一重で交わした。

「さすがだね~。雷鳴を交わすなんて」

「天神流の者と一度戦っているからね」

「嬉しいね~」

岡田はすぐに立ち上がった。

二人は薄っすら笑った。

だが、その時、ハニーが慌ててやってきた。

「ニーナさんのお母様が水晶玉で町の騒ぎに気づいた物だから」

「騒ぎ?」

「まだ15くらいの子が、二人の男に殴られているのよ」

「どうする25代目。僕はその現場に行くつもりだが」

「……俺も行くよ」

二人は戦いを中断し、騒ぎのある場所へ一行は向かった。


「餓鬼が調子に乗っているんじゃね~ぞ」

「す、すいません」

「声が小せ~」

そう言って男は少年を殴った。

翔たちは野次馬に何が起きたのかを聞いた。

どうやら少年はガラの悪い男から財布を掏ったのだ。

そのためもう一人のガラの悪い男と二人がかりで、殴るなどの暴行を行なったのだ。

この二人はリーザ団という地上げ屋だ。

だが、マルスやジュピターがその少年の姿を見て驚いた。

「マーキュリーちゃん」

「ヴィーナ様……」

「何だ。知り合いか?」

「はい。同じ地下で暮らした仲間です。でも、兄と共に地上へ行ったはず」

「オラ、まだこっちは許してないんだ」

「おい、あの女どもを俺たちのものにしようぜ」

「いいな~それ。ん?コイツ、ジョーカーが狙っていたニーナとかいう女だぜ」

「マジ、マブイじゃん」

だが、そんなこと岡田が許さない。

「なんだ?邪魔する気か?」

「痛い目に会いたくなければ、もう去れ。あの少年をあそこまで殴れば気も済んだだろう」

「ああ?」

その時、翔が男の一人を殴り飛ばした。

「ドード、大丈夫か?」

「あっ……あっ……い、痛え~」

「お前も殴られたいか?」

「うっ……(何だこいつの目は……)クソ!覚えておけ!俺たちリーザ団にはむかった事後悔させてやる。

そう言って二人は去っていった。

「大丈夫?」

「はい。このくらいの怪我なら自分で治せます」

マーキュリーは回復系の魔法が少し使える。

彼の夢は医者になって、自分の魔法で多くの患者を治したいという志があった。


「兄様……アポロンはどこにいるの?」

「今はどこにいるか分かりません。でもあの方はとんでもない事をしようとしています」

「とんでもない事?巨人の事か?」

と、翔が訪ねた。

「いえ、百年前に死んだ魔王を蘇らせようとしています」

「何ですって!」

「僕は地上を支配するために、アポロン様にご同行したわけじゃありません。母が亡くなる前、僕の父親がまだ地上で生きているかもと教えてくれたからです」

「地上って、どこの国にいるのか知っているのか?しかも生きているかもって事は死んでるかも知れないんだぜ。名前は分かるのか?」

と、翔が勢いよく質問してきた。

「僕がまだ生まれる直前に、母と別れたのがこの国らしいのです。名前は確か、バータ・クレス」

その名前を聞いていた野次馬の町の者たちの顔つきが険しくなった。

「何だ?あんたら知っているのか?」

「さ、さあな」

そう言って、野次馬たちは去ってしまった。


その頃リーザ団のアジトでは

バキッ!

ボコッ!

「ウッ……」

「ガハッ……」

リーザ団の頭リーザが帰ってきた二人を殴った。

「情けない人たちですね。餓鬼に舐められて帰ってくるなんて」

「スイマセン」

「そいつらに御礼をしなければいけませんね……バータ、ドードとリーアを連れて、お返ししてきなさい」

「はい」


なんとリーザ団にマーキュリーの父親と同じ名前の者がいた。

果たしてこの男こそが、マーキュリーの父親なのだろうか?



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