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「ところで正五色って、なに?」


いまいち俺はこの展開についていけていなかった。


「正五色っていうのは、もともと緑・黄・赤・白・黒を指すんだけど、普通この色は袈裟には避けて使われるの。だけどうちの門下では、最高指導者である大僧正の直属部隊の長には、この正五色の袈裟をつける特権が与えられる」


「まあ、いわばトップガン。全世界に散らばる門下1万人の上に立つ、最高エリートが正五色というわけなんです」


「なら、萌菜加はいずれお前らの上に立つ、大僧正になるんだろ? なんでお前が萌菜加の邪魔して、この道を塞ぐんだ?」


「我ら正五色の上に立つに足りる人物か否かをちょいとテストさせてもらったんですよ。正確には萌菜加さまと久太郎さんの絆をね。どうかお気を悪くなさらないでください」


善守はからからと悪びれもせずに笑った。


「なんだ? 俺と萌菜加の絆って」

いまいちよくわからず、腑に落ちない表情をしているであろう俺に、善守は軽く片目をつぶった。


「いずれわかるようになりますよ。では結界を開きます」


善守が意識を集中しはじめると、ぼうっと組んだ手が輝きだした。


「開」


一陣の風が吹き抜けた。

暖かく、優しい風。

一斉に咲き誇る桜の木々。


「ばかなっ、これは幻か?」

「いや……、そうではなく……(くれない)がいる。桜はあいつが最も好む花だから」


平安時代にタイムスリップしたかのような、壮大な寝殿造りの建物が堂々と居を構える。


降り積もる桜の花びらに埋もれるようにして、小柄な男が大の字で寝ころんでいる。

燃えるような赤い髪の男。端正な顔に十字の大きな傷跡があるが、この傷さえなければ、女だといっても通る、端正な顔立ちであった。


「おろ? これは萌菜加殿ではござらぬか。いや~奇遇でござるなあ、このようなところでお会いするとは」

よっこらしょっと、男は身体を起こすが早いか萌菜加に向かって巨大な尖槍を振りかざす。


「本当にね、何年ぶりかしら。紅」

萌菜加は後ろに飛びのき、背に背負った長刀を抜く。

激しく切り結び、火花が散る。

萌菜加がひょいと身を引いて、紅が繰り出す尖槍の先端に着地する。


「歓迎の挨拶はそれぐらいにして、さっさと神殿へと行かせてほしいの。これじゃいつまでたっても辿り着けやしない」


赤い髪の男がぷっと吹き出した。


「萌菜加殿のせっかちは、変わらないでござるなあ。昔のまんまの萌菜殿だ」


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