最後の幸福の瞬間
モーターボートに揺られて2時間、何百マイルもの大海原を越え、「人類」とトーマスはついにピクニック用の孤島に到着した。二人を降ろすと、ボートは港へと引き返し、地平線の彼方へゆっくりと消えていった。
二人はトーマスが予約していた家に着いた。人類はニヤリとして言った。
「トーマス、ここには彼女を連れてくるべきだったんじゃないか?」
トーマスは返した。
「よせよ、知ってるだろ。あいつは俺が金持ちだって知ってるから、高価な宝石だの高級車だの、際限なくねだって来るに決まってるさ」
トーマスが家のドアを開けると、人類は衝撃を受けた。内装は見事にデコレーションされ、居間の壁には「誕生日おめでとう、ブラザー」と美しく書かれていたのだ。人類は冗談で返す代わりに、トーマスをきつく抱きしめ、感極まった声で言った。
「本当にありがとう。お前たちがいてくれなきゃ、俺の人生は空っぽで、孤独にまみれてたはずだ」
トーマスは彼の背中を叩き、温かい微笑みを浮かべて力強く言った。
「お前が本当に喜んでくれたなら、それだけで価値があるさ。俺のためじゃない……お前のための日なんだからな」
一日中楽しみ尽くし、夜が訪れた。時刻は午後10時。二人は竹の椅子に座り、ビールを飲みながら海を眺めていた。トーマスが呂律の回らない声で言った。
「な、な、なあ、もしこの海が水じゃなくて、全部ビールだったらどうする?」
人類も酔った声で言い返す。
「海岸の奴らは、ワインを手に入れようと必死でタンクを引きずり回すだろうな。そ、そ、それで、魚たちは泳ぐ代わりに歩いてるはずだ」
トーマスが笑い飛ばす。
「ハッ! クジラもサメも、泳がずにケツを引きずって歩いてるってわけか!」
二人は大笑いした。短い沈黙の後、人類は海を見つめながら、ろれつの回らない声で呟いた。
「あるいは……俺たちの目から隠れた深海に、想像も絶するような巨大な怪物が潜んでいて、そいつが何万リットルものワインを飲むために目を覚ますかもな」
人類は椅子から転げ落ちんばかりに笑った。
それから数時間語り合い、二人はようやくベッドに入った。
深夜 1時:
夜が更けた頃、人類は突然、尿意に襲われて目を覚ました。彼は不快そうに起き上がり、「クソッ、行かなきゃ」と独り言を言った。表のドアを開け、外の茂みへと歩いていく。波の音だけが静かな夜を満たす中、彼は用を足した。
用を済ませたその時、ほんの一瞬、地面が震えるのを彼は感じた。彼は振り返った。二人の家から1.5キロほど離れた別の小さな島には、孤立した原子力発電所が立っていた。
人類はまだ半分眠ったまま、手で目をこすった。すると、その原子力発電所の近くの海から、非常に巨大で尖ったシルエットが立ち上がるのが見えた。まず鋭い背鰭が突き出し、続いて、高さ50メートルほどの発電所を豆粒のように見せびらかす、200メートル級の巨大で細長い影が姿を現した。
夜はあまりにも暗く、空に月はなかった。そのため、彼にはそれが一体何なのか、はっきりと見ることはできなかった。彼はもう一度目をこすり、ため息をついて言った。
「はぁ……飲みすぎたかな。あんな幻覚が見えるなんて」
人類は小さな家に戻り、ベッドに横たわると、再び深い眠りに落ちた。
今、私たちは何を見たんだ?




