破壊の始まりとなった罪
1997年5月18日
マスムは命令を受け取り、爆撃機へ向かって歩いていく。彼は機体に登り、コックピットに座る。いくつかのスイッチを入れると、ついに飛行機が起動する。スロットルを引くと、プロペラが回転を始め、ヒューヒューという音を立てる。飛行機は前進を始める。
十分な速度を得た後、機体は離陸し、飛行を開始する。離陸した瞬間、マスムは核爆弾の重さが機体を下へ引き下げているのを感じる。それは燃料と出力の消費を増大させていた。スロットルが重量で震える。マスムは困惑して言う。
「くそ……この爆弾、重すぎる。本当に10メガトンなのか……分からないな」
マスムの飛行機は、しばらくして地平線の彼方へと小さく消えていく。
4時間後…………
マスムの飛行機は、爆弾の起爆が計画されている太平洋の孤立した島から数キロの地点へ到達する。
マスムはコックピットで言う。
「司令官、到着しました。オペレーション・アシッドレインを実行しますか?」
通信装置から司令官が答える。
「島の真上に到達したら爆弾を投下しろ。ただし覚えておけ。爆発時には電磁パルスが発生する。しばらくの間、お前と我々の通信は途絶える」
マスムは答える。
「了解」
数分後、マスムの飛行機は高度10キロで島の上空へ到達する。彼の手は震えていた。そしてゆっくりと(投下ボタン)へ伸びる。
マスムは機体下部のシャッターを開き、カウントダウンを開始する。その数秒間、まるで地球全体がこれから起こることを恐れているかのようだった。
「司令官、爆弾を投下します。10……9……8……7……6……5……4……3……2……1……」
彼は(投下)ボタンを押す。爆弾は機体から分離される。そしてマスムは、爆弾に落下速度を遅らせるパラシュートが付いていることに気づく。
司令官が急いだ声で言う。
「すぐにそこから離脱しろ。そして最後の命令を覚えておけ……」
(彼は一瞬間を置き、冷たい声で続ける)
「……生き延びろ」
通信は切れる。
マスムは違和感を覚える。
「どうしてあんな言い方を……?」
だが彼は操縦に集中し、スロットルを全開にする。
一方、爆弾は落下している。高度はゆっくりと下がっていく。場面は島へ切り替わる。そこには多くの動物たちがいて、平和に生きている。その頭上から、世界を終わらせる装置が迫っていることなど、彼らは知る由もなかった。
再びコックピットのマスム。彼の手はフラップ操作に強く握り締められている。
場面は再び爆弾へ。落下開始から3分後、高度4キロに到達した時――それは始まる。
爆弾の核内部では、センサーが目覚め、通常爆薬がプルトニウムコアを圧縮し、超臨界連鎖反応を引き起こす。中性子は増殖し、温度は数百万度へと急上昇する。極低温で制御された遮蔽マイクロチャンバーは、設計されたウイルスを休眠状態に保っている。タイマーは爆発と散布システムを同期させ、火球に乗って大気へ広がるエアロゾルを準備する。
連鎖反応は制御不能となり、想像を絶するエネルギーを生み出す。
そして――
一瞬で、すべてが白に染まる。
白い閃光がすべてを飲み込む。
爆発と反対方向へ飛んでいたマスムでさえ、思わず目を閉じる。
島の動物たちは瞬時に蒸発する。
マスムは振り返る。
そこには高さ40キロにも達する、燃え上がる巨大なキノコ雲が空へ立ち上っていた。
マスムは衝撃を受け、呟く。
「な……なんだ……あれは……10メガトンには見えない……もっと……はるかに強力だ……」
数秒後――
マスムが何かを理解する前に…………
BBBBBBOOOOOOOMMMMMMMM
衝撃波が到達し、マスムの飛行機を何百もの破片へと引き裂く。機体の残骸と共に、マスムは高度10キロから急激に落下を始める。空はオレンジと白の光で満たされていた。
彼は前方に落ちてくるパラシュートを見る。空中で泳ぐように必死に手を伸ばす。高度は4キロへ落ちる。何度も試みた末、機体の破片と共に落ちていた棒を使い、ついにパラシュートを掴む。
高度1キロ――
マスムはパラシュートを装着し、開く。落下速度が減速する。
飛行機の破片が海へ落ちる。
SPLASH
SPLASH
SPLASH……
マスムは浮かぶ機体の破片の上に着地する。前を見ようとするが、光があまりにも強く、目を閉じて手で顔を覆う。そしてゆっくりと目を開く。
数十キロ先には――
高さ50キロにも達する巨大な燃えるキノコ雲が立っていた。
マスムの目が見開かれる。
そして――
放射線の波が炎の津波のように押し寄せ、マスムを直撃する。
「AAAAAAAAAARRRRAAAAAHHHHHUUUUURRRRGGGGHHHHHHHH」
マスムは叫ぶ。皮膚は瞬時に焼け、組織は蒸発し、筋肉は燃え上がる。
突然、場面はチャールズ・オッペンハイマー、大統領、司令官へ切り替わる。
彼らは200キロ離れた距離から、この爆発を飛行機の窓越しに見ていた。
大統領の顔に邪悪な笑みが浮かぶ。
「この瞬間から……我々は勝った……冷戦に」
司令官もまた爆弾の威力に衝撃を受けていた。
だが一方で、チャールズ・オッペンハイマーは罪悪感に沈んでいた。
自分が何をしてしまったのかを理解していた。
彼は震えた罪悪の声で静かに言う。
「私たちは……本当にただの爆弾を作ったのか……?
それとも……存在してはいけない何かを……
いつか世界を終わらせるものを……作ってしまったのか……」




