あれは一体何なんだ!?
嵐の一日だった。雲が空全体を飲み込み、激しい雨と吹き荒れる風、そして雷鳴と稲光が轟いていた。突然、地面がリズムを刻むように揺れ始めた。その時、「人類」と周囲の人々は、海岸の方から聞こえてくる遠く恐ろしい悲鳴を耳にした。「人類」はよろめき、「え?」と声を漏らす。周囲の人々はパニックに陥った。何が起きているのか分からず、混乱した数千人の群衆がそこに集まった。
地面の揺れは一秒ごとに激しさを増していく。例の奇妙な臭いがあまりに強烈になり、吐き気を催す者まで現れた。「人類」は、海岸から放たれる不自然で負のエネルギーのような、得体の知れない禍々しさを感じ始めていた。
突然、誰かが海岸を指差して叫んだ。「あれは何だ!?」
全員が海岸へと顔を向けた。「人類」を含むその場の全員が、驚愕し、立ち尽くした。霧の向こうに、高さ200メートルに及ぶ巨大で細長いシルエットが浮かび上がった。背中にあるあの背びれは、周囲のあらゆるビルを小さく見せ、その動きはぎこちない。霧と靄のせいで、見えるのはどす黒い影だけだったが、一つだけ確かなことがあった。それは動物などではない、怪物だ。
怪物は前進し、一歩ごとに地面を揺らしながら周囲の建物を破壊していく。その足音だけが、数キロ先まで響き渡っていた。
人々はパニックになり、悲鳴を上げた。「人類」は恐怖に震え、突然、昨夜の記憶が脳裏に蘇った。
「待て……あれは……昨夜見たのは、あれだったのか」
シルエットは進み続け、一瞬、「人類」を含む数人がその巨大な怪物を見るために振り返った。突然、巨大なシルエットを包んでいた霧と靄が晴れ、その恐ろしい顔と体が露わになった。
その全貌が完全に明らかになる前に、人々はまずその光景に反応した。全員が音もなく絶句した。突然、一人の女性が嘔吐し、ある男は地面に崩れ落ち、多くの人々が衝撃と恐怖で口を覆った。
場面は「人類」を映し出す。彼の顎は外れんばかりに下がり、目は眼窩から飛び出しそうなほど見開かれた。この激しい雨の中でも、彼の額からは汗が噴き出していた。
怪物はそこに立ち、近くのあらゆるビルを見下ろしている。その体は下から上へとゆっくりと露わになっていった。まずは胸、次に細長い腕、そして肩。さらに、むき出しの首の筋肉の中に変形した喉仏が見える、人間の喉の細部を模したような長い首。
体には皮膚がなく、むき出しの筋肉と肉、そして骨だけがあった。生きてなどいるはずのない、しかしどういうわけか存在している巨大な怪物の姿だった。
そしてついに、その顔が現れた……まず下顎、次に上顎。唇はなく、鋭い針のような歯が並ぶ、筋肉質で肉々しい顎。
顔の全貌が見える。人間のような形の額、大きな空洞の眼窩の中に宿る、呪われたような瞳。その瞳は人々を問い詰め、追い詰めるかのようにじっと見つめていた。
上下の顎には、一本が人間の二倍ほどもある針のような歯が数百本も並んでいる。
その体と顔が露わになる間、激しい音も悲鳴もなかった。ただ、恐ろしい静寂だけが支配していた。
数秒後、「人類」の目は怪物に釘付けになった。見開かれた彼の瞳には、恐ろしい「マスム」の顔が映り込んでいた。それは「人類」の視点から見て、彼を恐ろしく、奇怪で、復讐心に満ちた神のごとき存在として象徴していた。我々の理解を超えた何かだ。
その瞳を覗き込めば、魂そのものが呪われるかのようだった。
「マスム」の顔は一瞬静止し、その呪われた瞳が前方を見据えた。彼の脳裏に記憶が去来する。広島と長崎の爆撃による放射能汚染で、人々がいかに苦しみながら死んでいったか。自分がどのように裏切られ、どれほどの痛みを味わい、家族を永遠に失ったか。
「マスム」はここが、あの苦しみを与えた国、アメリカの首都であることを認識した。
突然、広島と長崎の爆撃の記憶がフラッシュバックし、彼は理性を失った怒りに狂った。
そして「マスム」は、数千人の苦悶する魂の声が混ざったような、衝撃波となって襲いかかる激しく、耳を突き破るほどの恐ろしい咆哮を上げた。
「ルルルルルルルルルラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!」
この物語を楽しんでいただけたら、ぜひブックマークしてください。励みになります。




