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場所を移動し、ルクトさんに契約書を渡しそれに目を通すと、ルクトさんは呆れた顔をして言います。
『この契約書はよく出来ている。条件が突発的で特殊なのにも関わらず、だ。あのヤロー契約書を造る能力とか持ってないと思ったのだが、何か他にも有るのかね』
「いえ、事前に数パターン想定して契約書を練って有って、その内の一つが当たっただけだそうです」
『……ならシェリーさんの思考を数撃ちゃ当たる戦法だろうとは言え読み切った訳だ。……彼女の心理を理解出来るなら、もっとこう、何とかならんのかね?』
「それは同意しか有りませんが、やる事はやって居る気もしますけどね」
『……だがあのヤローはわざわざ能力で出しまくった美女とやるのも物理的にやるのも酒池肉林を出来るのにやらない様に話を回している訳だが』
「……そう言う事をやりたいのに建前を守る為に四苦八苦している印象ですが」
『性欲が無い訳じゃ無いが、嫁への義理立ては崩したくない、で、昔は今の譲歩の話すら拒絶していたよ』
「……本当ですか?」
『本当、本当。そもそも今の譲歩だって嫌々とらしい』
「……あの人は枯れているのですか?」
『そもそもあのヤローの思想的に嫁が無尽蔵に増える展開は望ましくないらしい』
「……何故です?」
『……自分以外の世界の全ての人間が女性で自分の嫁で全員と挨拶レベルに性的事をやりまくって居た場合、特別って何だろうな?だとよ』
「……好きな人に扱い上挨拶レベルにしまくっている事が出来れば満足とはしたくない、ですか」
『それだと好きな人への愛情と言うか只の博愛主義に成るから嫌だ、だとよ』
「……五百人とは」
『……今回のシェリーさんと同じ扱いって事だろう。あのヤローに甘過ぎるよあいつら』
「……厳しくしたらおこぼれも貰えなくなる層側の人は仕方ないのでは?」
『あのヤローは割とデリカシーなんて無いと思うのだが、なんであんな好かれるのか』
「……どうしてなのですかね……」
『ま、良いか。契約書の内容を他に伝えて来るよ。また後で連絡する』
「あ、はい、お願いします。じゃあ、私は、今は此処で失礼しますね」
『お疲れさん』
そして暫く暇な時間に成りました。……さて、暇つぶしに何をしましょうかね……あー、そう言えば能力で出した奴で酒池肉林、ですか……。自慰行為扱いに成りそうですが、ちょっと試してみますか?いや、後で呼ばれる訳だし、疲労した状態で行くのも、ですよね。流石に長時間取れないですし、短時間で出来る物くらいじゃないと、無理、か。……能力で出した奴らに一時間程マッサージして貰って疲労回復しますか……。
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そして暫くの間マンションの自室に戻り能力でマッサージ要員を出してマッサージを丹念にして貰い、二時間が経った所で連絡が有ったのですが、話を聞くとシェイプクリエーター社のビルに地脈龍から干渉が有った様です。……余程今回の件が嫌なのですかね?……まあ、それはともかく現場に行きますか……。現場それで行くと水霧さんが先に来ていました。
「水霧さん、先に来ていたのですね?」
「……ああ、と言うか俺に直接地脈龍から打診が有った形だよ。お前の所には来なかったのか?」
「来ていないですね」
「……地脈龍に媚びでもした?」
「……いえ、そんなつもりは無い、はず、です」
「何故途切れ途切れに言う?」
「……さっきまで私は疲労回復にマッサージを自分で出した奴にさせていただけです」
「……マッサージに性的な快感を伴う、とか有る?」
「……さ、さあ、どうでしょう?と言うか、そう言う事聞かないでくださいよ」
「……それを見て手心加えられたオチなのでは?と、思ったが、ま、良いか。……ちょっと場所を移動しよう。地脈龍がお待ちかねだ」
「……此処で良いじゃ無いですか、とは思いますが、解りました、行きましょう」
場所を移し運動場のグラウンドへと来たのですが、其処で声が響きます。
『吾の商売敵と手を組んだそうだな?』
「……敵対して何事も無く済ますにはキツイ相手だと思いますが?」
『吾を舐めているのか?』
「……有能だとしても、自分の致命検案以外はたまにしか動かないじゃ無いですか」
『……吾が様々な事に介入し出すと色々な事が破綻するはずだが、しろと?』
「犯罪者潰しくらいしてくれても良くないですか?」
『吾の強さの前提条件上、人口を大幅に減らす様な犯罪者以外、吾が人を殺すような真似はそもそもせぬ。シンプルに不利益だからな』
「なら、戦争に介入して止める事はしてくれても良いですよね?」
『……確かに吾にも利益は有るが、吾は奴隷ではないし、使命を帯びた守護神でも無い。全知全能なら全ての問題をどうにかするのが前提条件として成されなければ成らないのなら、全知全能の神と言う物を掲げている宗教の信者は、何一つ問題は無いので有ろうな?』
「……ずば抜けて強いとか扱われている奴で積極的に問題解決に動く奴居ない問題」
『一応ルド様は昔それをやって居った。まあ、対処が必要な問題の多さにやってられるかと他に丸投げするために後続育成に移ったが』
「……つまり、些末事に付き合ってられるか、ですか?今回の件って些末事ですかね?」
『管轄としてはルド様側だから、エイリアスもメビウスも管轄外的な意味で動かぬし、ルド様の嫁達もルド様が動かぬなら動かぬだろうし、トランやアロイガロイやラーヴァは配下共々活動拠点を別世界に移したし、龍種やルファは別件で既に動いているし、ギーテルは警察組織の運用管理をやっているから既に色々とやって居るし、其方からすれば他国のお偉いさんは関係無かろうし……と、まあ、此処では紹介はこれぐらいにして置くが、介入し無い事情はそれぞれ有る様だ』
「……なるほど、今上げた奴は地脈龍様に有能認定を受けた方々と言う事で良いのですよね?」
『そうは成るが、引き入れられるかの保証はしないでな』
「……ふむ……」
『雑談はともかく、貴様らの扱いはどうした物か』
「……いや、別に地脈龍様と敵対する気は無いのですが……」
『吾の商売敵と手を組んだのにか?』
「ですから、その方が無難ですよね?地脈龍様が力を貸してくれないなら尚更」
『……ふむ、俺を手伝わない癖に味方面して邪魔して来るな、と?』
「……其処までは言っていないですけど、なら地脈龍様は何を提供出来るのですか?」
『……はぁ、じゃあ提供しない事にする』
するとグラウンド全体が継続的に光に包まれました。水霧と私は能力で囲いを作り防ぎはしましたが……。
「攻撃とは穏やかじゃないね」
『今は局所的に其方へのオゾン層の提供を止めただけで有るが、次は重力の提供を止めようか?』
「……今の環境が成立していると言う事自体が地脈龍様の提供物だと?」
『そうだ』
「……」
『さて、どうした物かな』
「……地脈龍様は男ですか?女ですか?」
『……それを聞く事を優先するのか。……あの商売敵がやれる事以上の事を吾がやれると定義した場合、吾が星規模の監視社会をやれるはずだが、其方ではなく吾の性別が気になる、と』
「……それはどうせやって居るでしょうし、性別が気になる訳でして」
『……ふう、性別を判断基準にされる場合、あの商売敵に合わせて仮に吾が男でも吾の性別は女で有ると言った方が都合は良さそうで有るな』
「……自分の性別を変えられる口ですか?」
『前提条件に有る思念がそもそも全ての性別の物が有る。精神的には全ての性別で有るが、物理的には何処を表に出すか次第で有るな』
「……時と次第で性別が変わる為、気分次第、に成るのですか」
『それで、それを知って何がしたい?』
「……御尊顔を見せて頂いても?」
『只の重力レンズに依る光像で有るが、吾を見せるとしようか』
そして出て来た人の服装は、黒系のゴシックチャイナドレスと髪飾りに金色の装飾を散りばめており、スレンダー体型で片足を露出する様にスリットが入って居る服装で黒系のパンプスを履いています。胸は目測Bくらいで、髪は灰色のセミロング、パッチリとしたまつげにピンク色掛かった色の目に同じ色の口紅、それに加えてゴシックメイク、左頬にメイクで付け足されたホクロが一つ。……と言った感じ、でしょうか。可愛い系と言うより大人のお姉さん的な風貌ですね。
「……ゴシック的なチャイナドレス、か、そう言う物も有るのか」
『それにしたとしてもゴスロリとかはそれなりに聞くで有ろう?』
「まあ、そうだな。衣装周りもっと調べておくべきだったかな。幻日礼装周りでやれる事増やせるし」
『需要に合わせてみたけど、如何だろうか』
「マーケティングした上で発言出来る訳じゃ無いからそう言う視点での発言は差し控えるけど、まあ、彼方と違う系統の姿には成っていると思う」
『そうか。……うーん、では、吾と商売敵の何方を選ぶのだ?』
「……見た目基準で決める話じゃ無いですよね、これ。なのに見た目補正でゴリ押ししてこようとしていませんか?」
『とは言え彼方はエロ売り集客なのでな。それなりに見目麗しい物を出せば誰がやるかの部分の強みは消せるじゃろうて』
「……地脈龍様もエロ売りすると言う事ですか?」
『いや、勝手にやらせて置くだけじゃ。……言い方は悪いが地面に穴を掘り其処に性器を突っ込んだら吾と性行為しているとする輩は出るじゃろうがの』
「……それはアウトなのでは?」
『気にする様な精神構造なぞ疾うの昔に卒業して居るわ。今までにそう言う事をしてきた奴が零な訳でも有るまいし』
「……あはは、ですよねぇ……」
『それで何方を選ぶのだ?』
「……あはは、地脈龍様、今の地脈龍様はエロ売り以外の事を彼方と合わせただけです。エロ売りに代わる物が無いと彼方の方が良いと考える方はそれなりにいらっしゃるかと思うのですが」
『……だとしても付喪神としての格やセキュリティ的な意味では此方が上だと自負して居るが』
「それについては彼方が余程やらかさない限り、いわゆる過剰な防犯セキュリティ会社みたいに頼らなくても何とか成るケースも有る的な扱いに成るかと」
『やらかす奴が出るのは予定調和だと思うのじゃがのぉ?』
「……まあ、それは経過を見ないと何とも、ですが、それはともかく……彼方と被せない為に胸を盛らない形にするとかずらす為に色々と調整して居る事は解るのですが、目的的にゴスロリメイクは止めた方が無難な気がします」
『ゴスロリメイクをディスって居るのかの?』
「いえ、ゴスロリメイクと言う方式の目的が病的やミステリアスに見せる、らしいのですが、ミステリアスはともかく病的と取られるのはやる理由的に不味いかと……」
『……ふむ、なら、調整するとしようかの、これで如何だろう?』
地脈龍様の顔はベージュメイクが代わりに付けられて居ました。……綺麗では有るのですが、素直に言う気も起きないですね。
「其方なら、良いと思います。……話を戻しても?」
『良かろう。あの商売敵に付く理由はエロ売り以外の理由は無い状態にはしてやったでな』
「……正直な話、地脈龍様に殺しに来られるかと思って居たのですが……」
『より良いサービスの所に移ると言う動き自体はしょうが無いで有ろう? ……問題なのはエロ売りに釣られて低品質サービスの危険地帯にゾロゾロ行く奴等が出る事で有っての』
「……彼方と手を組んだ事を咎めるつもりだったのでは?」
『その気は失せた。敵対する気は無さそうなのでの』
「……では、俺にどうしろと?」
『そうだの……あの商売敵と少し話す渡りを付けてくれんかの?何もクッション無く吾が直接行くと商売敵の所に武力介入しに行く形になるのでの』
「……解りました。では今から連絡します」
水霧さんがシェリーさんと連絡を取り、その端末を地脈龍様に渡して会話を始めたので待つ事にしました。……エロ売りの程度が解らないのに良いのか? とは思うのですが、……付喪神の定義が星の大気にも及ぶなら、定義を煮詰めると毎秒星中の性器を服越しに触るくらいは何方もやってそうなのでアレですね。
……なのでそう言う事が嫌だから色々と活動していた方は報われては居ないです。……とは言え、目指すべきゴールは提示されたと言える気がします。……普通はやれる訳無いですけど……。




