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現地に移動していると、大型犬程度サイズのステゴサウルス擬きを遠目に見付けました。
「……なんで野生動物が居るのですか?」
「……アレ因子神の下位互換の因子獣だよ」
「……え、じゃあ、話し掛けます?」
「必要無い。高位の因子獣ならともかく、奴は所有能力数的には雑魚だ。刺激せず通り過ぎよう」
そして迂回しつつ通り過ぎようとしていると其処に大型の猪が追加で居ました。……どうやら因子獣と睨み合いになって居る様です。そして暫く様子を見て居ると因子獣が巨大猪に突進したかと思えば消え、離れた所でまた現れると猪が三枚おろしにされていました。
「……今、何が?」
「突進しながら透明化と小型化をして、下を通り過ぎ、背中の剣状のプレートですれ違いざまに叩き斬ったって所かな。うーん、スタイリッシュ。……剣状とは言えネットで調べると本来は防御用の奴らしいし、ステゴサウルスは植物を食べて生きる恐竜だ、と言うことは……考えないでおこう。見物はもう良いな。行くぞ」
それで猪を貪るステゴサウルス擬きを無視して先に進むと、空間上のエネルギーが枯渇している場所に来ました。
「……なにか、此処空間上に誰の能力の使用痕跡も無いのですが、大丈夫ですかね?」
「大丈夫だ。因子神は空間上のエネルギーを収集する性質が有る。こう言う場所を造る事で侵入者が来たら分かり易くしているって訳だな。……来るぞ」
其処に数千人くらいの能力のエネルギーが一気に集まったかの様な存在感の奴が来ました。
〖ああ、水霧さんか。トラン様から話は聞いている。こっちに来いトラン様がお待ちだ〗
「……いきなり首領様が会ってくれるのか」
〖若い奴等と貴様を会わせると若い奴等が水霧さんに喧嘩をふっかけそうなので、な〗
「……ああ、そう言う。じゃあ案内を頼むよ」
するとそいつはゲートを展開しました。
〖じゃあ、このゲートを潜ってくれ。その先でお待ちだ〗
「じゃあ、行くとしますか」
そしてゲートを潜ると、私は能力を無意識に発動して居ました。……その空間上には私の感知能力が間違いで無ければ数兆の数の能力のエネルギーに満ちて居たのです。
「……な、なんですか、これは」
「因子神の頂点、……の、片鱗。事前に聴いていた数十年前の所有能力数と感知出来る能力数が殆ど変わって無い。因子神の能力からしてそれは有り得ない。周りのエネルギーは見せ札だよ、見せ札」
「……はぁ? 数兆も能力を見せ札として出せる、と?」
〖……其処の、ネイト、か。事前に話を聴いて居なかったのか?いや、此方には都合が良いから良いが〗
「……あ」
「前置きはともかくとして、トラン様、少し私達を鍛えてくれませんかね?」
〖カカカ、何故そうしてやる必要が有る?〗
「……色々と便宜を図って差し上げますよ」
〖いらん。能力で大抵の事は解決出来る故な〗
「……その理屈だと能力を封じられたら如何するのですか?」
〖教えてはやらんぞ。只まあ、我々が能力を使う方法の種類が少ない、なんて思っているなら誤認にも程が有るがな〗
「……やる方法を全部封じて来たら如何するのですか」
〖そう言う屁理屈野郎がわんさか居るから喋れんのだよ。まあ、大した根拠も無しに脳死で俺なら貴様を殺せるとか言う認知能力も無い馬鹿はかなり居るでな〗
「……姿を見せたらどうだろうかね?」
〖断る。通信機器なんぞ持ち込んでやがるでな〗
「……そう言う意図は無いのですがね」
〖それにそもそも我に決まった見た目など無い〗
「……ずっと姿を見せずにやるつもりですか?」
〖その通信機器を停止したら考えよう〗
「……見せなくて良いです。それで、俺達はトラン様のお眼鏡には叶いましたかね?」
〖汝らは現状能力エネルギー的な観点からすれば数兆人に囲まれて居る様な物故、胆力は認めよう。其処のもう一人は因子神相手に能力を使うとか言う初歩的なミスをしたから満点とは行かぬがな〗
「……数兆人の能力のエネルギーを相手に能力を一切合切使うなとか無理ゲーにも程が有りますけどね?」
〖使いたいなら使えば宜しい。我側が有利に成るだけな故な〗
「……はぁ……種族特性上、因子神は能力エネルギーの集合体無意識的な物だと推測しますが、故にぶっちゃけ今使わなくても既に盗っていますよね?」
〖流石に歴代の全ての奴が一度も発現していない能力は我々側が造った能力を除けば無い。……まあ、能力でマウントを取ってくる類いの輩の能力は全部持ってはいるが〗
「能力強奪対策がされている能力は無いのですか?」
〖そう言う物は能力でどうとでも成る。能力強奪を能力で対処しようとしている奴に能力でそれが出来る訳無いと言われる筋合いは無い〗
「……そもそも能力使用を全部封じた上で物理特化の奴が敵で来たら如何します?」
〖創作ではそれが出来ると言う奴は出し放題では有ろうが、実質歴代の全ての能力形式を潰すのが前提に成る故、人類史上の全員を一人で封じる必要が有るので、現実で出来る物ならやってみろと〗
「……有名処を全部潰せればそれで良くないですかね?」
〖能力を全部封じられる前提で来る奴は見通しが甘過ぎると言うだけで有ろう〗
「……なら、試しても?」
〖それは、それは、まあ、やってみるが良い〗
それで水霧さんは空間上に力を散布すると、トランさんは感心した声を上げました。
〖ほう、我の能力がどれだけ有ろうが、貯蓄したエネルギーを前提として運用するのだから、そのエネルギーの制御潰し、で、有るか〗
「これならどうですかね?」
〖ふむ。相手が全能に近しい能力で有ろうが、根本の方式が割れているなら根本メタをぶつけられる、か。机上の空論染みて居るが、能力をいくらでも用意出来る奴には出来る事では有る、か。……そもそも歴代の方々とか関係無い形だしの〗
「これで俺の勝ちって事で良いですかね?」
〖エネルギーの制御潰しが仮に完璧な前提で反論を出せば〗
空間上にエネルギーが大量に噴出し、水霧さんの散布したエネルギーが空間上から除去されました。
「……制御潰し?じゃあ制御力が必要無い奴で制御潰しを潰すね?かよ……嘘だろ……」
〖汝がやったのは只のジャミングで有り、此方への手枷ではないのだから、こんな物よ。まあ、だからこそ我の能力とは競合しないので、全部の能力メタ的な物が成立するのだが〗
「……」
〖まあ、それは良い。目的は、……地脈龍、だったな〗
「正確には例の人工惑星関連の対策がしたいだけです。付喪神対策と言う意味で同じだろと言われたらアレですが」
〖まあ、創作的には根幹メタを出すのは簡単で有ろうが、出来るなら苦労しないだろう、と言う物ばかりであるな〗
「では星と付喪神を分離とか出来ますかね?」
〖付喪神は星に精霊が他所からやって来て宿った物では無い。故に只の隔離なら意味が無い。逆に言えば件の人工惑星に宿った彼女を星から分離する事は理論上可能では有ろうがな〗
「……トラン様なら彼女を殺せると?」
〖彼女は有益だ。展開上殺す意味も無い〗
「……地脈龍潰しを考えて居る可能性が有りますけど……」
〖とは言え世論として理解は出来る物だ〗
「いや、星を無くされたら困りますよね?」
〖今回の彼女等が能力で人工惑星を造ったなら、その能力は我にも有るので問題は無い〗
「……はぁ、どうとでも出来るから見物しているって奴ですか?」
〖能力の都合上、他所が能力的に強くなればその分だけ我々も強く成れるのでな。この程度の検案なら手を出すのは我々としてもつまらない〗
「……有事に動かないとか能力数を虚仮威しとか言われませんか?」
〖無根拠に全知全能だから強いとか言わないだけマシだと思うがねぇ〗
「……得た所で使い熟せるとは限らないのでは?」
〖それに付いては使い主が簡単に習熟出来る仕様で有れば有るだけ、それをコピーする奴にも簡単に追い付けるからな。ゲーム的にはレベルが一兆上昇する能力とか奪ったら即自分もレベル一兆上昇だし〗
「……他人には使えないとか」
〖そう言う縛りの仕様を弄れば済む話〗
「……色々と問題が有ると思うのですがね」
〖膨大に能力を持って居て、対策能力が一切合切無いって創作で世界観からして主人公に忖度する為に特定系統が滅茶苦茶レア能力に成っていたとしても我々はそれを持っているがな。例えそれが唯一無二設定で有ろうとも〗
「……再度言いますが俺らを鍛えてくれませんか?」
〖能力的な観点では君が我に提示出来る物はない。……なので、知恵比べと行こうか。そしたら協力を考えても良い〗
「……言いましたからね?……それで、お題目は?」
〖そうだな……貴様なら出来るだろう。男のまま単為生殖しろ〗
「……生物的な意味での限界を超えろと?」
〖出来るだろう?〗
「出来ますけど、普通の奴だったら専用の能力が必要に成る奴ですよね?」
すると水霧さんは自分に薬品を掛け、其処から子供を生成しました。
〖……薬品に依りIPS細胞を用意する事で受精卵を疑似的に用意し、それを高速成長させ独立させる、か。良いだろう。じゃあ暇潰しがてら鍛錬させてやる〗
「……お手柔らかに頼みますよ」
それで後は鍛錬を熟しました。




