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結論から言うと、人工惑星に移住した人数は大体五千万人ぐらいに成りました。一刑法が適用される犯罪の一日に付きの件数は二千件程度。ちなみに日本の一日の刑法が適用される犯罪件数は五千五百件程度らしい為、住民全体から見た犯罪者の割合は民度としては日本より少し治安が良い程度、……と、見て良いと思います。大きな犯罪も余り起きていない様ですし。
まあ、総監視社会体制を築いてもそれ無しの所より少し治安が良い程度で収まると言う事は色々とアレだし、シェリーさんのキャパシティを調査してから犯罪をやるつもりの奴も居るだろうと考えると油断出来る状況じゃ無さそうな訳ですが。
……調査に人を遣わせたい所では有りますが、其処で警察の方から情報が回って来ました。
「……要するに舐められて居るせいで抑止力が抑止力として機能して居ない、ですか」
考えてみた予想としては、地脈龍は大事でしか動かず、犯罪潰しは自衛の範疇でしか動きません。地脈龍が積極的に干渉して来ない事を干渉出来ないから、して居ない地脈龍の実力がその程度の物だ、と考えて居る人からすればその地脈龍以下と言う事が舐められる原因、と言う事なのですかね?
自分が関係無い検案には関わらないと言う事が、関われる力が無いから関わらないだけ、と、取って居る為に木偶の坊扱いで、シェリーさんはそれ以下認定、と。都合の良い間違った解釈を前提に据えたマウントを前提に犯罪をやる、か。……ガチでシェリーさんを潰すつもりで戦力を揃えるならともかくとして、その程度の認識で犯罪をやる、か。……普通に対処されるだろうし、自滅過ぎますね……。人工惑星の現状を一言で言うなら。
「シェリーさんが色々な奴から付喪神として値踏みされている状態、ですね」
それも対応を上手くやれるかやれないかで、未来が明確に大きく変わるレベルに。
追加で有った情報を纏めた資料に目を通して行く事にすると、……エロ需要で釣られた人達の行動は……ノーコメント、と行きたい所なのですが、シェリーさんが住民の性行為を監視から外すとかの事をしたなら、明確な警備の穴に成る為……おっぱじめたら監視から外すとかを平常運転にする事は論外な訳で……。
まあ、そう言う需要で集まった方々でしょうし、問題にするならそもそも移住してくるな、って話なのでしょうが……。行きたくないですね、あの人工惑星は。……まあ、アレです。
仮に正真正銘の全知の神と言う存在が居るなら、そう言う事も全部把握されているのです。それでその神がどう思うかは別として、ですけどね。
ま、チート主人公ならやり遂げそうなので余り言いたくはないのですが、人類史の蓄積を零から始めて短期間で超越する。地脈龍の格に今回の人工惑星の付喪神が勝つとするなら、そう言う事に成ります。
普通に考えたら無理です。零から始めてと言っているのですから、未来の科学知識が有るから出来る、とかも駄目ですからね?
只、フィクションの創作的にはやれるとは思います。やれたと設定すれば良いだけですし。しかし現実でそれをやれるとか主張するのは自分以外の全員を例外無く下げて馬鹿にする行為だと思います。
メタ創作なら関係無い?先祖の成果の一切合切を捨てて原始人として生きている奴以外現実でそれを言う権利は無いと思いますけどね。
水霧さんにペンタクルさんがある質問をする様です。
「水霧さん、付喪神を意図的に造る事は出来るのよね?」
「前も言ったが、それがどうした?」
「付喪神の人工培養の理屈ってどんな感じ?」
「独自解釈だから他所が違うとか言われてもしゃーないと前置きするが、簡単に言えば、器物が霊性を得た結果が付喪神で、霊性を得る条件に時間経過や向けられた感情の蓄積とかも有る」
「……今更な後追いが勝負に成る訳無いわね。四十六億年の蓄積を数ヶ月で越えられる訳ないもの」
「時間をどうこうする力が無い限りは、な」
「なら向けられた感情の方の細かい条件は、どんな感じかしら?」
「まず蓄積に付いてはホモサピエンスだけを前提にするなら、約二十万年から約三十万年分って所か。ま、付喪神の概念が産まれてからのみを換算だと伊勢物語を前提に据えるなら二百数十年って感じに成るけど」
「……一朝一夕で越えられる値ではないけど、二百数十年換算なら能力次第で届く気もするわね」
「まあ、その格差を埋めたり消したり潰したりする手段が用意出来ればワンチャンか?」
「それは不味くないかしら?」
「幾ら強い奴を出しても倒せるレベルに貶めてから倒すので倒せますとか言われても、それが出来るなら苦労しない訳だがね。創作的には余裕では出来るけど」
「人工惑星の狙いとしてはどうなるかしら?」
「……向けられる感情は何で有ろうが良かろうにしても、エロ需要で釣った訳だし色欲を膨大に向けられる事狙いじゃ?」
「……」
「それと、四十六億年云々に付いてはそれより古い星の素材を存分に使ったならワンチャンは有る気もするが、地脈龍を穏便に処理出来なかった以上、それは考え無くて良いはず。その古い星にも付喪神が宿って居るはずだから、処理能力が足りないはずだし」
「前置きはもう良いですよね? 付喪神を造る方法は何ですか?」
「……能力でやっただけだから同じ事を出来る能力を相手が持っていない限り参考に成らないと思うよ?」
「それでも良いから喋りなさいよ」
「……付喪神は精霊の一種なので、対象に精霊の神格を付与したってだけ」
「……それなら前置きの説明要らなかったじゃない」
「……いや、だからって俺は能力で無理矢理やったから細かい理屈は知らんって言うのは流石に無責任だろ」
「だからってねぇ……」
「……とにかく、方法自体は良いだろ。……懸念材料が無い訳じゃ無いが、前提条件上その懸念が当たる状況は相手が攻略上わざわざ遠回りしている状況なはずだし、少なくとも地脈龍を正攻法で処理は出来ない程度の大義名分や戦力なはずだし」
「……確実に勝てる状況にしてから勝ちに来る人とかも有るかも知れないわよ」
「……やらなくても勝率が高いけど確実に勝てる状況にするために能力産だろうとは言え人工惑星を用意する、か……やるために予算は何千兆円余計に注ぎ込んだのやら」
「……」
「負け筋が無い訳じゃ無いが、それが出来るならそもそもまどろっこしい事をせず直接地脈龍をなんとかしているはずなので前提条件上負け筋は無い、って点だけ解れば良いよ。前提条件を変えたらアレかも知れんがね」
「……想定が間違って居たらアレだ、と言う事ね?」
「新規の付喪神が地脈龍を越える古さの素材を使い造り従えるって行程自体がクリア出来るならそもそも地脈龍を普通にどうこう出来るはずって事は変わらん」
「自分で作った奴ならどんな強さでも従わせられるとか有ったらアレよね?」
「……んー、そのパターンに付いては太古の素材を大量に他の星から調達したならそもそも素材の方が能力産じゃ無いはずだからそれに宿る意思が何も無く従うかね?」
「……太古の素材を生成したらどうかしら?」
「太古の素材(に、似せて作っただけの新品)……で価値が有るなら、材料自体が付喪神以外の観点で価値があるだけの気がする」
「なら、経験値獲得量チートは?」
「仮に経験値獲得量千倍チートでも四十六億年の蓄積を越えるには単純計算で四百六十万年が必要。長寿や不老や不死とかの遥か未来でも生存出来る手段でもなきゃ今の世代の奴等が対処する話じゃ無い」
「世界人口は年々増加して居るし、そんな単純計算通りには行かないのではないかしら?」
「……あー、忘れていたな。人工惑星にはその需要が有る。地球の土地不足解消って言う需要が。人工惑星がクソ仕様だとしても結局頼る奴は増えそうで、故にガッツリ回収しているのか? ……だとしても、何世代か後の話なはずだが……」
流石に長々と喋り過ぎなので、割って入ります。
「要するに、相手にも勝ち筋は有るが前提条件上有り得ない。何らかのチートで差を埋めてくるとは思われますが、相当高性能チートで無ければ今の世代の大抵の奴は関係無い。人工惑星には土地不足解消と言う需要が有るため殿様商売を決め込んで居る、……ですか」
「後、追加で言うなら強奪系能力を使って相手の力を自分の力にして解決、は、目的からすれば身も蓋もない解決法だな。前提と成る思想でやりたくない事を全力でやる解決法だから」
「奪う系能力では度外視されがちだけど、元は相手のエネルギーか何かだから、相手の能力の起点扱いにされそうで主力扱いとかリスキー過ぎるし」
「そう言う能力持ちで無ければ良くないですか?」
「あのさ、お前、対案を出されたら尽くそんな物は無いで済ます気かよ?」
「いや、そもそもこの議論自体相手の勝ち筋が前提条件上有り得ないとかやっているじゃ無いですか」
「……やれる場合はもっと良い手段が有るはずだし、色々とアレだからやらないだろって話だろ。別に無根拠に議論から除外している訳じゃ無いぞ」
「……最善手を相手が取らなかったら如何するのですか?」
「……最善手でもなんでも無い事をやるための専用能力をわざわざ用意して使って来ると先読みしろって言うのは未来予知的な能力無しには厳しくないか?」
「そう言う事もしてこそでは?」
「……わざわざ専用能力を用意する様な奴が、最初から最善手を捨てるか?」
「最善手が対策されている前提なら有り得るかと」
「はぁ、新規能力を適宜用意するって事が有りって議論上クソなのだよな。将棋とかチェス的な思考じゃ足りないし、考えるべき内容が一気に莫大に増えるから」
「……そう言う事が出来る能力持って置いてそれを言いますか?」
「……俺が俺の敵ならこうするって考えるにしても、例えば、1、敵としての最善手、2、敵としての次善策、3、敵が此方の対応を知らない上での最善手、4、同次善策……とか、対策能力を適宜造るパターンを考えるなら能力を読む所も必要で……」
「難しいとか無理とか言われても普通の戦争だって相手が新兵器を持ち込んでくる可能性は有りますけど」
「……いや、新兵器を使われると事前に掴んで居たならともかく、条件設定も曖昧な状態とかシミュレーションもクソもないからね?」
「……とは言いますがね」
「ドローンが戦線に投入された時の某国の二の舞は嫌だが、やりたい事が解っているから一応やって来る事は絞れる。細かい手段は現状以上に絞る方法は無いとは言え、されたら困る事に対するメタを大量に張るくらいなら出来るさ、一応」
「ならそれをすれば良いじゃ無いですか」
「やるにしても開示しないよ。メタ創作的には開示したらそれを綺麗に避ける奴を用意されるだけだからね」
「証拠提示無しにお前に勝てるってメタ創作をされて素直に納得する類いの人ですか?」
「する訳ない。只まあ、相手の中では勝てる事にされているのは不快では有るよね。酒場で捏造の自慢話をしている中年的な物と考えるとまともに取り合ってもアレだからブチ切れるとまでは行かんけど」
と、其処でルクトさんが来ました。
『とりあえず、人工惑星に付いて続報が有るが、聞くか?』
事態は次の段階に進み始めました。




