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過去の記録を参照すると、私は不可抗力でハリボテな救世主をやらざるを得なかった、と言う事が把握出来たのは良いのですが、……私の知らない私がやった事のツケを払わされるとかアレですね。……とりあえず、荷物を部屋に入れたら十津万象さんと鉱唱ルクトさんに会いに行きますか……とした所で、件の変質者のスプリンガーさんが来ました。
「あ、まだ来るのは早かったか。荷物の運び入れ、手伝うよ」
「……ありがとうございます。じゃあお願いします」
……今日の朝の幾つか見た夢は多分私が忘れている事実……それはつまり、この人を私は性的に襲った事が事実として有ったと言う意味で……手伝って貰って居る間スプリンガーさんの顔を見るのは気恥ずかしかった為に禄に出来ませんでした。
「さて、一通り運び込んだ、と……手前、事情説明は受けたよな?何故恥ずかしそうにする?」
「……色々と気まずいのですよ」
「……変質者呼ばわりが?」
「……」
「……うーん? どう言う形で事情説明された?」
「……私は能力で過去の情報を閲覧しました」
「ふむ、記憶封印はそのままの感じか……なら、俺との兼ね合いでなんか気まずく成る物を確認したな?」
スプリンガーさんは軽く笑いながらそう言います。
「……」
「それで当たりって事で良いと判断するが、気にする必要は無いと思うが」
「……赤の他人的な認識レベルで把握するには中々ハードルが高い内容なのですがね」
「……そうかよ。赤の他人、かぁ、そっか……」
「……私の知らない昔がどうであれ、今は、そうです」
「…………そうなのだろうな。ま、それはさて置き、救世主活動をやるって事で良いのだよな?」
「……やりますよ。実際的にはやらないと割と死ぬ立ち位置なので、完全に外堀を埋め尽くされた後じゃないですか」
「それじゃあ、仕事の話と行こうじゃないか」
「……解りました。どうぞ、始めてください」
スプリンガーさんと仕事の話を開始した事は良いのですが、このコロニーを堪能するのは完全に後回しに成る流れですね、これは。色々と見て回りたかったのですけど……。
「まず前提条件の確認と行くが、手前に恨みを持つのは犯罪者達とか、株式投資とかそう言う類いで成功していた人とか、記憶引き継ぎでの時間巻き戻しが無い方が都合の良かった人達だ。ついでに言えば株式とか仮想通貨 とかゲームとかへの課金での有るはずだった金の流れが変わって、本来無かった大損害をくらった人や運営とかもだけど」
「……では私の協力者達はどういう人達ですか?」
「一言で言えば当人のやらかしや他殺とかのされた事をチャラにされた人達とかの記憶引き継ぎ有りの時間巻き戻しで利益を受けた人達とその関係者。まあだから、冗談抜きで手前が命の恩人扱いの人は結構居る」
「……だから私に信者が数百万人も居る、と」
「そう成る。まあ、手前に恨みを持つ人も未知数レベルに多いがね」
「……いや、それだと何処かのかなりの人数の富豪にも結構喧嘩売った形だと思われるので、普通に経済的に陥れられそうなのですが……」
「とは言え、警察機関とかの国家権力者にはかなり友好な関係を築ける状態だから、余程ミスをしない限り後ろ盾に幾つかの国を据える事は余裕だぞ」
「……なるほど。救世主活動をやらなければ詰むのは変わりないですが、やる事をちゃんとやれば十分やりようは有る、と」
「次は最低限の学習をすれば誰でも使える力に付いて」
「……まだ何か有るのですか?」
「いや、単純な話だ。創作的に言えば文章(対象)に乱雑に文字を追加で打ち込む事が法則干渉の技術に成る。これは最低限の知識とエネルギー制御技術が有れば精度と威力はともかくとして誰でも出来る。只のテキストの乱雑打ち込みだし」
「……そんなに簡単なのですか?」
「ああ、簡単だ。法則干渉までは、な。その応用で色々とやろうとすると難易度は変わって来るが、それについてなら今は良いだろう」
「……じゃあ、仕事の本題をお願いします」
「起きている事件への介入……と言いたい所だが、皆が記憶引き継ぎされている以上、犯罪に最終的に成功した奴以外は基本的に改めて犯罪をやらない感じに成って居るから、まず交通事故なり業務上過失致死なりが起きる事を潰すか、雲隠れした犯罪者(に成る予定だった人)達を確保する作業のどれかをやって貰いたい」
「なら、事故潰しから行きましょう。其方の現場は全部解りますよね?」
「ああ、これがリストだ。今日起きる予定の事故はざっと五百件弱って所かな」
「……渡してください。魔法生物を出して、全部の場所に向かわせるので」
「どうぞ」
そして今日は魔法生物を世界各地に派遣した結果、交通事故と業務上過失致死を合計四百数十件潰しました。……記憶引き継ぎしているはずなので、皆が気を付けて居るはずなのに、と思うかも知れませんが、リストに載っていない物も有りましたので、純粋に別の日の事故も追加で起きた感じ、ですかね……。一日目でこの数、嫌に成りますね……。