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幻日礼装の発表から大体一週間が経ち、世間の推移を見た感じとしては、クラフトライト社が衣装メーカー側といざこざを抱えた様だ、と言う事。……まあ、幻日礼装のカスタムの組み合わせ次第で既存衣装に見た目を寄せる事も可能でしょうし、いざこざが起きる事自体は残当としか言えませんが、ポイントとしては一部の完成品での販売をしている奴以外に付いてはパーツ売りした物を客側が自分から他所の衣装に寄せただけだと言う事。……つまり、既存衣装の見た目を市販の布生地を使い自前で再現しました。……と、言うだけ。……それで布生地メーカー側を訴えるとか、流石に通りませんよね。

……ですから、衣装メーカー側の主張としては独自性の有るカスタムパーツの一部を使うな、と言う物な様です。……幾つかのパーツを特定の組み合わせで調整する事で、特に別の物を組み合わせ無くても既存衣装メーカー側の独自性の有る奴の再現を出来てしまう奴が有るのだとか。……で、それが成立しない様に一部のパーツの発禁処分か、使用料を払えとか要求している、らしいです。

…………それが通ると本気で思うのですか? 過ぎます。……それを通したら沢山のメーカー側から毟り取られるのが目に見えるのですよね。まあ、他社メーカーのマークを造るとかは流石に不味いとは思うので、ある程度の話し合いで妥協案は通せる話では有ると思いますが、あくまでも一部を除くと基本的にはクラフトライト社が売っているのは衣装パーツ、ですし。

今日も今日とて事件を阻止していると、ルクトさんが訪ねて来ました。

『ネイトさんと、スプリンガーさん、後、其処のリッチ。ひとまずクラフトライト社との話の進捗の話をしに来たからちょっと手を止めて聞いてくれ』

「お、続報、来ましたか」

〔それらは我らが聞くべき話だろうか?〕

「……はぁ、俺は先に聞いているが、ローダー家がクラフトライト社の運営陣だって話だろ?」

『スプリンガーさんは聞いて居たか。そうですね。ある程度の話し合いを設ける事が出来たが、クラフトライト社の運営陣にローダー家が関わって居るってさ』

〔ローダー家がどうしたと言うのだ?〕

『ローダー家には世界創造主レベルの奴が居る、と言えば解るか?』

〔……世界創造主、ねぇ? 胡散臭いな……〕

「……それが誇張かどうかはともかくとして、大層な人が商売敵だというのですか?」

「……ルクトさん、脅かしは止めろよ。その件の方は基本的には此方に関わらないスタンスの人だったはずだが?」

『武力介入するかはともかくとして、商売をしない、とは限らないだろ』

「……」

「……そんなに厄介な人、なのですか?」

『……ああ、そうだな。武力的には俺らじゃまず勝てない。創造主って事はそんなに軽くはない。対抗出来る奴が居ない訳じゃ無いがね』

〔だから胡散臭いと言って居ろうが〕

ルクトさんは少し考え込んだ後。

『……まあ、なら、そうだな……君等は自分の完全上位互換に勝てるか?』

「その話で言う上位互換の程度に依ります。格下狩りしか出来ない能力を持っている訳でも無いので、ある程度迄なら何とかしましょう」

〔完全上位互換と一言で言うにしても、持つ能力や何を以てして上位互換なのか次第でだいぶ都合は変わりそうでは有る〕

「だな。言葉の定義次第で答えが変わる系だから、漠然と上位互換とかだけ言われても解らんとしか言えない」

『雑にマウント取られても知るか、が、アンサー、か……』

〔説明はこれ以上必要無いぞ。一連の発言内容を前提に考えるならドッペルゲンガーの亜種を召喚出来るみたいな物だと考えると手っ取り早かろう。それくらいならどうにかしよう〕

『そんなに簡単じゃ無いと思うが、……この話はもう良いか。話を本題に戻すぞ。クラフトライト社はローダー家が運営陣に入って居て、その中の一人がぶっちゃけると水霧の元同僚だ』

「え? ちょっと待ってください、それってつまりクラフトライト社は此方の身内が重役に食い込んで居る企業だと?」

『そうなる』

「なら水霧さんに交渉して貰ったら早くないですか?」

『……その同僚の奴はエアデー=ローダーと言うのだが、水霧に模擬戦で勝ち越している』

「……え? 水霧さんって百トンは有りそうな巨岩を片手で受け止めて居ましたけど……ガチで、ですか?」

『ガチだぞ。水霧がルド様の優遇枠なら、エアデーは件のローダー家に居る創造主の優遇枠だからな』

〔それで交渉して貰ったらどうなのだ?〕

『……交渉自体は出来ると思うが、一応水霧とエアデーってライバル関係的な感じみたいな物だから、被る活動を止めろ、は、むしろ火に油検案だな』

「……えぇ……なら色々と理解しているはずですが」

『とは言え、元同僚でしかなく今の所属陣営自体は違うからな。いつも此方に都合が良い行動を取ってくれる訳じゃ無い』

「……元同僚にも容赦無しですか」

『……いや、商売としてもシェイプクリエーターズ社がシェアをほぼ独占している事を潰したいのも解る。使用料を払いたくないから新規技術で必要最低限な奴を揃えられたし……』

「……」

〔商業として幻日礼装を出す利点は解るにせよ、既存衣装メーカー側に幅広く喧嘩を売る様な物では?〕

『だが、扱いとしてはゲームのキャラクリと同じで通ると考えて居るようだ。自由度のかなり高いキャラクリで他所の既存キャラクターに似た見た目を造れた。だから元ネタ側に使用料払え……とか通らん。だとさ』

「……えぇ……」

〔だが、流石に完成品を売るとかは不味かろう?〕

『そうだな。セーフの理屈がそもそも素材を売ったら顧客がそれを前提にコスプレ衣装を造っただけだ、だから、他所が版権を持つ衣装の類似品に成る様に調整した物を未許可で自分から販売したら普通にアウトだな』

「……」

〔……しかし、実際、自由に着替える為の物なら創作ではそこそこな数を見るがね〕

『魔法や異能的な物に一切合切頼って無いから、魔法や異能とかへのメタでは潰れないとかなんとか』

〔ぶっちゃけると形状記憶合金とか有るのだから、衣装一つだけで、形状記憶の衣装を超圧縮して持ち運ぶくらいなら出来るのじゃ無いのか?〕

『……形状記憶合金はそんなに都合は良くなかったはずだが? ……後、形状記憶のシャツは既存製品に有る。但し、圧縮保存から綺麗に戻る事は多分前提ではないが』

「待て、切り捨てるな。対案アイディアに成るだろそれ」

『……ちょっとやってみるか……』

そして傘下企業に開発を投げる事にしました。



一カ月が更に経ち、下請け会社が完成品のサンプルを納品して来ました。それを見たルクトさんはペンタクルさんに言います。

『圧縮処理からも元に戻せる形状記憶合金の鎧、か。いや、いくらなんでも下請け会社が有能過ぎないか?』

「……形状記憶合金の形状記憶出来る範疇が可笑しいものね。但し、これは市販するには些か以上に値が張りすぎるわね」

『ああ、それな。形状記憶合金の鎧と、圧縮処理の為の機構と、形状記憶合金が元に戻る為に必要な加熱装置と、ついでに冷却装置……全部無いと駄目だろうし、市販するには値が張りすぎる。魔法や異能でやる、じゃ、話上アレだし』

〔……これを売る場合、結局は高価格のブランド路線くらいしか無理、か〕

「色々と機能盛ったら相応に高値に成るのはしょうが無いですよ」

『うーん、衣装の強度がある程度以上高い事が前提だが、マントに傘的な感じで布生地の外枠にワイヤー通してモーターか何かで引き延ばしてシワを無くす、くらい行けないか?其方も造ってから市場に出してみよう。値が張るのには変わりないが……』

そして半月後。

形状記憶の鎧とマント改め、変幻鎧へんげんよろい変幻外套へんげんがいとうが市場に出回る事に成りました。



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