突然の刺客
わぁ!next sharp guest...
「アストゥラピ!」
レグがそう言うと二枚に引き裂いた紙が金色に輝き、消えた。
...そう思ったのもつかの間、雲一つない晴天に一筋の光が走った。
『ドッゴーン!!』
僕たちの眼の前の森に轟音と共に稲妻が落ちた。
驚いたのか森の中にいた小動物(小さい魔獣やあっちの方にもいる小鳥など)が森から出てくる。
ついでに森から黒い雲が昇り始めた
「...」
みんな呆然とその光景を眺めていた。
レグが微妙な表情になる。
「あー...」
「言ったろ?RPGみたいにご都合よくす〜ぐ魔法が使えるって訳でもねぇんだっt」
「うおおおお!!」
みんな突然驚いた声を上げた。
「スゴイスゴイ!本物の魔法だ!!」
「どうやったの!?私達もやりたい!!」
「え、ああ?」
予想外の結末に少しおどおどした。
こんな魔法で喜ぶなんて予想外だ...
「もう一回見たい!!」
「俺も!!」
徐々にアンコール!アンコール!と言う掛け声が聞こえ始めた。
「あ〜しゃーねぇなぁ〜コノヤローもう一回だけだぞ!」
イエーイと言う歓喜を背に先程の森へ紙を向ける。
「アストゥr」
「ケラヴノススィエラ!!」
!?
突如放たれた声に呪文が遮られた。
途端に空模様が変わる。
まるでゲーミングPCのような漆黒の暗雲が空を覆った。
『ドォォォン!!』
『ザァァァァァァ!』
そして大雨と雷、強風が吹き荒れる。
嫌というほど体験したこの初っ端災害3点トッピング魔法。
まさか...!
「ダァ〜メじゃないかレグルスくぅ〜ん。」
「森さんが泣いてるよ?」
「アハハ、正確に言うと怒っちゃってるかぁ〜。」
「あ!でも今俺が雨降らせちゃったから泣いちゃってるかぁ〜。」
レグの顔がどんどん険しくなっている。
黒を題材にし、カジュアルな白を点々と備えたスーツのような服に黒みがかった茶色のマントを羽織った男が現れた。
ルビーのような輝く眼に、服と同じような黒みがかかった茶色い髪が綺麗に真ん中で分けられている。
そして笑いながらこちらに向かってくる。
「コイツは放浪者エンケ!」
「逃げろみんな!ケレスとは訳が違う!狂っている!!」
レグが思い切り叫んだ。
「レg」
「シリも来るな!!」
「これは俺とコイツの問題だ!」
「レグルスくん全体テレポートって言ってたやつがあるよ!!」
如月さんがバッグの中からさっき買った一枚の紙を取り出した。
「無理だ!!」
「コイツの特定指定テレポート場所に俺が入ってる!!」
「俺もテレポートしたら必ず追ってくる!!」
「だから早くにげr」
『ドゴォォォォーン!』
言い終わる前に轟音と共に雷がレグを貫いた。
「うわあああ!!」
悲鳴が辺り一面に鳴り響く。
「ゆ〜うがに待ってる余裕なんてなぁいんだよ。魔王軍特定危険人物のレグルスくぅ〜ん。」
「俺が待ってあげるのは人の悲鳴と娯楽だけだよぉ〜?」
「...いてぇな...ようやってくれるじゃねぇか...」
「おぉ〜さすがは電気耐性だけはあるぅ。」
「...特定指定テレポート”ケレス”の元へここにいる俺とエンケ以外全員を。」
レグが一枚の紙を取り出しそう告げる。
そして紙が虹色に光り始めた。
僕らの体もそれに連れて輝き出した。
僕らが入る隙もなくテレポートの魔法が始まろうとしている。
...僕は何もできないのか...?ただこう平然と親友がどこぞの馬の骨かもわからない男に傷つけられていいのか?
「シリ、生きてろ...そしてみんなを守れ。」
「一旦、じゃあな。」
「レグ、待っt」
どんどんと虹色の光に包み込まれていく。
...結局何もできなかった。
思えばそうだ。
初めてレグと会った時だってーーーーーーーーーーーー
それは、僕がまだ剣も握れない、魔法も放てない頃。
僕は落ちぶれていると皆から責められ、囃し立てられる日々。
学校に入学し一年経った今、他の子は入って3ヶ月以内には皆魔法を習得できるのに自分だけがいつになっても魔法のまの字もできない。
「シリウスさぁ〜ん、お話にならないねぇ〜。」
お腹を意味ありげに擦りながら(勿論先生が)そう言う先生。
「なぜなのかしら〜。」
「そこまで悪い奴じゃないはずなのにな〜。」
なぁんか応援する気のない両親。
なんでみんなもっと僕に期待をしてくれないんだ...
なんで僕だけ...クラスで頭の悪いあの子だってできるのに...
だからこそ僕はこの世を呪った。
もうこの世界に希望を持ちたくない。
こんな世界いらない。
最近だって魔王が失踪したのをきっかけに新たな空いた席を取ろうと各地で魔王軍幹部が暴れていると言う事も聞く。
僕はあちらの世界で言う鬱病にかかっていた。
何をしても楽しくない。
やっと習得した魔法だってただの火の玉で達成感なんかも得られなかった。
だけど何の変哲もない日、新たな人生が始まった。
「お前暇そうだな、この本読まねぇ?」
自分の紙を少し明るくしたようなライトイエローの髪に青く輝く大きな眼。
ちょっと似てる...
「沈黙ってことはいいってことだな!」
そんな風に半ば強引に本を一緒に読むことになった。
彼がペラペラとページをめくるのを只々呆然と見ていた。
.......
.....
...
見ていただけだったのに。
目に生気が戻ってくる。
見たこともない世界観に眼が釘付けになる。
とても高い縦長の建物や自動で走る鉄の箱なんかじゃない。
魔法のない。
ただその言葉だけで十分だった。
この世界では魔法、そして才能が全てだ。
才能さえあればどんな人であろうとも人の上に立つのも容易い。
だがこの物語の世界は違う。
誰もが平等に生きていられる、そんな風に思えた。
行きたい。
僕が生きていたいのはこんな世界じゃない。
「ねぇ君、こんな世界ってあるの...?」
「ん?ねぇんじゃね?」
....
即答だった。
夢が一瞬でできて一瞬で壊れた。
「まぁ探してみる価値はあるかもな。」
「探してみるか?」
笑いかける姿。
人を見た目だけで判断しないという言葉の意味がやっと分かった。
「一緒に探してくれるの...?」
「ああ。一緒にな。」
僕は地面からゆっくりと起き上がった。
ーーーーーーーー結局いつもレグが最初に行動していた。
ああ、光に包み込まれる。
...ごめん、何もできなくて。
目をつぶりながら感慨深く思う。
『シュウゥゥゥゥゥ』
...
あれ?
途端に雨粒が頬を殴る。
光が消えてる...それにテレポートしていない...?
みんなが驚いた顔をしている。
勿論エンケも。
「あ゛ーケレスアイツあっちの世界行きやがったな。」
レグがハァーと大きなため息をつきながら髪をくしゃくしゃした。
「あ゛ーケレスもテメェも魔王軍の差金はいちいち俺の邪魔ばっかりしやがって。」
「おかげでタイマンできなかったじゃねぇかよ。」
「しかもランダムテレポート持ってねぇしよぉ...」
「あ゛ーもー許さねぇ。」
徐々にレグの髪が逆立ち始めた。
あ、ヤバい、レグの髪が逆立ってる。
「おい、シリ、これ使え。俺の戦い?意味分かんねぇ。」
「一旦全員で魔王軍全員潰すぞ。」
今後に期待...




