1,異世界転生しちゃいました
「ふぅ……」
ペンを置く。
今、私は小説を書いていた。
内容は主人公が交通事故にあって転生して……という感じのよくある転生系だ。
「私もなってみたいな……」
私が書く小説の主人公は、いわば私の夢。希望。私の理想を詰め込んだ子達。
元気で明るく、それでいてしっかりしていて優しい……それに頭もいいし体つきもよい。
やだ何言ってるんだろう、私。
と気づいたら外がオレンジ色に染まっていた。もう夕方か……。
私はそろそろ夕飯の用意をしなきゃな、と思って下に降りた。
ゴオオオ……。
何かが燃えている音がする。
……燃える?
「え、え……!?」
慌ててドアを開けると其処には燃えさかるリビングがあった。
「なんで、なんで……!? 今日は何も、何もしてないはず……!」
お茶だって料理だってしてない。強いていうならお弁当をスーパーに買いに行ったくらい。
火を使う物は何一つ使っていないのに……!
「に、逃げなきゃ……!」
慌てて窓から飛び出そうと、して……。
耳元で声が響いた。
「お前は、此処で死ぬ運命なんだ」
「っえ……?」
その後鈍い痛みが体を駆け抜ける。
力が抜ける。すぐ横にフローリングの床が見える。
嗚呼……私、刺されたんだ。
「もっと、生きた、かった……な……」
その言葉を最後に、私の意識は途絶えた。
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パチ。
目を覚ますと、目の前には綺麗な青空が広がっていた。
わーきれーい。
……んで、此処何処?
風が吹き髪の毛がなびく。一寸長めのスカートが揺れる。
浮遊感満載だなあ……と思い下を見る。
「……ん?」
町が凄く小さい。あれ?
その直後。
「うわあああああああ!」
落下。
髪の毛が上に巻き上がる。
それほど凄い速度で落下している。
「待って待って待って!?」
このままじゃ地面に激突する……っ!
と、そう思った時。
『汝、唱えよ』
「……え?」
脳内に声が響いた。
『唱えよ』
すると脳内に何故か言葉が浮かんできた。
もう……如何にでもなれ!
そう、そんな気持ちでその「言葉」を唱えた。
「《吸収》!」
……が、何もなく落下。
「え待って待って?」
もうすぐで地面に激突……、という所でふわっ……と少し体が浮き、無事に地面に着地する。
「……あれ? 私……生きてる?」
しばらく生きた心地がしなくて、ぺたぺたと自分の体を触ったり、地面を触ったりしていた。
気が落ち着き、あたりを見渡す。
「……此処、何処?」
「誰?」
私がそう言ったのと同時に、知らない男の子の声がした。
振り向くと、青い髪の毛に紫色の瞳の童顔っぽい顔をした男の子が、首をかしげて突っ立っていた。
初投稿です!
誤字等ありましたらすみません……。
2023/05/09 : 誤字修正済み