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12.撮れ高と詫びご褒美

おはようございます。四日目の朝です。

異世界に来て初めての、カマボコでも二日酔いでもない平和な朝だ。


昨日は結局ご飯食べて直ぐピュアとドレスアップかけて寝た。

一回寝たから寝れないかと思ってたけど、だいぶ疲れていたらしい。


はぁ~。昨日頑張ったからなぁ。

今日も急ぐ用も無いので寝袋に包まってうだうだしている。


ああ贅沢。

前世は寝てても心配事が多くてなかなかくつろげなかったりもしたけど、今は何も心配することはない。あー、一応寒くなる前に雪の対策考えないとか。

まあ今日明日雪降り出しそうなほど寒くはないし、そこまで焦ることないだろう。


寝袋は抜け出したもののドレスアップもかけずにパジャマのままテントでぼーっとしていたら、視界の端で何かが動いた。

視界の端の謎のゲージ。今まで完全に忘れてた。

全然動かないしHPのバーだと思っていたそれが、60%くらいまで減っていた。

んーなんだこれ……


びっくりして一気に目が覚めた。えっ!?HP減ってんだけど!

な、なんかしたっけ。ど、毒か!?昨日なんか変なもん食べた!?

あ!レモンリンゴ!あれが悪かったんか!ちょちょちょどうするんだこれ。

全然自覚症状ないんだけど!この世界自覚症状なくHP減るの!?

それだと自覚症状ないまま死ぬんじゃないの!?


そ、そうだキュア、俺にはキュアがあった。

慌てて自分にキュアをかける。発動しない。


「えっ」


発動しない?

やばいやばい詠唱不能とかサイレンスとかそんな状態異常までかかってるらしい。

あ、あわわわわわわそんな重篤な状態異常いつかかったんだこんな異世界に転生して数日で訳も分からず死ぬだなんていやだいやだいやだ……


頭を抱えて呆然としながらゲージを見てみると、ゲージは100%に戻っていた。


ど、どど、どういうことだ。とりあえず命の危機は脱したのか?


テントの中でオロオロしてたら、唐突に笑いを堪えているような女神様の声が頭に響いた。


「ヒーッ、ヒーッ、き、聞こえておるかの…ッ、つ、伝えておらなんだが、ゲッホそのゲージは『撮れ高ゲージ』とでもいうものでの、妾が見ていて面白いと思っていたら上がるものなの、じゃ。ゲホ」

「つまりゲージを多く保てばご褒美をやるということでの、それの目安でしかないから、お主の心配するような、クフッい、命の危険があるようなことはないから、安心するヒックのじゃプッ…フフ…ゲッホ、アーッハッハッ」


あっ切れた。

どうやら俺が朝からダラダラしてたから『撮れ高ゲージ』とやらが下がって、それを見て大慌てした俺を見て女神様が大爆笑、ゲージが戻ったってことらしい。


さっき焦って縮んだ寿命を返して欲しい。

そりゃキュアが効かない訳だ。健康だったんだから。


「そうじゃ。お詫びに一個ご褒美を追加しておいたのじゃ。ついでに一応確認しておくが、妾的にはたまにスキルを使って換魔力してくれるだけでありがたいのじゃ。『撮れ高ゲージ』はあくまで個神的なお願いじゃから、別に無視してくれても構わんのじゃ。もちろんご褒美は無しじゃがのぅ〜…」


神託の大盤振る舞い。

でも急に来ないで欲しい。心臓に悪い。

てか普通に話せるなら昨日の思念波みたいなのは何だったんだよ。


しかし個神的なお願いねぇ……

前世でもそこまでじっとしてるのが性に合うタイプではなかったから、女神様のお願いとか無くてもそのうち動き出してたとは思うんだけど、どうせなら今後はしっかり撮れ高意識してご褒美貰いますか!


心機一転。ってほどでもないけど、それなりにアクティブに動くことを決めた。


◇◇◇


撮れ高とはいったものの、鏡も無いしセンスもないし、化粧なんぞしたことが無いので見た目はドレスアップに完全にお任せ。

変な汗をかいたのでピュアもかけつつテントを出て伸び。

ウダウダと急襲のお陰でもうそれなりに太陽が高い。

そういえば時計も無いんだよなあ。日時計でも作るべきか。


早速日課の日替わり缶詰セットの内容を確認。

いつものように3つ出てきた。


1つ目はぶどう味の炭酸飲料。ぶっちゃけファ○タだ。フ○ンタ。

2つ目はツナ缶。無難。ストック出来ないマイルールが恨めしい。でもキャンプではあんまり食べないかな?

3つ目は牛丼缶。え、何それ。常温でも食べられますだって。非常用なのかな。どうやら牛丼の上の部分だけじゃなくてご飯も入ってるらしい。

飲み物安牌その他みたいな組み合わせに味をしめてないか?気の所為?


追加のご褒美も確認。詫びご褒美。

あれ?何も開放されてない。女神様~?


色々探し回って発見。

スキルが一個増えてた。そういうのもありなんだ。

増えていたのは風魔法のスキル。

お、おおお!ついに俺にもまともな魔法が使えるのか…!


ワクワクしながら試しに使ってみる。

爽やかな風が手から吹き出してきた。


うん。風。気温的にちょっと寒い。

なるほど、これならドライヤー代わりに使えるな!

いや~お風呂上がりに髪乾かせなくて困ってたんだよね~焚き火に当てるんじゃ髪傷んじゃうから~…っておい!

そんなんで満足出来るか!風呂なんか入ってないわ!そもそも熱風ですらないからドライヤーにもならんわ!


はぁ…はぁ…ついノリツッコミまでしてしまった。

さ、流石にご褒美がこんなショボいってこたないと信じたいだけど。

他のスキルだってあんなに凄くて…あっいやマッピングはそこまででもないな……


テンプレ的に言うなら、成長したり他との組み合わせで強くなったりすると思うんだけど。

あ、大事なことを試してない。こういうのはイメージだイメージ。

風のイメージってなんだろう。んー。とりあえず台風…だと大変なことになりかねないな。


詠唱とか要る?まあいいや、ちっちゃい竜巻を想像しながら…えい!


手を突き出すと共に、小さな竜巻が発生。おぉ~…

竜巻は風を巻き上げながら前に進み、積んであった薪に当たって…


爆発四散。


あっぶな!薪がこっちまで飛んできた。

せっかく気をつけたのに結局大変なことになってしまった。後で片付けよう。

でも、魔法がイメージによって操作出来ることがわかった。これは夢が広がる。


色々試してみようと思ったんだけど、俺の想像力のなさに絶望した。夢広がらない。

風魔法ってなんだ。一体何ができるっていうんだ。

かろうじて手の辺りに風をブンブン回すことで、薪を切断することに成功した。

きれいにスパッと切れる。ただ、見た目は完全に八つ裂き○輪。

八つ裂き空輪と名付けよう。弱そう。


火魔法との複合でも必要なのか熱風を出すことはできなかったので、ドライヤーにはならないらしい。なんだよ。


◇◇◇


いくらか魔法の確認が終わったところで、朝ごはんにする。

いい加減お腹へった。この健康つるふわボディはちゃんと朝食べないとやっていけない。


朝ごはんは…ツナパンにしようツナパン。

日替わりセットの内容は積極的に使っていきたい。


いつだかの液体用ゴミボトルの上の方を八つ裂き空輪で切って入れやすくした。

八つ裂き空輪って長くね?エアカッターでいいわエアカッターで。

ツナ缶の油を切ってそこに入れる。調子乗って2缶。


ホットサンドメーカーに食パンをセットしてツナを乗せる。マヨネーズもかける。チーズは無い。

もう一個食パンを乗せてからギュッとして、バーナーにオン。

ついでにコーヒー用のお湯も沸かしておく。


パンを焼きながら、ツナ缶の油でランタン作るとか有ったよなあとか思った。

あれなら多少撮れ高があるんじゃないか。捨てちゃった。手遅れだ。終わりだ。


パンが焼けた。コーヒーもいれた。

女神様マークのツナパン。なんというか雑なおいしさ。

前世じゃ適当にオーブンで焼いていたものだけど、ホットサンドだからか余計美味しく感じる。前世じゃケチって食パン2枚に1缶だったせいかもしれない。

毎朝これでもいいくらいだ。おいしい。

しっかしホットサンドメーカーと調味料セット様々である。


ただこのホットサンド、圧縮されてるから見た目はそんなでもないけど食パン2枚分だから朝にはちょっと多い。でも食べきっちゃう。


ふう。ごちそうさまでした。

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