1.転生と転性
こんな小説を読みたいなと想像を膨らませてみてたら、それなりの文量になりそうだったので投稿します。
主人公も作者もにわかなので、道具のミス等はご容赦ください。言い訳は異世界だから!です。
唐突ですが俺は今、体一つで異世界の森の中です。
◇◇◇◇◇◇
俺、30代独身。男性。
親は早めに亡くなり、養う家族もいない中、仕事の人間関係に嫌気が差して退職。
思えば昔から人と話すことは出来ても、深く付き合うのが苦手だった。
お金を使うような趣味もなく、貯金だけはそれなりにあったのでしばらく引きこもり生活をしてた。
そんな生活にも飽きたある日、動画やらアニメやらに影響されてソロキャンプに行くか!と唐突に思い立った。
そして調べもせず適当に道具を通販で買って次の日にはキャンプ場にいざ突撃。
その道中で大型トラックが猛スピードで自分の車に突っ込んでくるところが前世の最後の記憶。
気がつくと俺は魂っぽい光の玉になってそれっぽい白い空間の中に居た。
死んだんだなあとなんとなく理解していると、後ろから幼女の姿をした女神様に話しかけられて転生を持ちかけられた。ここまでテンプレ。
ただ、テンプレと違って俺は女神様にこう言われた。
「お主、キャンプに行くところだったのじゃろう?異世界キャンプなんてどうじゃ!?他の人に会わずにただキャンプしてくれれば良いのじゃ!」
どうやら他の人に合わずに、っていうのがポイントらしい。
のじゃロリ女神様曰く。
世界の換魔力、つまり魔力版の換気みたいなことをするために、女神様の世界ではたまに転生者を呼ぶ必要がある。
女神様が世界を作るもっと前、俺の世界でキャンプの動画を見て気に入った女神様は、身近な自分の世界でもそれらを見て楽しみたいと思った。
そして世界を作るとき、受け入れる転生者の条件をキャンプに行こうとしていたけど死んでしまった人にしたそうな。
けれどその後、転生者は前世の記憶を使って文明や文化を一気にめちゃくちゃにするという噂を聞いた。
キャンプを見てみたいけど、自分の世界の純粋な文化も守りたい女神様は考えた。
誰にも会わないで居てくれれば大丈夫なんじゃね、と。
どうしてキャンプ動画なんかにたどり着いたのだろうとか、転生条件ニッチ過ぎないかとかツッコミどころはあるけれど、概ね状況は理解できた。
◇◇◇
「人なんかの並の生き物は入ってこれない森を用意したから、お主にはその森の中でゆったり暮らして欲しいのじゃ!代わりにそこで生きるためのスキルを用意したのじゃ!そろそろ換魔力しないといろいろヤバいのじゃ!」
女神様必死。どうやら世界を作ってからそれなりの数居た過去の転生者候補は全員、森一人暮らしを嫌がって女神様の世界での転生を拒否したらしい。そして俺が現状最後の一人。
キャンプって結構社交的な人がするものだろうしなぁ。最近は俺みたいなソロも増えてそうだけど。
俺としては転生出来るだけありがたいと思うし、人に会わないのも願ってもない条件なので受け入れることにした。
魂なので声が出ない。多分神様だしこっちの考えも伝わるだろう。
「よ、よかったのじゃ!これで妾の世界も安泰なのじゃ……時間もないからとっとと転生させるのじゃよ!丈夫で魔力の器が大きい体を用意したのじゃ!たくさんスキルを使ってくれればその分換魔力は行われるし、スキルの使い方はなんとなくわかるはずなのじゃ!」
言うが早いか、俺の魂は光に包まれ始めた。
「そうじゃ、お主の生活は見させてもらうからのぅ!ご褒美もあるから妾をしっかり楽しませるのじゃぞ~~……
女神様の謎の応援とともに俺の意識は光に溶けていった。
◇◇◇◇◇◇
冒頭に戻る。
見回すと普通に森。いやこの木一見普通の針葉樹っぽいけど、よく見ると葉っぱの緑が赤とか黄色とか一部極彩色に移り変わってる気がする。なんとファンタジー。
あとちょっと降りたところにそれなりの川が流れてる。釣りとか出来そう。川は見た感じ普通。
それと視界の端っこに謎のバーがある。HPかな。
さて早速だが女神様に貰ったスキルの使い方。なんというか体に染み付いてる感じがして、自然に発動の仕方はわかった。
右手を念じながらそのままズボッとする。ズズッじゃなくズボッだ。変な表現なのは許してくれ。感覚的で表現のしようがないんだもん、仕方ないじゃん。
そしてズボッっとした手の先が入っているのがいわゆるアイテムボックス。なんでも入れられる箱。見た目は空中に開いた黒い穴。
お~。ありがちだけどありがたい能力だね。普通のチートの人はこれで兵站がぶっ壊れたりするんだろうけど、俺には関係ない。
今度は左手。左手をズボッとするとクリエイト的スキル。名前は多分そのままクリエイト。こっちは穴の色が虹色だ。魔力を使って特定のものを生成して取り出せるらしい。
これで食料とか身の回りのものを作り出してなんとかしてねってことなんだな。実にチートだ。それならいくらでも森一人暮らしできるね。
手を入れていると作れそうな物が頭に浮かんでくる。ただ……あ、あれ?なんか作れるもの少なくない?ちょっとリストアップしてみよう。
・ブルーシート
・ガス缶
・ガス缶直結な感じのガスバーナー
・マッチタイプの着火剤
・ロープ
・ペグ
・コット
・クッカー
・割り箸
・水(2Lのペットボトル)
・おにぎり(鮭)
・おにぎり(梅干し)
・カップ麺(シーフード)
・インスタントのコーヒー
・緑茶のティーバッグ
以上。
メンツ自体は多分前世で死んだ時に持ってた物だ。ソロキャンしようとしてた時の奴。
ご飯が適当なのは許してくれ。男一人だったんだ。ちなみにおにぎりがお昼でカップ麺が夜な。
でも…なんか足りなくないか?いくらにわかだからってテントと寝袋は持ってたぞ。多分。
あ!もしかして死んだ時一緒に壊れたのか!?んで無事な奴だけ作れるって?
女神様~?ちょっとアフターケア足りてないっすよ~?
あっでも俺のスキルくんが告げてる。これ増えていきそう。具体的には使っていくことで少しずつラインナップが増えていくらしい。ただし今あるものから少しずつ派生していく感じに。だから次開放される候補はキャンプ関連かコンビニ食料ってことだな。唐突に銃が出せるようになったりはしない。
にしてもしばらくテントも寝袋も無しか。頑張って使えば今日中に出せるかな?魔力が減ると疲労感があるらしいけど、このチートボディがなんとかしてくれるだろう。魔力の器が大きいとか女神様言ってたし。
まあ体感結構温かいししばらくはテント寝袋無しでも大丈夫でしょ。うん。
ただずっとおにぎりとカップ麺の生活はそれが要因で死にそうだ。
◇◇◇
クリエイトの確認を終え、ひとまずペットボトルの水を作り出してその辺の石に座ろ…うとしてコケた。なんか水がやたら重い!あと体のバランスがおかしい!
立ち上がって自分の体を見下ろしてみる。細い。
腕を上げて自分の手を見つめてみる。小さい。
これは若返りだな若返り。あるある。
「これはうん。確認だから。」
声変わり前にしたって高い声と共に、ひらひらと長めのトップスを捲りあげ、ジーンズ風ボトムスを引っ張り、股間を確認する。
そこにあるはずの大事なものは消えてなくなっていた。
「あ~~……」
いわゆるTS。異世界転生をした俺は、どうやら男ではなくなってしまったらしい。




