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感情希薄なモルモットは二重人格者  作者: 識友 希
第5章「協力者編」
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第94話「研究者見習いへの疑い」

「みんな、ちょっといいかな?」


 午前の授業が終わって昼休憩になると、ジークが立ち上がってクラス全体にそう呼びかけた。


「特別演習のために、今月は定期的に勉強会を開こうかと思っているんだけどみんなはどう思うかな?みんなで分からない所を教え合った方が良く理解できると思うんだ」


「いいと思うぜ。てか、なんならこっちから頼みたいと思ってたところだしよ」


 ジークの提案に対していの一番に声を上げたのはオスカー・プレイド。発言からすると、あまり学力には自信がないようだ。


「私もいいと思う!みんなでやったほうが楽しいしねー」


「私もお願いしたいです!ちょっと勉強は自信がなくて...」


「俺も賛成だ。各々が個人でやるよりも、全員で切磋琢磨する方がやる気も出るだろう」


「わ、私もみんなでやったほうがいいと思います...」


 オスカーに続いてエリス、ソフィーリア、ルフト、カノンが発言する。


「ありがとうみんな。それじゃあ勉強会は開催しようと思う。参加は自由だから、みんな好きなタイミングで気楽に参加してほしい。もちろん、参加したくない人は無理に参加しなくても大丈夫だよ」


 勉強会は開くが、あくまでも強制ではないということらしい。この方針はオレとしてはありがたいところだ。

 それからは数分かけて勉強会の詳細を詰めていき、ジークの話は終わった。

 勉強会についての話が終わってすぐにオレは席を立ち、教室の出入り口へと向かう。


「あ、リダン君」


 そんなオレに、一人のクラスメイトが声をかけてきた。


「何だ?」


「今日の放課後って時間あるかな?カロス先生が何か話したいことがあるって言ってて、リダン君も呼びたいらしいんだけど」


「今日の放課後は予定がある」


 実は昨日、ミールから連絡があって研究室に来てほしいと言われていた。だが昨日はリダンに所有権があったためそれを断り、代わりに今日の放課後行くことになっている。


「そっか、じゃあ仕方ないね。カロス先生にも伝えておくよ」


「それほど時間がかからないなら行っても構わんが」


「本当かい?それじゃあ付き合って貰えるかな?たぶん話自体は30分もかからないと思うから」


「ああ、分かった」


「ありがとう」


 ダルクは礼を言ってそのまま去っていく。

 予定外だったが、これは裏切り者候補のダルクと話をするいい機会だ。色々と質問をして探っていくことにしよう。


 *


 午後の授業が終わって放課後になり、オレは昼休憩の時の約束通りダルクと一緒にカロスの研究室に向かうことにした。


「カロスの話とは何か聞いているのか?」


「実はボクも何も聞いていないんだ。今日の朝ポータブルで連絡があって、話があるってだけ伝えられてね」


「ろくでもない話でないといいがな」


「はは、まああまり期待はしない方がいいかもね」


 カロスはたまにこうしてオレとダルクを呼び出しては思いつきの話をしてくるのだが、大体の場合その内容は要領を得ない荒唐無稽なものばかりだ。とはいえ、たまに面白い発想を聞かせてくることもあり、全く期待ができないわけでもない。

 まあそもそも、カロスの研究している天啓については不明瞭な点が多すぎるため、基本的にそういう考えしか出てこないのも仕方がないと言える。


「ところで少し気になっていることがあるのだが、聞いてもいいか?」


「何だい?」


「貴様はアイゼンと関わりがあると聞いたのだが、それは事実か?」


 人と会話の経験が少ないオレはあまり駆け引きのようなものは得意ではないため、ここは単刀直入に聞いてみる。回りくどい聞き方をしてもかえって警戒されるだけだろう。


「関わりがあるってほどでもないけど、アイゼン君とはたまに話をするね。それがどうかしたの?」


「シュトラールブルーの人間でアイゼンと関わりがあるというのが珍しいと思っただけだ」


「確かにそうかもね」


「ちなみにどんな話をしているんだ?」


「研究に協力してくれないかお願いしてるんだよ。今のところいい返事は貰えていないけどね」


 そう言えば、以前にナディアやアイゼンに協力を依頼する話をしていた気がするな。


「なるほどな。まあそう簡単には受けてはもらえんだろう。相手からしたらメリットがないからな」


「そうなんだよね。中々難しいよ」


 ダルクはオレの知らない所で研究のために色々と手をまわしていたらしい。


「ついでにもう一つ聞いてもいいか?」


 ひとまず聞きたいことは聞けたので、オレは次の質問に移ろうとする。ダルクも特に拒否することはなかったのでオレは次の疑惑を投げかけた。


「先日の特別演習、貴様のグループは何故負けた?貴様ほどの知識があれば負けることはないと思っていたが」


 先日行われたマナ資材採取訓練、ダルクがいたグループの結果はトリスカーナイエローが1位、シュトラールブルーが2位、キスキルレッドが3位。ダルクのマナ資材に対する知識があれば、基本的には負けることはないと思っていたため、オレは少しこの点が気になっていた。

 もしダルクが裏切り者なのであれば、わざと手を抜いていた可能性がある。


「え?...珍しいね、いつもクラスの勝敗には興味がないって言ってるリダン君がそんなことを気にするなんて」


 ダルクは何かを警戒しているような様子だ。

 まあ普段のリダンの態度から考えると、ダルクが珍しいといって多少不審がるのは仕方がない。

 実際その通りでしかなく言い訳のしようがないので、オレは適当に意外だったという意見で押し通すことにした。


「そうかもしれん。だが、それほど意外だったからな。何か厄介事でもあったのか?」


「ああ、そういう事。びっくりしたよ、今から叱責されるのかと思った」


「そんなことに意味はない。オレはただ理由を知りたいだけだ」


 どうやらダルクが警戒しているような様子だったのは、責められることを懸念していただけのようだ。先日エリスと話をしたときもそうだったが、リダンがこういう事を言うと責めているように聞こえるのかもしれない。今後は少し気を付けるようにしよう。


「実は特別演習の間ずっとキスキルレッドのグループに粘着されてあまり集中できなかったんだよね。それに、トリスカーナイエローのほうはミストさんが相手だったからかなり得点を稼がれちゃってたし」


「そうだったのか」


 本当かどうかは判断できないが、少なくともダルクの言い分におかしなところは無い。

 リダンのいたグループではキスキルレッドのグループがトリスカーナイエローのグループに張り付いていたようだし、それをダルクのグループもやられたということだろう。それで思うように得点が稼げず、トリスカーナイエローに負けたというのは無理もない。

 それにトリスカーナイエローのミスト・アーケディアは魔道具の研究をしているミールの妹であり、マナ資材にもある程度詳しいようだから結構な得点を稼いでいただろうからな。


「まあ何を言っても言い訳だけどね」


「そんなことはないだろう。仕方がないこともある」


 オレは険悪な雰囲気にならないように一応フォローを入れる。実際、オレは客観的にみてそう思っている。


「そうかな?リダン君なら同じ状況でも涼しい顔して1位を取っていたんじゃないかな」


「当たり前だ。オレと貴様ではレベルが違うからな」


「事実とはいえそれを自信満々に発言できるところがすごいよね、リダン君は」


 言葉だけを聞けばリダンに呆れているかのような物言いだが、ダルクは意外にも感心しているかのような様子だ。


「それにしても負けたのが意外ってことは、リダン君はボクの事を結構評価してくれていたってことなのかな?」


「まあ他の雑魚共と比べれば高く評価しているという程度だがな」


「だとしても嬉しいよ。尊敬するリダン君に評価して貰えているなんて」


「貴様はオレの事をそんな風に思っていたのか?」


「もちろんだよ。リダン君のマナに対する造詣の深さは本当にすごいからね。今すぐは無理かもしれないけど、いつかはリダン君に追いつきたいと思っているんだ」


 同じ研究室に所属していることもあり、ダルクとは比較的多くの時間を共にしてきた。クラスメイトの中でリダンが一緒にいた時間の長さで言えば、ナディア、イヴに続いて三番目だろう。

 確かに出会った頃と比べるとダルクから向けられてくる感情は否定的なものが少なくなり肯定的なものが多くなってきているが、そんな風な感情だったとは知らなかったな。


「そうか。まあオレに追いつくのは無理だろうがな」


「はは、手厳しいね」


「ただの事実だ。だが、オレのレベルは無理だとしても貴様は将来優秀な研究者になるだろうな」


「っ!ありがとう。リダン君にそういって貰えると自信がつくよ」


 今のオレの言葉はダルクの機嫌を取るためのものではあるが、同時に本心でもある。施設にいたころは色んな研究者達を見てきたが、そいつらと比べてもダルクは研究者の適正が高いと思っている。


 それからしばらくしてカロスの研究室にたどり着く。

 そして扉を開けると、扉の傍で待機していた様子のカロスが勢いよく話しかけてきた。


「待っていたよ二人とも!」


 どうやらオレ達がやってくるのを心待ちにしていたらしい。


「先生、今日はやけにテンションが高いですね」


「そりゃあ今回は自信があるからね!」


 そう言って意気揚々と始まったカロスの話は、やはり荒唐無稽なものだった。

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