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感情希薄なモルモットは二重人格者  作者: 識友 希
第3章「王女編」
46/111

第46話「クラス対抗模擬戦当日」

 クラスメイトとフィールドの探索をし、アイゼンと話をした日から3日。今日は4月の特別演習、クラス対抗模擬戦の当日だ。

 現在の時刻は9時過ぎで、既にリダンを含めたクラスメイトは教室で自分の席に着いており、ミールが今日の予定について説明しようとしている。


「さて、今日は特別演習の当日だけど、みんな調子はどうかな?まずは、今日の対抗戦について書いた資料があるからそれを配るね」


 ミールが鞄から紙を取り出し、クラス全体に配る。それが全員に行き届いたのを確認すると、ミールは更に言葉を続けた。


「そこには、今日の対抗戦のメンバーとその初期配置、それと持ち込む魔道具について書かれてるよ。よく確認してね」


 ミールにそう言われ、クラスメイト達は配られた資料に目を落とす。リダンも例外ではなく、手元にある資料を確認していた。そこには、ミールの言うように各クラスのメンバーの名前、魔道具の属性、開始地点が記載されている。


・シュトラールブルー

リダン・ブラックヘロー、魔道具:光、開始地点:G6

ナディア・シュトラール、魔道具:光、開始地点:E4

ルフト・ブラックヘロー、魔道具:炎、開始地点:C7

ダルク・トリオンロード、魔道具:闇、開始地点:A5

ソフィーリア・メイサル、魔道具:地、開始地点:A9


・キスキルレッド

アイゼン・キスキル、 魔道具:闇、開始地点:B8

アース・ドメイン、  魔道具:炎、開始地点:A7

ラース・ドメイン、  魔道具:水、開始地点:A3

エリック・ルフェーブ、魔道具:炎、開始地点:C5

カトリーヌ・ロベール、魔道具:地、開始地点:E9


・トリスカーナイエロー

ミスト・アーケディア、  魔道具:地、開始地点:E2

メリア・モノクローム、  魔道具:炎、開始地点:D4

レオンハルト・コーデック、魔道具:地、開始地点:E6

イリーヌ・ゴーティエ、  魔道具:水、開始地点:C2

ティグレ・カプラン、   魔道具:炎、開始地点:D8



 資料に目を通し始めてからしばらく経った頃、ジークを始めとした一部のクラスメイトに少しの動揺が走る。その原因は、恐らく各クラスの初期配置だ。

 先日の話し合いでは、ルフト、ダルク、ソフィーリアの三人がフィールドの左下の方で、生き残ることを重視した迎撃戦をし、ナディアとリダンの二人がフィールドの中心を陣取って得点を稼ぐという作戦を考えていた。

 だが、他クラスの配置からしてその作戦を取ることはできないだろう。リダンの周囲にはほとんど誰もおらず、逆にルフト、ダルク、ソフィーリアの周りには人が多い。

 特にキスキルレッドの配置はシュトラールブルーにとってかなり不利な配置だ。キスキルレッドの選手は五人全員が左側に固まっており、そのほとんどが左下からスタートする。

 ルフト、ダルク、ソフィーリアの三人は全員が二人以上のキスキルレッドの選手に囲まれるような配置だ。さらに言えば、ルフトやソフィーリアはアイゼンのすぐ近くであり、開始早々に落とされる危険すらある。

 これは偶然か、作戦が読まれていたか、あるいは...。とにかく、三人にとってはかなり厳しい戦いになるのは間違いないだろう。

 トリスカーナイエローに関しては全員がC~Eと左寄りの真ん中付近をスタート地点としており、その中でも特に上の方に固まっている。それだけならばまだ良かったが、トリスカーナイエローの主力メンバーであるミスト、メリア、レオンハルトの三人がナディアを囲むような配置になっている。一人一人はナディアが負ける相手ではないが、もし三人同時に相手するような展開になれば、どうなるかは分からない。

 一応、レオンハルトの位置はリダンのすぐ近くであり、配置的にはリダンからの援護も見込めるが、先日のリダンの話からそれもないだろうな。

 だが、ナディアのこの配置はリダンにとっては都合がいいかもしれない。ナディアの成長を確かめるには絶好の配置だと言えるからな。

 総じて、シュトラールブルーは初期配置の時点でかなりの不利を背負ったといっていいだろう。仮にリダンが本気を出したとしても確実に勝てるとは言えないレベルの不利だ。まあ、あくまでオレの見立てでは、の話だが。リダンの本気の実力はオレもまだ正確に把握しているわけではないからな。

 とは言え、全く勝機がないわけでもない。そもそもフィールドの形状からして初期配置が左下に偏る可能性は考慮していたため、それに合わせたサブプランも立てていたようだし、それだけで作戦が崩壊するわけではないだろう。

 まあ、クラスが勝とうが負けようがオレには損も得もないしそこまで興味もないため、基本的には外野から静かに成り行きを見守るとしよう。今回の演習でオレが気にするべきものがあるとするならば、実際にリダンがどう動くのかだけだ。


「色々と思うところがあるみたいだけど、そこまで時間に余裕があるわけじゃないから、ぱぱっとこれからのスケジュールについて説明するよ。まず、これからみんなで会場である仮想訓練場に移動。その後は、クラス毎に別々の控室に移動して、約30分間、みんなには自由時間が与えられるよ。その後は、選手の人達はフィールド、指揮官の人はモニター室、残りの人は観戦室に移動して待機だね。そして全員の準備が完了したら試合開始だよ。何か質問はあるかな?」


 ミールはクラス内を見回し、質問がないことを確認するとすぐにまた口を開く。


「それじゃあ、これから仮想訓練場に移動するからついてきてね」


 クラスメイト達がミールに言われた通りに教室を出て行き、リダンもその最後尾につく。


(一応もう一度聞いておきたいんだが、今日はどうするつもりだ?)


(前に言った通りだ。雑魚の相手をするつもりはない。向こうから仕掛けてくる場合はその限りではないがな)


(配置的にはあの王女は結構厳しそうだが、そっちも何もしないのか?)


(ああ。そもそも、あの雑魚共に勝てないようでは話にならん)


(リダンはあの王女がトリスカーナイエローの三人を同時に相手しても勝てると思ってるのか?)


(奴らの連携のレベルにもよるが、可能性は半々といったところだな)


 半々とは、基本的に他人をあまり高く評価しないリダンにしてはかなりの評価だな。確かに、今のナディアであればあの三人に囲まれても勝てる可能性はあるだろう。オレの見立てはリダンとは違い、勝率は3割といったところだが。

 この約3週間のナディアの成長には目を見張るものがあった。最初こそあまり上手くいっていなかったが、一度コツを掴んでからは瞬く間に実力をつけていった。

 まあ、元々マナを感じる才能やマナを操る才能は十分にあったし、『接触マナ感知』の天啓まで持っていたからな。真っ当にそれらを磨けばそれ相応の力が身に付くのは当然ではある。

 まだまだリダンの足元にも及ばないが、アイゼンには多少は食らいついていける実力がついたと言っていい。


(随分とあの王女の実力を認めてるんだな)


(認めてなどいない。俺は客観的に見た評価をしているだけだ)


(そうか?リダンにしては随分と高い評価じゃないか。オレから見たらあの王女の勝率は5割もないけどな)


(それは貴様が戦力の分析もできない雑魚だからだろう)


 確かに、戦いの戦力分析に関してはオレよりもリダンの方が優れているだろう。だが、それでもナディアの勝率が半々というのは、少しだけリダンの師匠としてのひいき目が入っている気がしなくもない。


 それから少しして、目的地である仮想訓練場にたどり着く。そのままミールに先導されてシュトラールブルーの控室に通された。


「ここがみんなの控室だよ。これから10時になるまでは、自由にしてていいからね。作戦を確認するのも、静かにくつろぐのも自由だよ。但し、この部屋から勝手に出るのは禁止だからね」


 ミールはそう言うと控室の隅の方に下がり、生徒側に主導権を渡した。


「さて皆、これから作戦の最終調整をしたい。反対の人はいるかな?」


 当然反対意見を言う者はおらず、自然とクラスメイトの全員がジークの下へと集まる。リダンも今回は素直にジークの下へと向かった。

 クラスメイト全員が集まったのを確認して、ジークは話を続ける。


「さっきミール先生からもらった資料で、選手の名前や配置、使用する魔道具に関しては皆確認してくれたと思う。僕は、他クラスの選手の配置からして僕たちのクラスは相当苦しい戦いを強いられることになると感じたよ。先日決めた作戦も使えそうにないしね。この点について、皆の意見を聞かせてほしい」


 ジークが自分の意見を言い、周りを見回しながら質問を投げかける。そんなジークの表情からは、僅かに焦りのようなものが感じられた。


「俺も同意見だ。作戦に関してはサブプランを使うべきだろうな」


「うん、ボクもそう思ったよ」


 ジークの問いかけに答えたのはルフトとダルクだった。普段はこういう状況ではイヴやエリス辺りも積極的に発言するのだが、今回は選手ではないため発言を控えているようだ。

 ジークも基本的には選手を中心に意見を聞きたいようで、ルフトとダルクの返答に対して軽く頷いて反応すると、今度はナディアやソフィーリアの方を向いた。


「ディアやソフィーリアさんはどう思う?」


「私はそういう戦略なんかは良く分かりませんから、お兄様の考えに従います」


「わ、私も、良く分からないです!けど、私はアイゼン様のすぐ近くから始まるので、何か作戦がないとすぐにやられてしまいそうな気がします!」


 ナディアとソフィーリアもそれぞれが自分の意見を言う。ソフィーリアの方は、本番前で緊張でもしているのか、声が少し上ずっていた。

 ジークは再び二人の返答に頷いて答えると、最後にリダンの方を向く。


「リダン君はどう思っているのかな?」


「...別に何もない。俺にはどうでもいいことだからな。貴様らが考える作戦とやらにも従うつもりはない」


 リダンはいつも通りに不愛想な態度でジークに対応する。そしてこれまたいつも通り、クラスメイトからは痛みを伴う視線が送られた。


「そっか。でも僕は、キミの活躍も期待させてもらうよ」


 ジークの対応もいつも通りで、リダンに文句を言うことなくその場を収める。ジークから刺さってくる感情は、この程度では変化はしない。普段から強い負の感情をぶつけられているせいで、多少の変化では認識できないだけかもしれないが。


「これから、メンバーや初期配置を考慮した上での作戦について話していこうと思う。気になる所や分からない所があったら、話の途中でも遠慮なく言ってほしい。まず、序盤の作戦だけど...」


 ジークは考えた作戦について話始める。それから約30分、ジークを中心とした作戦会議は続いた。

対抗戦の初期配置に関する内容は文面だけではわかりにくいと思いますので、非常に簡素ではありますが位置関係の表を用意しました。良ければ本文を読む際にご活用ください。この対抗戦のお話の間は、この表を毎回後書きに張り付けておこうと思います。

※下記の表はスマートフォン版には対応しておりません。スマートフォン版でご覧の方はおかしな表示になっていると思いますが、ご了承ください(パソコン版でも環境によっては正しく表示されていない場合があると思います)。


    A   B   C   D   E   F   G   H   I   J

 1

 2         イリー     ミスト

 3 ラース

 4             メリア ナディ

 5 ダルク     エリッ      

 6                 レオン     リダン

 7 アース     ルフト

 8     アイゼ     ティグ

 9 ソフィ             カトリ

10


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