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感情希薄なモルモットは二重人格者  作者: 識友 希
第3章「王女編」
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第44話「クラス対抗戦準備」

 月末の特別演習に向けた話し合いがクラスで始まった日から大体2週間が経過し、今日は特別演習の3日前だ。

 この2週間、リダンはナディアの訓練をし、オレは研究の手伝いをしたり図書館でレイアと話をしたりといった、特に何かが起こるわけでもない日々を過ごしていた。

 強いて気になることがあるとすれば、クラスメイトからリダンへの不満が段々と高まっていることだろうか。

 今日は、特別演習に関して普段と違うイベントが1つだけある。それは、今日から1日ずつ、各クラスにフィールドを実際に調べる時間が与えられるということだ。

 始めの説明の際にミールが言っていたように、この時間を使って立てておいた作戦の最終確認をすることになるだろうから、特別演習で勝つためには非常に重要な時間と言える。

 ちなみに、順番は先日くじ引きで決められてシュトラールブルーが今日、キスキルレッドが明日、トリスカーナイエローが明後日ということになった。どの順番でもそれぞれに利点があるから、順番によって大きな差はつかないだろう。

 各クラス、フィールド調査の権利が与えられた当日は授業はなく、一日中特別演習の為に時間を費やせる。今日がその日であるシュトラールブルーのメンバーは今、会場である仮想訓練場に向かっている最中だ。


(特別演習当日はリダンに所有権があるけど、どう臨むつもりなんだ?リダンなりに何か作戦を考えているのか?)


(特になにもないな。少なくとも、積極的に雑魚狩りをするつもりはない)


(そうなのか。リダンなら、嬉々として暴れそうだと思ってたんだが)


(雑魚を相手にしたところで仕方ないからな。現状で多少なりとも俺を楽しませられるのはあの帝国の皇子だけだ)


(じゃあ、当日は成り行き任せって感じか?)


(一応の思惑はある。今回の機会を使って、あの生意気な女の力を計るつもりだ)


(なるほどな。確かにあの王女の成長を見るには丁度良さそうだ)


 リダンなりに、今回の特別演習について色々と考えているらしい。クラスに貢献する形ではなさそうだが。


 それからしばらくして、目的地である仮想訓練場にたどり着く。そのまま中に入り、実際のフィールドがある部屋までミールに先導された。

 フィールドが作られた部屋に入ると、視界いっぱいに広がる木々と、その下に描かれた巨大な魔法陣があった。魔道具によってフィールドを作ると聞いていたが、この出来は想像以上だな。

 具現化の魔法が使える魔道具によってこの大森林を作っているのだと思うが、これだけの物を作るにはかなりの時間がかかっていそうだ。

 ちなみに、フィールドの下に描かれている魔法陣には、マナを留める力がある。魔法陣の使い方には色々あるが、マナを特定の場所に固定し、安定させる使い方が一般的だ。

 今回の場合は、魔道具によって少しずつ具現化させたフィールドが無くならないように、マナをフィールドの形のまま固定させる役割をしているようだ。


「さてみんな、今日はこの場所を自由に使っていいよ。ただし、フィールドはあまり傷つけないようにね。多少の傷ならすぐに修復できるけど、大きく壊れちゃうと、3日後の本番までに修復が間に合わなくなっちゃうから」


 ミールはそれ以外にもいくつかの注意事項について説明すると、後の進行をクラスに譲った。一応はついてくる様子だが、向こうから何か口出しをすることはないようだ。

 ミールが後ろに下がってからすぐに、ジークが口を開く。


「まずは、それぞれのスタート地点を周ってみよう」


 ジークのその提案に反対するクラスメイトはおらず、そのままクラス全員で一番近いスタート地点へと移動する。

 事前の作戦では、与えられたスタート地点から選んだのはA5、A9、C7、E4、G6だったため、現在地であるE10から一番近いのはA9になる。距離的にはC7も同じようなものだが、E10からC7に行くのは少し険しい道を通る必要があるためこの順番になった。

 しばらく歩いてA9にたどり着くと、またジークが口を開く。


「ここがA9だね。ソフィーリアさん、この場所で大丈夫そうかな?」


 ジークがクラスメイトの一人に視線を向け、名前を呼ぶ。名前を呼ばれたソフィーリアという少女は元気よくそれに答えた。


「はい!この辺りなら歩きやすいですし、私でも大丈夫そうです!」


「そっか。じゃあ他の場所も問題なければ、予定通りソフィーリアさんのスタート場所はここにしよう」


 とりあえずは問題がないことを確認し、クラスメイト達は周囲を確認しながら次のスタート地点へと移動する。

 2週間前の最初の話し合いの時点では、最後のメンバーはイヴ、カノン、そしてソフィーリアの三人が候補だったが、適正属性が光だという理由でソフィーリアに決定したらしい。戦略的には悪くない判断だろう。

 属性ごとに使える魔法が違う以上、当然その特性も変わってくる。例えば、闇属性は相手を攻撃したり、弱らせることに長けている一方、光属性は防御や回復などをこなせるため後方支援として優秀だ。

 今回のようなチーム戦では光属性が一人いるだけで戦略の幅が大きく広がるだろう。各属性の魔道具が使えるから、ソフィーリアを外して誰かが光の魔道具を使えばいいかもしれないが、やはり慣れている適正属性の魔法が、普通は一番使いこなせるからな。

 ちなみにソフィーリアのことは、この前オレに所有権がある時に、軽く話し合いに顔を出した際にジークから紹介された。先日の懇親会の際にアイゼンの周りに集まっていた名前の分からないクラスメイトがソフィーリアだった。


 それからしばらく歩き、次のスタート地点であるA5に到達した。この場所でも先ほどと同様に問題がないことを確認すると、次の地点へと移動する。しばらくはクラス全員でこの作業を繰り返し、予定していたスタート地点5ヵ所を巡った。


「よし、どの場所も問題なさそうだね。それじゃあ、A9にソフィーリアさん、A5にダルク君、C7にルフト君、E4にディア、そしてG6にリダン君って配置で決定していいかな?反対の人はいる?」


 ジークの言葉に反対する者はいなかったため、そのままジークは話を続ける。


「じゃあ次は作戦についてだね。まずは序盤の作戦だけど、事前に決めていた通り、ソフィーリアさん、ダルク君、ルフト君の三人は即座に合流して、フィールドの左下の戦いやすい地形に陣取って迎撃を中心に戦う。そしてディアとリダン君の二人は中心の森林地帯付近にいる相手に積極的に仕掛けて得点を稼ぐ、っていう形でいいかな?」


 ジークの問いかけに、オレ以外の選手四人が返事をする。


「リダン君も、それでいいかな?」


「オレはオレのやりたいようにやるだけだ」


「そっか。期待してるよ、リダン君」


 ジークはオレの不遜な態度に文句を言うこともなくそう返す。クラスメイトの一部はオレの態度に不満を持っているようだが、仕方がない。そもそも、当日はリダンに所有権があるため作戦通りに動くことをオレは約束できないしな。

 その後は中盤以降の作戦や、メインの作戦が上手くいかなかった際のサブプランについて話し合ったり、スタート地点以外のフィールドの確認をしているとあっという間に時間が過ぎていった。

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