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感情希薄なモルモットは二重人格者  作者: 識友 希
第3章「王女編」
25/111

第25話「レイとペーパーテスト」

設定説明回その2です。

 最初に実施された基礎学力のテストは非常に簡単な問題ばかりだった。単純な文字の読み書きや計算問題がほとんどで、多少教育を受けた者であれば難なく高得点を取れるであろう問題だ。オレも先生から基本的な教育は受けていたから特に苦戦はしなかった。ミールも言っていたが、どうやらこれは現状の学力を確かめるためのテストのようだ。この学園には王子から平民まで色んな人間がいるから、それに配慮するためのテストなのだろう。


 あっという間に30分が経ち、基礎学力のテストが終了する。


「はーい、そこまで。それじゃあ解答用紙を回収するからちょっと待っててねー」


 解答用紙の回収が終わり、ミールが中身をパラパラとめくって確認する。確認が終わると、ミールは次のテスト問題を配り始めた。


「じゃあ次は歴史に関するテストだね。これは制限時間は1時間だよ。それじゃ始め!」


 問題を見ると、最近よく見ていた内容が目に入った。ここ最近はリダンにこういう内容を教えてもらっていたからな。

 さっそく解こうと思ったが、ふと別の問題が頭をよぎる。これ、オレが解いていいのだろうか。リダンに教えてもらったとはいえ、まだ全てを理解しているわけではない。これをオレが解いて不甲斐ない点数だったら、リダンが危惧していた、オレの無知でリダンが恥をかく事態になりかねない。


(リダン、これオレが解くのか?正直全ては解ける気がしないんだが)


(理解度を測るのに丁度いいだろう。一度レイがやってみるがいい。わからない問題は俺が答えてやる)


(じゃあそうさせてもらう)


 オレは改めて問題に目を通すことにした。


問1:約500年前、人間と魔物の間に起こった争いを答えよ


問2:問1の争いにおいて、人間側で特に活躍した四人は一般的に何と呼ばれているか答えよ。また、その四人の名前を答えよ。


 歴史の問題とあって、やはり最初は人魔戦争に関する問題か。この辺りの内容は、この体に入ってすぐの頃にリダンに教えてもらった内容だな。まだあれから2週間程度だがなんだか懐かしい感じだ。


問3:問1の争いを引き起こしたのは、とある一人の人間である。その人物の名前と魔法の適正属性を答えよ


 この問題の答えは確か、名前がヴィルス・エリアルード、属性は闇だったな。この名前はこの1週間で何十回と見たから良く覚えている。なんなら百回以上見たかもしれない。とにかく、それだけ500年前の人魔戦争における重要人物ということだ。

 このヴィルスという男はマナ含有量が人よりも圧倒的に多く、更にマナへの造詣も深い天才だったそうだ。幼い頃から神童と呼ばれ、15歳になる頃には天才的なマナ研究者として大陸中の有名人だったらしい。当時のマナ科学に多大な貢献をしたと本に書いてあった。

 だがヴィルスはある日突然、後に魔物と呼ばれる得体の知れない動物を引き連れて町を襲い、そこに住んでいた人間を攫って非道な人体実験を始めた。体内のマナを無理やりいじったり、妙な薬を飲ませたり、魔道具や魔法を使う実験体にしたりと攫われた人間には相当ひどいことをしていたらしい。ちなみに、その人体実験によって生み出されたのがロイヤ族やアニマ族、フィル族、そして魔族と言う種族だ。魔族という種族はこの中でも特殊で、魔族にされた人間は頭から角が生えていたり、禍々しい翼が生えていたり、目が3つあったりと異形の姿にされたらしい。魔族にされた者は何故かヴィルス側につく者も多く、更には魔族はマナが多かったため、その対処に当時は苦労したようだ。

 そして、その常軌を逸した非人道的な行いから、ヴィルスは『狂気の天才』、『マナの悪魔』など様々な名前で恐れられた。リダンが悪魔の子として恐れられるのもこのヴィルスという男の影響が大きいだろう。圧倒的なマナを持っていて属性も闇と、共通点が多いからな。更には生まれる時に母親が死んでしまったとなれば悪い噂が立つのも自然なことなのかもしれない。

 ヴィルスはその後も様々な場所に現れては魔物を引き連れて町を襲い、住民を攫った。当時の人間たちはヴィルスに対抗するための戦力を集め、魔物たちと戦ったらしい。約2年ほど戦いが続き、最終的には四英雄を中心とした人間たちにヴィルスは敗れ、人魔戦争は終わりを迎えたそうだ。

 オレはこの話を初めて聞いた時、いくつか腑に落ちない点があった。まず、魔物の存在についておかしな点がある。リダンの話では、魔物とはマナの濃い場所で自然発生したゲートから出てくるものだと聞いたが、実際には魔物とは人為的に作られるものだし、ゲートも自然発生するのものではない。この話を聞いた当時は、単純に真実が知られていないだけかと思っていたが、人魔戦争を経験した人間は恐らく魔物の真実を知っているはずだ。つまり、なんらかの理由でそれが正しく伝えられていない。一応は本当に真実を知らないという可能性もあるが。

 次に、ロイヤ族の寿命についてだ。人魔戦争の時に生まれたのならまだ500年しか経っていないのに、なぜロイヤ族は1000年生きると伝えられているのか。まあ、これに関しては他の人間も疑問に思うことだろうし、単純にオレが知らない何かがあるのかもしれない。

 そして、特に腑に落ちないのはヴィルスが敗れた点だ。話を聞いた限りではヴィルスが負ける原因がわからない。圧倒的なマナを持っていて、その造詣も深いとなればそう簡単に負けることはない。この世界ではマナが全てだ。マナの多い者、マナへの理解が深い者、マナの制御が上手い者が全てにおいて勝者となる。四英雄というのが相当強かった、あるいはヴィルスが言われているほど大したことなかったという線もあるが、少なくともエルトシャンからはリダンレベルの圧倒的なものは感じなかった。まあ一目見ただけだし、オレの見立てが間違っている可能性もある。

 とにかく、この人魔戦争の真実については色々と謎も多い。大して興味があるわけではないが、謎が多く残っているというのはなんとも落ち着かない気分だ。


 この問題の後もしばらく人魔戦争に関する問題が続き、オレは順調に解いていったが、途中でオレが知らない問題が現れる。


問35:約400年前に、闇属性を排斥する目的で立ち上げられた犯罪組織を答えよ


(この問35なんだが、習ってないよな?)


(そうだな、レイには人魔戦争に関することを中心に教えていたからそれ以降のことはほとんど教えていない。この問題の答えは『フィフス』だ。ヴィルスの影響で、ロイヤ族、アニマ族、フィル族の亜人種の人間を中心として闇属性は忌み嫌われていた。そして、中でも過激な奴らは世界から闇属性を抹消しようとした。闇属性には悪魔のマナが流れていると言ってな)


(なるほどな。当時、どれだけ残虐な事が行われたかわからないが、そういう考えの人間が現れてもおかしくはないな。ところで、そのフィフスという組織はどうなったんだ?)


(その当時、エルトシャンを中心として討伐隊が編成され、組織はほぼ壊滅したらしい。だが、現在でもその残党や意思を継ぐ者がいる。俺も何度か、フィフスの奴らと思われる雑魚に絡まれたことがある。最近では全く接触してこないがな)


(そんな奴らに狙われてリダンも大変だな。でも、最近は手を出してこないってことはリダンを狙うのは諦めたということか?)


(雑魚共の考えなど知らん)


(まあ、リダンの力を恐れて近づかなくなったのかもしれないな。リダンの周囲を怯えさせる雰囲気もたまには役に立つもんだ)


(レイ、貴様はいつも一言余計だ)


(まあそういう性格なんだ。あまり気にしないでくれ)


 その後もいくつかオレの知らない問題が出つつ、テストは最後まで解き終わった。とりあえず、歴史に関する知識は大体わかってきたな。リダンの授業から卒業する日も近いかもしれない。


 それから10分ほどが経ち、歴史のテストが終了する時間がやってきた。


「はい、時間だよ。それじゃあさっきと同じように解答用紙を回収するからねー」


 さっきと同じようにテスト用紙が回収され、ミールが中身を確認すると、次の問題が配られる。


「次で午前のテストは最後だよ。最後は地理や文化に関するテストだよ。制限時間は1時間、それじゃ始め!」


 オレはまず全ての問題にざっと目を通す。地理に関する問題が半分、文化に関する問題が半分といったところか。地理に関してはリダンから教わっているが、文化に関してはさっぱりだな。正直、この辺の内容にはあまり興味が湧かない。まあ、学園側がこんなテストを用意した意図は理解できるが。この学園にはいろんな国のいろんな立場の人間が在籍しているから、お互いの文化の違いで問題が起きないようにこんなテストがあるのだろう。

 とりあえず分かる問題だけ解き終わり、残りをリダンに任せようと思い声をかける。


(文化に関する問題はさっぱりだ。代わりに解答を頼む)


(その辺の問題は俺も知らん)


(そうなのか。まあ確かに、リダンは他人の文化とか興味なさそうだもんな)


(雑魚どもがどう過ごしているかなど、どうでもいいからな)


(しかしそうなると、このテストは半分くらいが空欄になるな。結構ひどい点数になりそうだ)


(まあそれはいいだろう。レイの理解度も大体わかったからテストの役割としては十分だ。もう俺が教えてやる必要はなさそうだな)


(それは褒めてるのか?)


(勘違いするな。俺が教えてやったのだから当然の結果だ)


 リダンはやはり素直に認めてくれることはないらしい。

 それから待つこと大体40分。12時を知らせるチャイムが鳴り、テストの終わりを告げられる。


「はーい。終わりだよー。それじゃあ回収するから待っててね」


 ミールは全ての解答を回収すると、中身を確認してから話し始める。


「じゃあ、午前のテストはこれで終わりだよ。これから1時間休憩して、13時から再開だから、時間までに席に着いておいてね」


 ミールはそう言って教室から出て行った。クラスメイトも席を立ち始め、各々が好きなように動き出す。様子を見た感じだと、ほとんどのクラスメイトはポータブルの登録を行うつもりらしい。しばらく教室の様子を見ていると、珍しくリダンから声がかかった。


(ポータブルにあの女の連絡先を登録しておいてくれ)


(あの女って王女のことか?)


(他に誰がいる?とにかく、明日からあの女にマナの制御を教えてやることになっているからな。いつでも連絡が取れるようにしておきたい)


(わかった。他にも何人か登録しておくか?)


(必要ない)


 ナディアの方を見ると、ジークとポータブルの登録をしていた。まああそこに自然に混ざっていけば問題なく登録できるか。そう思い、オレは席を立ちナディアに近づくことにした。


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