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3話

「んげ、ここ悪役令嬢の領地じゃん」


なにかに気づいたのか、エリナは嫌そうにつぶやいた。


「悪役令嬢?」

「知らないの? 王子の婚約者でヒロインの邪魔ばっかするあのサラディ・ノル・ルーデルよ?」

「だからゲームの内容を俺が知るわけ無いだろ!」


何度も話したのに、とぶつぶつ呟くエリナを無視し、ケイトは話す。


「てことはここから一番近いルーデルの街ってのはそのルーデル公爵家の領都ってことか」

「領都?」

「公爵領の中で一番でかい街ってことだよ。でかい街に行けば少しは情報も入るだろうし、修復のヒントぐらいは手に入るかもしれない」


早速ケイトは無限持久力を使用し、平原を南に向かって疾走する。

パラメータを同じ50に設定してあるので、素の運動能力が一般人最低値ちょっと上ぐらいのエリナとて、十分追いついてくる。

普通に歩けば2日ぐらいの道のりをダッシュで半日程度で駆け抜け、もうすぐ夕方になろうかというぐらいの時間に、領都ルーデルに到着した。


「あーっと、ここでいいんだよな?」

「多分……ね」


戸惑いながらのケイトの問いかけにエリナは自信なさげに答えた。

何故二人が戸惑っているのか、理由は簡単だ。


そびえ立つ高層ビル、碁盤の目のように区画整理された道路、もちろん道路はアスファルトが引かれている。

出来の悪い合成写真のように草原に大都会な町並みが生えているのだ。

街だけ見るならニュースでみるニューヨークの町並みが近いだろうか、中世(笑)とでも言わんばかりに摩天楼が彼らを出迎えた。


「一応聞くがゲームだとこんな街並みじゃなかったんだよな?」

「セリムルートで1回この街に来たことはあるけど、普通の街だったよ! じゃなきゃこんな世界観ぶち壊しの街なんて大バッシングだよ!」


目を見開いて目の前の風景をかき消さんばかりの大声でエリナが力強く否定する。


「これは……いるな」

「まちがいなく、ね」

「「異世界転生者」」


ハモるように二人は声を揃えていった。


なるほど、転生者がいるなら話が早い、とケイトは思案する。

転生者というのは別の世界から迷い込んだ魂がこの世界の生まれる前の生命に定着して生まれる存在だ。

そういった迷える魂は、おおよそ自分にゆかりのある世界へといざなわれることが多い。

つまりここで言うところのこの世界がゲームとして存在したケイトたちが元々いた世界の住人だ。


「転生時にもらったチートスキルでやりたい放題してんだろうなぁこれ」

「もしかしたら魔法の方かもね」

「魔法? そうか転生先が貴族な可能性もあるのか。俺たちと違って世界を乱さないっていう制約もないし」

「ここで止まっても仕方ないしとりあえず街に入ろう?」

「そうだな」


そういってケイトたちは砂利道からアスファルトへ足を踏み出した。

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