‐‐1906年、次代への総括‐‐
戦争の終結という希望への兆しさえ、戦後に蔓延る社会不安を払拭するには至らない。各国の国民たちが帰投兵と抱き合い歓喜を確かめ合う中で、世界は新たな戦禍の火種を育んでいく。
それは、武力を自らの背中越しに披露しあい、にこやかに握手を交わす「外交」の時代、息の詰まるような交渉の時代である。
古代から受け継がれる刃を交えての争乱には、ある種の明確な答えが存在した。戦により雌雄を決し、その地にある富を獲得する。
しかし、世界が複雑化するに従い、武力とは異なる力によって権力を維持する手法が多様化した。
しかし、武力による権力の保証を、それらが失わせた時代はこれまでにはない。背後にある武力を示し合うことによって、我々は戦争の惨禍を逃れて、相互の境界線を守ってきたのである。
これまでの物語を整理しよう。プロアニア王国は旧カペル王国領からの資源調達を効率化するために、各種の開発業務を進めた。ペアリス‐ゲンテンブルク鉄道の開通によって、食料資源と鉱物資源の獲得が容易となり、既にムスコール大公国との新たな対立に備える準備が完成している。
一方で、ムスコール大公国はエストーラの戦後処理問題に一旦の区切りをつけ、プロアニア王国との武力衝突を避けるための方針について検討を始めた。国家予算の分配を巡り、左右両翼の議員が激論を交わす。漸く彼らの議論が終結した時には、既に両陣営による戦後処理には雲泥の差が生じてしまった。
改めて、物語を進めることとしよう。
主な出来事
ムスコール大公国、エストーラへの制約付き無期限支援協力を決定
プロアニア、カペル王国領に向けて鉄道の建設を施工(ぺアリス‐ゲンテンブルク鉄道)