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ソープ嬢と馬面男

作者: 浅井泉

 飛馬(ひゅうま)は馬面の男だ。思春期からそれがコンプレックスで、時には命を投げ出したいくらいだった。


 AIによる人間選別が行われ、淘汰(とうた)されたいと願うほどだ。


◇◇◇


 Tシャツにジーパンで夜の街を歩いている飛馬。


 きらめくネオン、ソープランドの呼び込みの男。自分が馬面でも娼婦ならば抱いてくれると思った。


◇◇◇


 飛馬とバスローブ姿の女は、向かいあってベッドの上で正座する。


 「お兄さん、遠慮なく脱いで……」


 「あ、ああ」


 「下ばっかり向いてるね。これから床を共にする相手の顔が見られないなんて、あたし不安……」


 「い、いや。ちょっとな……」


 「あっ、わかった。顔に自信がないんでしょ!?」


 図星だったから、上目遣いすらできない。


 「あたしは小さい時から猫、猫と呼ばれてからかわれてきたの。それで病んだけどね。でも、人間は顔じゃないと思うの。中身が重要だから!」


 飛馬はソープ嬢の境遇に近いものを感じた。それに彼女の言うことはもっともだと思い、顔をあげる。


 「あら、あなた馬面なのね。あたしは好きだよ。だって猫面だから。さぁ荒馬のように(いなな)いて、たくましいダンスを!」


 夜は更けていった。

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