表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

プロローグ

新作はじめました。

 僕はピーター・コセイリ。どこにでもいる冴えない男子高校生17才だ。


 しかし、その冴えなさ具合は当代随一だ。なぜかと言うと、運動も苦手、勉強も苦手。成績も悪い。頑張っているのに、何やっても駄目なんだ。


 そして、救いがたいことにコミュ障なのだ。人と話していると、いつも自分だけ話がずれてしまう。みんなが何を話しているか分からない。だから友達は少ない。当然だよね。


 ただし、顔だけは普通だ。とは言え、特別かっこ良い訳ではない。だから、あまり僕のこと知らない女子は、時々話しかけてくる。僕はドギマギして適当な返事くらいするけど、それ以上は話さないから、仲の良い女子はいない。


 好きな子はいるかって?・・・居るよ。同じクラスのメルルって女子。とっても気になるんだけど、勇気が無くて話しかけることはできない。仕方ないよね、何やっても駄目な僕。仲良くなれる気がしない。


 そんなモヤモヤした気持ちを抱えて過ごしていた、ある日のこと。


 僕は誰にも言えない、まずいことをしてしまった。できれば、その前日に言って、僕に学校を休むように警告したい。


 それは夏の暑い日だった。


 下校途中に、いじめっ子のケケトナとその取り巻きに捕まった。


 「おい、ピーター。お前はピーターの分際で偉そうだな。ギッタギッタにしてやる!」


 「嫌だよー。あ、殴らないでよ。」


 ケケトナがニタニタしながら、僕に手を挙げる。僕は一発軽く殴られてうずくまる。なんて日だ。とにかく逃げよう。


 僕は殴られたお腹を押さえて、ばっと走り出した。ケケトナと仲間たちが一緒に追いかけてくる。


 「おい、ピーター、待てよ!こら!」

 「逃げても無駄だ!」

 「ボコボコにしてやるよ!」


 ケケトナと仲間たちは大きな声で適当な叫び越えをあげて、僕を追いかけてきた。


 当然、僕は逃げる。ここで自宅方向に向かうなら先回りされる危険がある。ここは小さな田舎町、みんな誰がどこに住んでいるかくらいだいたい知っているのだ。できるだけ家から離れるのが良手だろう。そこで家と反対の方向へ逃げた。


 「何で、いつも僕ばっかり、いじめられるんだ。」


 情けなくて涙が溢れてくる。汗と涙でぐしゃぐしゃになる。しかし、ケケトナと仲間たちは容赦なく追いかけてくる。疲れて足が止まったとき、ケケトナの子分の一人が追いついてきて、僕を殴った。


 痛い。逃げなくては。僕はもう一度走り出した。


 走って、走って、走った。


 いつの間にか、町外れの工事現場まで来ていた。ケケトナたちも僕を追いかけて入ってきた。


 現場には誰もいないようだ。シャベルカーやダンプカーが放置されており、僕はその陰に隠れる。ケケトナたちは、二手に分けれて僕を探している。


 「居たぞ!そっちから回り込め!」


 ケケトナに見つかってしまった。僕は工事現場の奥に逃げ込んだ。


 と、そのとき、僕は穴に足を取られた。僕は転んで穴の中に落ちていく。


 しかし、その穴は下向き45度ほどの角度がついた穴だった。それで一気に落ちるのではなく、遊園地のプールのウォータースライダーのように斜めに落ちていくのだった。しかし、すごいスピードだ。


 そして、どのくらい滑っただろうか。恐怖に意識が飛びそうだった頃、僕は出口に放り出された。ドカッと大きな音がして僕は地面に落ちた。僕は傷だらけでそこに横たわっていた。


 痛みと疲労で僕は動けなかった。やっと動けるようになって立ち上がると、そこは不思議な場所だった。


 広い洞窟であり、空洞の中に奇妙な機械がたくさん並んでいた。しかも、現代の機械とは一線を画したデザインの機械だ。


 最初は、ただの土の模様のかと思った。でも違う。それは、精巧に作られた何かの機械であることが分かった。その機械は細いたくさんパイプで繋がっている。神秘的な美しさのある造形美を醸し出していた。


 僕はその機械を一通り眺めて、その中央に居座る大きなスイッチに惹きつけられた。


 スイッチと言っても、いろいろな種類があることを知っているだろうか。細い棒を上下に上下に動かすことでスイッチのオンオフを切り替えるのが「トグルスイッチ」、オモチャの電源で使われている四角の突起を上下して切り替えるのが「スライドスイッチ」、ボタンを押し込むことでボタンをオンにするのが「タクトスイッチ」だ。


 そして、僕の目の前にあるそのスイッチは、丸くて大きなタクトスイッチだ。


 僕がそのタクトスイッチに吸い込まれるように手を近づけると、何かの警告音が鳴った。どうやら、この機械、まだまだ動くようだ。しかも、何か生物の心臓の鼓動のような低くドクドクという不思議な音が機械から発せられている。


 これは確実に危険な香りのするスイッチだ。


 さっきから「押さない方が良い」と僕の理性が悲鳴を上げていた。そして、スイッチに手を近づけるごとに、さっきから響いている心の警告音も大きくなる。


 しかし、僕は押してしまった!!!


 もし、誰かがこの景色を見ていたら僕にこう尋ねるだろう。


 「なぜ、そのスイッチを押してしまったのか?」と。


 そして僕は答える。


 「そこに、そのスイッチがあったからだ」と。


 そう。『男』が一度隠されたスイッチを見つけたなら、スイッチを押さずにその場を離れることなんて、できやしない。それは、僕が冴えないコミュ障の高校生だからではなく『男』であるからだ!


 僕がスイッチを押すと、急に機械が光り出した。そして、ものすごい地響き貸した。ずっと感じた低い心臓の鼓動のような音が二倍早くなり、何かが来る予感がした。


 そして、そいつは僕の目の前に現れた。


 「ハハハハハ。よくやってくれた。愚かな小さき人間よ。」


 真っ黒で巨大な機械人間だ。僕は訳も分からず立ち尽くしている。


 「ハハハハハ。力がみなぎってくる。長い間、眠らせてもらったからな。あれから何万年過ぎただろう。長い、長い月日を、俺は待っていた。この時を待っていたのだ。」


 その声は、訳の分からない言語を発していたが、その機械人間が話している内容は、僕の頭に直接響いてきた。


 「まずい。何か、まずいことを僕はしてしまったらしい・・・」


 僕は冷や汗を流し言うと、機械人間は僕に言った。


 「私の名はブットテナイ。おまえから見たら、何万年も前に一度は滅びたの古代文明の王である。今から、この世界を支配するのは俺様だ。」


 「そんな・・・僕は夢を見ているのだろうか・・・」


 「夢ではない。愚かな人間よ。おまえは俺を蘇らせてくれた。その恩に報いて特別に今回だけは見逃してやろう。立ち去るが良い。」


 そう言われても信じられず僕は立ち尽くしていた。


 「驚いて動けないのか。それもそうか。ハハハハハ。」


 機械人間のブットテナイは、不気味な笑い声を上げながら、目の前にある機械をグーパンチで殴り壊していった。殴る度に火花が出る。


 すると、地面の下からドリルの付いたたくさんの戦車が出てきた。


 「これが俺の相棒たちだ。愚かな人間よ、逃げないのなら殺してやろう。」


 さすがにそれを聞いて僕は逃げ出した。広い洞窟の奥へと逃げた。一体何なのだ。今日は逃げてばかりの日だ。


 機械人間のブットテナイが、本当に古代文明の王であるなら、本当に僕を殺しかねない。逃げなければ。


 僕は走り出した。


 そのとき、僕の手を引く者がいた。


 「こっち、こっち、早く、こっちへ」



コツコツ更新します。お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ