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レベルMAX錬金術師がゲームと少し違う異世界に転移したけど、下町で冴えない薬屋をやってたら訳あり少女を拾ってしまって  作者: 御手々ぽんた
第二章

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閑話 シロガネ 9

残酷な描写あり

 全身が、気だるいです。


 無意識に、首に巻き付けられている首輪を、片手で撫でます。


 その首輪からは鎖が延び、地下牢の檻の外にいる番人に握られています。


 今日の番人は、女です。


 見た目は女ですが、中身はどうせ化け物でしょう。


 ここには化け物しかいないのですから。

 命を食らう化け物。


 ぼんやりとする頭で、ここにつれてこられた時のことを思い出します。


 そんなに経っていないはずなのに、もう、あやふやなイメージしか残っていないですね。


 伸びてくる無数の手。

 突然首に触れる冷たい感触。

 そこから始まる、まるで、命を、魂を丸かじりされているような、不快感。


 また、無意識のうちに片手で首輪を撫でています。


 この首輪のせいで、能力が著しく制限されてしまっています。


 ホムンクルスである、わたくし自身の、人造霊魂が生み出す活力を吸いとられてしまっているようです。

 そのため、だるいし、頭は回らないし、力も出ません。


 スキルもスカスカです。爆弾魔スキルは発動すらしませんでした。


 当然、暴れれば罰が待っています。

 化け物どもは躾と称していますが。


 首輪といい、まるで犬扱い。


 普段は気にならない石畳の地面の冷たさが体に染みます。

 体が弱っているからでしょう。


 どこで選択を間違えてしまったのでしょうか。


 そういえば、リムリール先生、いや、もうリムリールでよいですか。リムリールとの再戦はかなわないかもしれないですね。


 このまま、この湿った石の地下牢に閉じ込められ、ずっと命を吸われ続けてしまう。


 だんだん思考の精度も落ちて参りました。

 先程から同じ思考が、ループしてしまっていますね。


 何か違うことをしなければ。


 わたくしは無意識に首輪を撫でていた指を離し、手のひらを見つめます。


 指は細かく震え、色は土気色。


 そっと指を握りしめ、魔力を込めます。 



 ・・・ダメですね。魔力は集まるそばから吸われてしまいます。


 そっと指を開きます。


 これだけの動作でも疲労感が広がります。


 動かなくてもできること。


 わたくしはステータスを開きました。



 ○スキル一覧


 人造霊魂レベル1 

 異世界知識レベル1 

 毒舌レベル3 

 工作レベル1 

 石器使いレベル1 

 道化師レベル2 

 アイアンクローレベル1 

 爆弾魔レベル1 

 釣りレベル2

 霊感レベル1

 盗賊レベル1

 逃げ足レベル1

 吸魂レベル- new!


 見たことのないスキルが生えています。しかもレベル表示がおかしいです。

 数字が入っていませんね。


 説明を見てみましょう。


 吸魂レベル-:魂を吸う。成長しない。魂を吸われた経験を持つものが得る。


 なんの説明にもなっていません。唯一、今、わたくしが魂を吸われていることはわかりました。


 ダメもとです。

 使って見ましょう。


 わたくしは、なにか変わってほしいっ、と願いをこめ、吸魂スキルを使用します。


 ・・・・・・何も変化はないですね?


 これも他の多くのスキルと同じ、クズスキルです。


 スキルの発動を切ると、どっと疲労感が押し寄せてきました。

 まるで、押し止められていたものが、溢れ出すように。


 っ!


 わたくしは念のため、もう一度吸魂スキルを起動します。


 やっぱり!

 鎖を通して流れ出していた、わたくしの活力の流出が減っています。


 完全に、ではないけど、これなら戦えるかもです。


 そっと番人の様子を窺います。


 なんだか、違和感を感じている様子。こちらに歩いて来ます。

 魂を吸っている量が減ったことを感じているのでしょうか。


 わたくしは、とっさに、もう力尽きる寸前っといった風に見えるよう、全身の力を抜き、伏せます。


 これで、死にそうだから、わたくしから番人への命の流入が弱まっていると思ってくれれば、よいのですけど。



 番人が鍵をあけ、入ってきます。

 爪先で軽く蹴られます。


 わたくしが反応しないでうずくまっていると、大きく足を引き、全力で蹴ろうと構える番人。


 とっさにわたくしは跳ね起き、両手で番人の軸足を刈り取りにかかります。


 よし、手がかかりました。

 そのまま足を刈り、番人を引き倒します。


 すぐさま馬乗りになり、マウントポジションを確保すると、顔面を交互に殴り付けます。


 これでもかと、何度も何度も。


 これまでの囚われていた鬱憤すべてをはらすように。


 顔面の形が簡単に変わります。


 籠手を取られてしまったので、威力が不安でしたが、これなら問題ないですね。

 そんなことを考えながら、鼻歌混じりに殴り続けます。

 執拗に執拗に。

 テンポよくリズムよく。


 拳が奏でる肉のドラムが、音が湿って鳴らなくなる頃。

 最初は何か喚いていた番人も、すっかりぐったりして来ました。


 完全に意識は無さそうですね。


 止めとばかりに、抜き手を心臓に突き刺します。


 ピコンッ


 突然響く電子音。


 想定外の事態に、抜き手を番人の腹に突き刺したまま固まります。


 何も起きません。

 もしやと思い、ステータスを開くと、見慣れないメッセージ表示が出ています。


『吸魂スキルが 条件を 満たしました。実行する事で ランダムに 対象からスキルを 獲得します。』


 わたくしは、そっと呟いてみます。


「実行」


 ステータス画面のメッセージが変化しました。


『対象:木田夏海より スキル:融合 を吸収しました。』


 ステータスのコメントが自動で消え、スキル欄には確かに、融合レベル1の表示が増えていました。


 手を番人の腹から抜き取り、わたくしは、牢から外へと向かいます。


 その背後では、番人のぐちゃぐちゃになった顔の肉が剥がれ落ち始めていました。まるで、融合スキルを奪われたために、顔の肉を、顔面として保持できなくなったかの如く。











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