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レベルMAX錬金術師がゲームと少し違う異世界に転移したけど、下町で冴えない薬屋をやってたら訳あり少女を拾ってしまって  作者: 御手々ぽんた
第二章

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夕闇の争い

 闇の中から、人影が溢れだす。


 私とリリムは臨戦態勢をとる。


 完全に包囲されているようだ。

 ちょうど焚き火の火があたらない範囲で囲んできている。


 なかなかの人数が居そうだ。それに、こういった襲撃に馴れている感じがする。


 包囲している人影のうち、一人がゆっくりと近づいて来る。

 どうやら交渉してくるらしい。

 さあ何が来る。


 私は身構えて待つ。


 ゆっくりと近づき、焚き火の光の中に現れたのは、リリムと良く似た格好をしている海エルフの男だった。


 そっとリリムに確認する。


「おい、あれは知り合いかい?」


「別の船団の奴だな。」


「非友好的なのか。」


「ああ。人間も同族で争うだろう?」


「まあ、そうだね」


 手早くリリムに確認している間に、声の届く位置まできた海エルフの男。


「13船団のリリムだな。われは54船団霜月号掌帆長、ボーナム。その命、もらい受ける。」


 そういうと、ファルシオンを振りかぶり、一気にリリムに向かって切りかかる。

 リリムも腰に差していたカットラスを抜き、受け止める。

 闇夜に火花が飛び散る。

 そのまま鍔迫り合いに移る二人。

 力比べでは互角か、ややリリムが有利なようだ。


(男相手になんて馬鹿力だ。それとも何か特殊な理由でもあるのか。)


 ゆっくりと相手を押し退けて行くリリム。

 焚き火の光に照らされるボーナムの顔には焦りが見える。


 私はその間も油断なく、取り囲む他の54船団の海エルフたちが襲ってこないか警戒を続ける。

 いざとなれば、どうとでも出来る切り札はいくつもあるが、あまり使いたくはない。


 そんな心配を余所に、他の海エルフ達もボーナムとリリムの立ち会いを見守るようだ。


 ついに完全にボーナムを押し退けるリリム。ボーナムも自ら後ろに飛び、体勢を立て直す。

 飛び込むリリム。

 身を低くして、ボーナムの引き足を狙い、右手でカットラスを薙ぐ。


 切られそうな足を、思わず軸足より後ろに引き、体勢を崩すボーナム。


 そのままの姿勢で、ボーナムは強引にファルシオンを叩きつけるように振るう。


 今度はリリムは受け止めず、左手を地面につき、左前方に回転しながらファルシオンを避ける。回転しながら、ボーナムの右膝裏に沿わせるようにカットラスを滑らせる。


 リリムのカットラスがボーナムの膝裏を切り裂く。


 腱を切られ、思わず膝をつくボーナム。


 リリムは反転すると、素早くボーナムの延髄をカットラスで切り裂き、止めをさす。


 ゆっくりと残身をとき、立ち上がると、リリムは先の尖ったスポイトのようなものを取り出す。


 倒れたボーナムを仰向けに転がし、その心臓に取り出した器具を突き刺す。


 器具で血を吸い上げると、そのままその器具を掲げ、勝鬨をあげる。


「13船団白亜号のリリム、血の盟約に基づき、54船団霜月号ボーナムの古き血を引き継ぐっ!」


 そういうと、リリムはその手の器具に詰まった血を一気に飲み干した。


 それを見届けたからか、焚き火の周りを取り囲んでいた他の海エルフたちがゆっくりと退却していく。


 私には追撃する気がなかったので、その様子をただ見守っていた。


 完全に他の海エルフ逹の気配が消え、クレナイが警戒を解いているのを確認すると、リリムのもとに歩み寄る。

 リリムはのんびりカットラスの血糊を拭いている。

 口元が真っ赤だ。


 私は清浄ポーションを取り出して、差し出しながら問いかける。


「かけると身綺麗になるポーションだが、いるかい?」


「ああ、ありがたい。じゃあもらおう。」


 そう言うとリリムはカットラスと、自分の返り血を浴びた衣服にだけ、ポーションをかける。


 緑色に発光し、一瞬で綺麗になる服とカットラス。


「カルドのポーションはすごいな。」


 驚き顔で空き瓶を返してくるリリム。


(こいつも瓶の価値がわかるやつか)


 私は空き瓶をインベントリにしまいながら問いかける。


「あー、口元のそれはそのままなのか?それにさっきのは一体・・・」


「これか。このまま自然に落ちるまで、この血はつけとかなきゃならんのさ。古き血を引き継いだ証みたいなもんだよ。さっきのは、そうだな、人間で言えば代理戦争みたいなものかな。多分、船団同士で全員が殺しあってたら海エルフが減りすぎるからね。そしたら予言の成就に困るだろ」


(なんか思ったより宗教チックな種族なのか、海エルフって。)


「その予言の関係で、太古の血筋を引き継ぐってために、さっきの器具で血を飲むのか」


 懐から先ほどの器具を出し、話し続けるリリム。


「ああ、ちゃんと話を聞いてくれてたのか。興味なさげに見えたから意外だよ。これは、神聖な魔道具なんだ。代々親から子へ受け継がれていく。これを持っていることが、太古の血の継承者の1人だっていう証でもある。」


「もしかしてリリムが襲われたのは・・・」


「そう、ハグレで血の継承者は珍しいからね」


(うわ、厄介な要素が増えたよ)


「そういや、ボーナムもその魔道具を持っているんだろ。いいのか、そのままで。」


「子に継承されずに持ち主が死ぬと砕け散るんだ。」


「そうなのか。それで遺体はどうする?弔い方があるのか?」


「ああ、俺たち海エルフは森で生まれて海に生きる種族だ。自然に還すのが習わしだな。海ならそのまま流す。ここなら土を軽くかけておく。魚や獣に食べられるのも母なる自然への回帰になるからな。」


(宗教チックな種族の割にはざっくりしてるな。リリムが適当なだけか?)


「そ、そうか、じゃあ土をかけてやるか。」


 そう言うとインベントリを漁ってスコップがわりになりそうな物を探し始めた。

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