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プロローグ・彼女の夢
久しぶりに小さい頃の夢を見た、十年前に亡くなった大好きな祖父との会話だ。
お祖父ちゃんは当時大きな病院で一人で暮らしていた、ううん。小さい私はそう思っていただけで入院していた。周りには綺麗な看護師と先生が沢山いた。小さかった私はそのしわしわの手をにぎりしめる。
鼻に付けたチューブをで息を吸いながら小さい私に微笑みかける。
「爺ちゃんなーこれでも陸上の日本一だった事があるんだぞ」
お祖父ちゃんのくちぐせがはじまった。
「だからなー、お前も一番になれ」
「うん。いちばんになるっ、だから――」