俺、幽霊少女は想像以上にエグかった
俺の首に付いたこの鎖は春日井同様、物をすり抜けることができるらしい。
なので、春日井に俺が風呂や夕飯の時は、天井をすり抜けさせて二階の俺の部屋に居てくれと頼んだ。
「………」
そして、俺は風呂の中で今日あったトンデモな出来事を整理した。
春日井 輪廻。
三日前に交通事故で、俺の目の前で死んだ少女。
しかし、幽霊となった彼女は、何故か彼女のことが見えた俺にとりついた。
問題は何故彼女は幽霊となって現れることが出来たのか、そして、何故俺だけが彼女を見ることができるのか。
俺は神崎やヒカルなどのポジティブバカとは違い、悲観主義が基本だからこういったことは見逃せない。
もし、俺が気絶していなければ彼女を助けることが出来たのではないかと春日井を見るたびに思ってしまう。
俺が彼女を見れるのはそれの償いをさせるためか?
となると俺にできる償いは…。
「幽霊を成仏させる方法?」
「うん。姉さん、知らないか?」
テーブルを挟んで姉さん夕食を取っていた時、俺はその話を切り出した。
姉さんならそういった方面の知識は高いと踏んでいたからだ。
「我が弟も珍妙なことを聞くね。まぁ、面白い。『大切なのは、疑問を持つことをやめないことだ』とアインシュタインも言っている。」
「……」
「そうだね、ひどく古典的だが悪霊祓いなどはてっとり早いのではないかな?」
「いや、悪霊じゃない霊の対処法はないか?」
「ふむ、いい得て奇妙な物言いだね、我が弟。私は我が弟の抱いている疑問のほうに興味が湧いてきたが、まずは回答が先だね。う~む、まぁそれが霊であって悪霊でないならば生前の未練を叶えるというのが普通ではないかな?」
「…未練か」
俺はそう呟きながら姉さんが3分で作ったカップラーメンを食した。
「…ココにもないみたいですね。もしかしてあの先輩、本当にホモなんじゃ…」
「何、好き勝手言ってやがる」
「はひっ!?」
俺の部屋に戻ると、タンスに頭を突っ込んで春日井が何かを探していた。
「先輩。人の部屋に入る時にはノックしてくださいよ」
「ココ、俺の部屋だ。俺の」
「では今日の今からココは私の部屋になりました。先輩は速やかに退出しないと八つ裂きにします」
「暴君か!」
まったく。こんな変に余裕綽々なヤツに未練なんてあるのか?
「で何探していたんだ?」
「18歳以上が購入可能の青年向け冊子。俗に言うエロ本です」
「ホントに何探してんだよ!」
「もし見つかれば先輩への脅迫材料として活用する予定でした」
こ、この女。可愛い顔しながらなんてエグいこと考えやがる…。
しかし、彼女に聖書(エロ本)が発見されることはほぼないだろう。
何故なら聖書(エロ本)はタンスの三段目の上げ底の下、しかもその中に入っている参考書に挟んでいるからだ。
仮に上げ底がバレたとしても物に触れることが出来ない幽体では参考書の中身を見ることはできまい。
ふっ。春休みに変えた隠し場所が、まさかこういった形で活きるとはな。
「しかし、ここまで探してないとなると本格的に北川先輩にホモ判定出すしかありませんね」
「何がどうしてそうなった!」
「だって健全な男性がエロ本、一冊も持ってないなんてありえなでしょう?」
「どんな偏見だ!」
と端から見れば独り言な会話でその後も時間を空費した。




