俺、自分の思いを確信に変えて
「あいつの未練ぐらい俺一人で背負える」
静かな屋台裏。
初めの夜の誓いを実際口にしてみて自分の思いを改めて確信した。
彼女の言葉がフラッシュバックする。
『私は…忘れられても…だいじょーぶだから…』
そんな悲しいことを言うな。
『私もいつか忘れられるのかもしれませんね…』
忘れない。俺は絶対忘れたりしない。だから、一つだけ俺の願いを聞いてくれ。
『よろしくお願いしますね』
初めて会った時の作り笑顔じゃない、お前の笑顔を一度でいいから見てみたいんだ。
姫ヶ岳は一瞬余所見をした後、こちらを向き直した。
表情は数分前と変わらず、むしろ納得したような顔つきだった。
「ま、でしょうねって感じですね~」
実際、納得していた。
「そこまで期待してなかったみたいだな」
「そうですね~思い悩んでいた時点で薄々わかってたのですね~それはそうと~北川君に一言忠告しとくのですね~」
「?」
「幽霊は永く居座ると性格や思考に影響が出てくるのですね~だから~早めの成仏がおすすめですね~」
「…いやに献身的だな」
「さっさとライバルを減らしたい、それだけですね~」
「…なるほどな…」
まさか未練が神崎関連だとは思ってないんだろうな。
「それでは~」
「ああ」
彼女はそう言って祭の灯りに溶けて、人混みへ消えていった。
さて……輪廻探しを再開し
「何でこんなとこにいるんですか、先輩」
背後から急に声がして、背筋が伸びる。
「……ああ、輪廻か。お化けみたいな登場して、脅かすなよ」
「…ギャグで言ってるんですか?」
「ギャグで言ってる。てか、何処いってたんだよ」
「………黄泉ですかね」
「……どうした?調子悪いのか?本当に黄泉に行ってきたのか?」
「ギャグですよ」
ギャグか……。神崎がいないとこうも調子が悪くなるのか。
じゃあ顔についてるセンス無い狐の面もギャグなのだろう。
あ、そういえば。
「熊谷待たせてたんだった。輪廻、急ぐぞ」
「ま、待ってください!」
輪廻に呼び止められる。
「どうした?」
「えー、あー、そのー」
面のせいで表情が読めない。
ただ、今まで歯切れの悪いときはナイーブなってた気がする。
「なんかあったのか?」
「何もないですよ。えー、あ。そうそう、たこ焼き。たこ焼き買ってくださいって言おうとしてたんですよ。そうでした、そうでした」
しらばっくれてる気もしたが。
「まぁそれぐらいなら」
と、いつものように振る舞うことにした。
「今度ははぐれるなよ」
彼女は小さく頷いた。




