私、嫉妬心と喪失感に飲み込まれる
「えっと、あ、あのお、奢ってもらってごめんなさい」
「こうゆうときは」
「ありがとうございます?」
もはや鉄板と化した先輩と秋ちゃんのくだりを私は3歩ほど後ろで眺めていた。
秋ちゃん&北川先輩恋人にしちゃおう大作戦は順調に進んでいるようだ。
「…せ、しゃんはい!」
翻訳:せ、先輩!
「どうした?」
「い、いえ…やっぱり、な、何もありません…」
「………」
ふむ…さすがに恥ずかしがり屋な性格はまだ残っているようだが、最近は積極的な行動も増えているようにも見える。
おそらく、佐々木先輩あたりが後ろで糸を引いているのだろう。
まぁ、その甲斐もあって仲が縮まっているのも確かだ。
だけど、何だろうか。
こう、喉に何か詰まったというか。幽体だからあくまで例えだが。いやに気分が悪い。
この感覚を私は生前に知っている。
神崎先輩と話している雌を見ているといつもこうゆう気持ちになる……まさか、嫉妬?
もう一度、二人の方を見やると、腹立たしい感情と羨ましい感情が混ざったような思いが蓄積された。
それを感じ、確信する。
もしかして、私……秋ちゃんのこと好きになっちゃったんじゃ!?
た、確かに中学のときはよく遊んだし、秋ちゃん小動物みたいに可愛いし、で、でも、だからって女の子同士でそうな…。
そう一人で迷走しているといつの間にか前の二人が人混みに消えていた。
言葉に出ないほどの疎外感。
そのとき、私の足元に雫が落ちた。
自分が幽霊であることの喪失感が身を襲った。
誰も、いない。
誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も。
何で私は幽霊になったにだろう。
誰からも見えなければ、人混みの中の私を誰も知らないのに。
誰からも触れられなければ、人の感触なんて忘れることができたのに。
幽霊なんて、ならなければ、傷つくことも、なかったのに。
『何処だ、輪廻!』
突然、頭の中にそんな言葉が流れ込んできた。
私の知っている声だ。この首の鎖の先にいる人の声だ。
何故そんな言葉が聞こえたかわからなかったが、私を探していることははっきりとわかった。
私は目を擦った後、彼の元へ向かった。




