私、佐々木先輩が無茶振り指令を下しました
「大分遊んでしまったけど、そろそろ本題に移るわ」
七並べをし終わったあと、佐々木先輩は棚から小さい茶封筒を取り出しました。
表には怪しげなお札とともに『呪われたくなくば、みるべからず』と禍々しい行体で書かれてあります。
そんな封筒を佐々木先輩はいとも容易く開きました。
「え、ちょ、先輩!?呪いが」
「あ、大丈夫。これ、私が書いたヤツだから」
「………」
「む、何?その目は。私は感謝されることはしたけど恨まれるようなことはしてないわよ」
「……感謝される?」
「自覚がないみたいね。じゃあ、鬼は外~」
掛け声に合わせて封筒の中にあった数枚の写真が宙を舞いました。
「…!」
私はその写真を隠すように素早く拾いました。
だってその写真は。
「これは全部、あなたが体育祭で撮った写真よ。見ての通り特定の人物、もう言っちゃうけど北川君が写ってる写真しかないわ。福は内~」
先輩は豆まきのように封筒から次々と写真をばらまきました。
私はそれに応戦するように一枚ずつポケットに詰め込みました。
「ふぅ、こんなもんかしら」
空になった封筒を上下に振り、先輩がそう言いました。
「それで話に戻るけど、別に私も好きな物を、もとい、者を撮るなとは言ってないのよ?」
「そそそ、そんな!すすす、好きな人、だだだ、なんて」
「…熊谷さん、あなたは少し嘘を吐くスキルを身につけたほうがいいわ」
「……うぅ……」
「でも…別に私はあなたの恋路を邪魔する気はないのよ?むしろ協力したいと思ってる。ものすごく面白そうだし」
「せ、先輩……!」
差し伸ばされた手を取って立ち上がりました。
「そうなったら善は急げよ。熊谷さんには私の出す指令を遂行してもらうわ」
「指令、ですか?」
「ええ。今日は手始めに…そうね『北川君の好きな人を聞く』っていうのはどうかしら」
「え、えええええ!」
佐々木光のおもちゃが増えたことをこの時は誰もわからなかった。




