俺、不毛な競技だが本気でやらざる得ない
俺の三年生への必死な弁明はヒカルの「早いからいいじゃん」の一言で封殺され、結局組別対抗リレーに出ることとなった。
さすがにアンカーは荷が重いためヒカルと替わったが、アンカーの一つ前だからあまり変わらない。
というか、このリレーに勝っても100点以上離されてるしここからの逆転は無理だろう。
『最後の種目は組別対抗リレーです。得点は三位1点、二位10点、一位1000点です』
ほら、アナウンスでもせいぜい1000…って。
「は?」
何でスコア表三桁なのに四桁の得点が加算されるんだよ。
『なお、この得点配分はどのチームも逆転出来るよう考慮されたものです』
「古いクイズ番組か!」
今までの競技は何だったんだよ…。
盛り上がる青組メンバーとは対比するように俺は少しずつテンション下がる。
「…なぁ、ヒカル。俺と替わったヤツってどれぐらい速かった」
「ん~僕の二倍速ぐらいかな?」
「いや、もうそれ人間じゃないだろ」
「でも、それくらいだよ?」
…マジかよ。そんな化け物の後釜とか責任が重すぎるんだが…。
しかも同じレーンに…。
「あれ?北川ってリレー出るんだっけ?」
脚にいる神崎が伸脚をしている。
正直、コイツと真っ向勝負で勝てる気をしない。
……。最悪な手だがこれしかないか。
俺は靴ヒモを結んだ後、開始前にある場所へと向かった。
「何やってたの、真人?もう始まるよ?」
「ああ、悪い。悪い。少し保険をな」
「ほけん…?」
ヒカルが首を傾げるやけにテンションを上げた声のアナウンスが入った。
『さあ、この体育祭も残るはあと一競技になりました!最後を締めくくるのは一番の目玉!組別対抗リレー!実況は私、放送部部長!そして解説は黄組団長さんでーす!』
『うむ。よろしく頼むぞ』
…。何か今日の姉さんのテンションが異常なんだが…。何でちょっとウキウキした声なんだよ。
というか運動嫌いなヤツを解説なんかにしてどうするつもりだよ。
『では選手入場!』
他にも言いたいことが山ほどあるが一旦飲み込んで入場ゲートを潜った。
「何で北川が走るのか知らないけど、絶対負けないからな!」
神崎はそう言いながら屈伸して最後のアップに取りかかっていた。
まぁただの競争だったら俺に勝ち目は皆無だろう。ただ。
「いいこと教えてやるよ、神崎。リレーっていうのは個人の力じゃなくてチームプレーで勝つモンだぜ?」
俺は我ながら悪役のようなニヤケ顔でそう言った。




