俺、行事ごとにアクシデントはつきものだ
不安に思っていた二人三脚は何事もなく終わったが何故か輪廻が前より不機嫌になっていた。
現在は最後の種目の『組別対抗リレー』の選手がアップを取っている。
「…なぁ輪廻」
「何ですか、今、瞑想中なんです。邪魔しないでください」
…先ほどからずっとこの調子だ。
俺が寝てる間に何かあったのか?
ちらりと事情を知っているであろう熊谷を見ると、頭を下げて顔を隠した。
…何かあったんだな、うん。
しかし、輪廻が残念がっているということは失敗したのであろう。俺の体も無傷だし。
「で、そろそろ俺の席から退いてくれませんかね」
「私は日光と十字架とにんにく炒めが嫌いなんです」
「そのネタもうやった!ちょっと炒めてアレンジ加えてんじゃねぇ!」
「あと十分だけ~」
「寝起きの悪い朝か!最終的にずるずるやって退かないヤツだろ!」
「今の私はテコでも動きませんよ。すり抜けますからね」
「そこまで上手じゃねぇのにドヤ顔するな!」
俺のツッコミ三連打が炸裂した後、周りの連中がざわつき始めた。
見るとどうやら青組のアンカーが負傷したらしく、右足を引きずっていた。
「そんな…千里駆は出られないのか…?」
へー、千里駆ってすげー早そうな名前だな。
青組のテンションが下がる中、リレーに抜擢されていたヒカルがこちらに手を振る。
多分、俺じゃないだろう。
「真人~」と声をかけてくる。
おそらく、俺じゃない真人さんなのだろう。
「北川 真人~」と再び声を掛ける。
驚いた。まさか同性同名がいるとは。
ヒカルがテントへ走ってくる。
まぁそれとは関係ないがトイレに行きたくなったな、トイレは。
「ってぐ!?」
輪廻が伸びている鎖をわざと引っ張り、逃げ出しかけていた俺の首を絞めた。
「げほ、げほ!り、輪廻、何でそんなことする…」
「モチロン嫌がらせですよ」
「ほら、真人。早くいくよ!」
ヒカルに捕まりそのまま俺は入場ゲートへと連れていかれた。日陰の中にいた彼女は今日一の笑顔で手を振っていた。




