俺、借り物競争とはここまでカオスだっただろうか
この学校の体育祭は多くの競技が行われるが、無駄に疲れたくない、いわゆる非生産的な俺は二つの競技にしか出ない。
一つは二年生全員参加の借り物競争。もう一つは輪廻から絶対に出ることになった二人三脚である。
まぁ借り物競争は全力疾走する必要はないから楽で良い。逆に二人三脚は何考えてるかわからないので恐ろしいが。
「位置についてよ~い、ドン!」
その掛け声によって俺の一つ前の走者が走り出す。
最初にやるのは借り物競争である。ある程度走ったところでカードを拾い、そこに書かれたお題を借りてくるという何のひねりもない競技だ。
「メガネ!メガネの男性は協力をお願いします!」
そうそう。そんな風に人を呼ぶんだっけな。正直、小恥ずかしいものだ。
「毎日残業ばかりでしんどいお父さん!」
やけにリアルだな。
「子供が言うことを聞かなくて困っているお母さん!」
プライベートがすぎるだろ。
「自分だって辛いんだと放課後ゲーセンに入り浸りたっている子供たち!」
一つドラマできたじゃねえか。
「霊感があるって人!いたら手を挙げて!」
一人の女子生徒がこちらに向かってきた。
ふむ、霊感か。そう言われると俺だけが輪廻のことを見ることが出来るのは霊感が関係しているのかもな。だが、知らない女子と手を繋いで走るとか無理だな、うん。
そう俺が結論付けた時。
「は~い」
府の抜けた声とともに手を挙げたのは同じ青組で長い髪をポニーテールにしている姫ヶ崎夏希だった。
「姫ヶ崎さん、霊感あるの?」
「おじい様が~神主やってて~私もよく神社で遊ぶのですね~」
「それなら問題なさそうね!行きましょう!」
「は~い」
淡いピンクのポニテと豊満な胸を揺らしながら姫ヶ崎は女子生徒とともにゴールへ向かった。
「次の走者、よ~い!」
今思ったが借り物競争ってこんなにカオスな競技だったか?
スタートラインに立った時、運営テントの下で薄笑いしている佐々木を見つけてその原因を理解したが、時すでに遅し。
ピストルが高々と青空に向けられ発砲された。




