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俺、人生初のストーカーを試みる
六限目終わり放課後――。
どうやら今日はサッカーの練習はないらしく(サッカー部練習日の情報提供:輪廻)、追跡で盗撮犯に見つかってはマズいため、神崎の通学路に先に待ち伏せしておくことにした。(神崎の通学路の情報提供:輪廻)
「なぁ、輪廻」
「ハイ?何ですか?」
「これ、変装する意味あるのか?」
帽子のつばを後ろ被りし、グラサンを付けた数世代前のラッパーがガラスの中でこちらを見ている。
「雰囲気ですよ。ただストーカ…追跡するだけじゃ芸がないじゃないですか」
「おい。さっき、ストーカーって言いかけただろ」
「吸血鬼ドラキュラの作者さんがどうかしましたか?」
「そっちは知らねえ」
てか何でそんないらん情報ばっか知ってるんだよ。
「まぁ、その格好なら360度、ラッパーにしか見えないのでとりあえず『Yo!Yo!』言ってればバレませんよ」
「こんな中途半端な都会じゃ逆に浮くわ!」
こいつの少女漫画代でただでさえ少ないっていうのに…。
こんな服、他にいつ着るんだよ。
「それじゃあ私も着替えるとします」
「……は?」
不用意に振り向くと目の前で猫だましを食らった。
途端に目を閉じ、チラッと片目から開くと。
英字の書かれただぶっだぶのTシャツとジーパン姿の春日井輪廻がそこにいた。
そんな彼女のラフな姿に俺は不覚にも可愛いと思ってしまう。




