俺、神崎創始の悩みを聞く
「神崎」
「うおぅ!って何だ北川か。脅かさないでくれよ」
「脅かすつもりは微塵もなかったんだが」
「いやぁ…ははは」
神崎は頭の後ろに手を置いて白々しく笑う。熊谷のは心が傷んだが、こっちはよくわからんが殴りたくなる。
「…で、何があったんだ?」
「何がって何?」
「何がって何って何?」
「何がって何って何がって何?」
…何だ、この一ミリも思考を使わない会話。あと最後『が』が一つ多かったぞ。
「さっさと言え。五秒以内に言わないと殴る。5、0」
「はや!ごふっ!」
と俺の正義の鉄拳が神崎の腹筋に直撃する。その後。
「神崎先輩に、何してるんですか!」
と輪廻の膝が俺の腹に勢いよく突き刺さった。
こ、この女。加減ってものを知らないのか…。
「急に何す、ってあれ?北川?」
「…大丈夫だ」
そう言いつつも、しばらくの間うずくまっている俺だった。
「「盗撮?」」
俺が回復した後、神崎の話を聞いて、思わず輪廻とハモった。
そして、神崎に不自然がられないように目で「お前じゃね?」と送ると、輪廻も無言で首を横に振るだけだった。
てか、お前はしゃべっていいだろ。
「なんか最近誰かにつけられてるっていうか、見られてる気がするんだよな…幽霊にでもとりつかれた気分だ」
「………。」
輪廻に再度「やっぱお前じゃね?」という視線を送るも、同じように横に振るだけだった。
とりあえず神崎と別れた後、ベンチに座って考えることにした。で、第一声。
「お前だろ」
「私じゃないです」
「お前以外に神崎を好き好んで撮るヤツがいるわけない。ということで犯人は春日井輪廻だ」
「そんなことありませんよ。それに私はまず根本としてカメラを持てません」
…くっ!完璧な推理だと思ったが…。
写真か、写真ねぇ…。
「熊谷秋奈…いや、ないな。忘れてくれ」
あの子が盗撮とかしたら五秒もたたずにバレるだろう。
「まぁ秋ちゃんはないですよ。私が神崎先輩の好きなの知ってましたし。…佐々木先輩とかどうですか?」
「どっちの?」
「女子のです。撮った写真を下級生に売り捌いてるかもしれませんよ?」
「……。」
どうしよう。俺は(一応)あいつの友人だからここは「そんなことするわけないだろ」的な言葉を言うべきなのに、容易に想像できて心の中で同意してしまった。
「いいこと思い付きましたよ、北川先輩!」
輪廻が弾んだ声で俺の名を呼ぶ。
…こいつが『いいこと』って言う時ってろくなことがなかった気がするが…。
「今日の放課後、神崎先輩を追跡しましょう!」
はい。予想通りろくでもない指令が出ましたよ。
「それじゃあやってること、盗撮犯と一緒じゃねぇか」
「アチラは犯罪。こちらは捜査です!天と海底ぐらい違います」
地を突き抜けて海までいったか。それは大分違うな。
と、半ば諦め気味の俺は、足下の水溜まりでストーカーのような自分の姿を未来視した。




