俺、幽霊の友の現状を知る
「北川君に頼みたいのはこの子よ」
昼休み。出席番号的に隣の席の佐々木が一枚の写真を見せてきた。
「ねー。それ何の写真ー?」
空気を読まずに入ってきたヒカルに。
「あなたには関係ないから神崎君とごはん行ってきて」
慣れた口調で佐々木がいなした。
「おっけー。んじゃあ創始、いこうぜ~!」
「ん?あ、あぁ」
…。今日の神崎は様子がおかしい気がする。
「どうしたんですかね、神崎先輩…」
「…さあな」
とりあえず神崎の方は置いておいて、今は佐々木の写真に注目した。
佐々木が指差しているところは、写真内で端に立っている今朝のショートヘヤー少女だった。
「この子の名前は熊谷 秋奈。私の写真部の後輩よ」
へ~写真部の後輩ねぇ~って。
「お前、写真部だったのかよ」
「あら、言ってなかったかしら?」
「安定の初耳だ」
何か部活に入ってるっていうのは知ってたが、写真部だったとはな。
「で?その子がどうしたって?」
「…あなたは会ったからわかると思うけど、あの子、熊谷さんは人と話すことに苦手意識があるみたいなの」
確かにあまり色濃くは覚えていないが、たどたどしいというか落ち着きのなかった印象がある。
「だから、部活でもクラスでも馴染めってなかったみたいで…」
「でも、普通に純粋そうな子にしか見えなかったぞ」
「男の人から見たらそうかもしれないけど、女子の世界ではああゆう可愛いくて少し天然の子は生きづらいのよ」
佐々木は一旦視線を外して、窓の外の曇り空を見つめた。
まぁ男の世界の世界より怖いっていうのはよく言われるし、話の大筋は理解できた。
「つまり、どうにかして彼女の苦手意識を取り除いてくれと?」
「そうゆうことよ」
「けど、お前がやれば良くないか?」
「駄目よ。そんなことしたら贔屓してると思われるわ」
やれやれ。女子の世界は俺が思っている以上に厳しいようだ。
「正直、最後手段として北川君に頼みなさいって言ったんだけど、四月のことがよっぽどショックだったのね。…北川君ならわかるでしょ?」
ん?四月?ショック?
今年の俺の四月っていったら、輪廻と出会って、っとその前に輪廻が車に轢か、れ…て…。
「秋ちゃんは私の友達ですよ」
背後からずっと静かだった幽霊が口を開いた。
「…友達、いないんじゃなかったか?」
「いないとは言ってませんよ。少ないっていったんです」
「彼女は危なっかしいわ。いつでも倒れる。だから君にお願いしたいの…」
「………」
佐々木は雲を見つめて、低いトーンでそう言った。




