俺、友人からやけに重たい頼み事をされる
「ささきぃぃぃ!」
豪快に教室のドアを開き、俺は主犯の名を叫ぶ。
「ん?僕に何か用?」
「お前じゃないほうの佐々木だ」
「光ちゃんなら…あ!今来たよ」
「ささきぃぃぃ!」
本日二度目の怒号である。
「…何?朝っぱらから」
「『何?』はこっちのセリフだ。後輩に俺のデマ情報を流した理由を端的に述べよ!」
「面白そうだから」
こ、このやろう。
一時の笑いのために俺の後輩からの威厳を無茶苦茶にしやがって…。
「それにデマを流した覚えはないわ。私はちょっと腐った子にこの画像を見せながら説明しただけよ」
画像?…って
「お、お前…それは…!」
佐々木の持っている少し旧式のスマートフォンにはある画像が写し出されていた。
修学旅行初日の食堂で起きた、『神崎×北川事件(命名:佐々木 光)』の最後のワンシーンの画像だ。
「…そういえばあの時、北川先輩になにもしていませんでしたね…。今からでも八つ裂きにしましょうか」
「佐々木、いや佐々木さん。むしろ、佐々木様。今すぐにその画像を消去してくださいませんか?してください」
「大丈夫。大丈夫。コピーして他の子にはやってないからb肖像権の侵害になるし」
「もう俺の権利は侵害されてる!」
ぎゃーぎゃーと口論を続けていると、後方のドアから神崎が入ってきた。
「…おはようさん」
心無しかとても疲れているように見える。
「…うーん。私は比較的に秘密を守れそうな子に教えたのだけど、誰に聞いたのかしら」
「えーと」
…そういえばあの子に名前聞くの忘れたな。
「ショートヘヤの茶髪で…なんか純粋そうな子だ」
「…やっぱり熊谷さんね」
佐々木は右手で顎をつき、俺に聞こえるかわからないぐらいの声で。
「…早いわね」
そう呟き、再度俺の方を見て。
「ねぇ、北川君。一つ頼み事を聞いてくれないかしら」
今日6月1日。空模様は梅雨のためか、曇りだった。




