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ヤンデレ幽霊は成仏できない!?  作者: 枯山水産
二章 波乱の修学旅行
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私、心中作戦失敗に終わる

「というわけで、この三日間は遊びではなく一人一人の支え合いに場として」

研修室の教壇に立って話をする教師に対して、北川先輩はしおりを立てて寝ている。

そんな彼の隣には私の意中の人、神崎創始先輩がかろうじて半眼を見開いていた。


神崎先輩のことを知ったのは中学二年の時。

当時、サッカー部のキャプテンだった先輩を見て私は直感した。

この人だ。この人しかいない。

私の求める少女漫画のヒーローのような人は。

私は彼に近づく卑しい雌を片っ端から潰していった。

緻密な策略を立て、より陰湿に。よりたちの悪いもの悪いものを。流血沙汰にもしばしばなった。

足がつかないように友達の数も少なかったが、別に対して気にはならなかった。


そんな私は今やこのザマだ。

北川先輩の体に憑き、『入れ替わり』の時しか物すら触ることが出来ない。

それでも私は彼のことを諦めきれなかった。

例え幽体だろうと別の体だろうと、それだけは諦めきれなかった。


では具体的にはどうしたら良いのか私は考えた。

まさか幽霊に体が元に戻るようなメルヘンチックなことが起きないだろう。

となると取れる手段は限られている。いや、私には一つしか思い付かなかった。


『神崎先輩を殺して心中しよう』


心中ENDだって立派なハッピーエンドだ。おまけ(北川先輩)も一緒に死ぬことになるけど、生きて世間から責められ続けるよりマシでしょう。

という訳で私は今日のこの日を心中の日と定め、完璧な作戦を準備していた。

が、北川先輩のバックに入れてたのはバレてしまったので最後の一つまで追い込まれていた。


教師の話が終わった後、私は最後の希望に望みを掛け北川先輩の首輪のボタンを押した。

鎖がしゅるしゅると巻き取られ、心と体が入れ替わる。

立って寝ている私(先輩)をとりあえず床に寝かし、先輩(私)は意中の人の前に立った。

フフフ、見せてやりますよ、神崎先輩。私、春日井輪廻の限界を…!

「どうした?」と言わんばかりの表情の神崎先輩に、何百回と練習した言葉を口に出した。

「かかかか、神崎君。おおお俺と一緒に、めめめ飯でもどうだい?」


…はい。これが私の本気です。

過剰すぎる愛は時に障害となるものなのです。

ですがご飯に誘うというミッションはコンプリートしました。

後はバレないように…。

隣でオムライスを食べる神崎先輩の隙を見て、コップの中に粉の睡眠薬を入れた。

ふっ。灯台もと暗しってやつですね、北川先輩。

まさかポケットに入ってたのが、ティッシュではなく睡眠薬が入った袋とは夢にも思わないでしょう。

少々予定が狂いましたが、あの大量の睡眠薬を飲めば安楽死待ったなしです。


自分のコップにも粉を入れ、神崎先輩がコップのお茶を飲んだ瞬間…!

「やっぱ、お茶は緑茶に限るな」

…何も起こらなかった。

ポケットの中を再度ガサゴソすると小さなメモが入っていて。


『物騒なのが入ってたから栄養剤と取り替えとく by.北川』


「……」

何処にもぶつけられないこの怒りを私は大好きなハンバーグを食べることで払拭した。

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