流石国一番の公爵家ご当主様!!(後)
ハッピーニューイヤー!!
明けましておめでとうございます。今年も作品共々宜しくお願いします。
これからも日々精進して参りますので、読んでくださると幸いです。
それでは後編です。
どうも、今すごくご当主様のぶっ飛び加減(主に頭)に呆れています、名無しの七歳児、男です。
あのあとグダグタと寄り道をしながらなんとか、話を進めた。
…でもやっぱりご当主様のちょっとアレな思考回路に、本当にこの国一番の公爵家ご当主なのかと小一時間ほど問い詰めたくなったが、まあそこは致し方ないだろう。今の俺の好感度はだだ下がりだ。
そして肝心の話の内容については、俺が良ければだが是非とも明日から働いて欲しいと言われた。一応公爵家の側仕えという仕事上、礼儀作法を仕込むためにアラン様のお昼寝の時間に教育係をつけて勉強もさせてくれるらしい。
そして礼儀作法が身に付いたら徐々に座学や体術などありとあらゆる稽古をつけて、アラン様を守れるようにしろ、とのことだった。
ここで側仕えの仕事について話すが、側仕えとは一般的に身分の高い主人の側で常に仕えること、だそうだ。…そのまんまじゃねぇか。
そんで俺がアラン様の側仕えになると朝から晩まで側に仕えて、まだまだ幼いアラン様の為に遊び相手にもなって欲しい。さらに成長して学園に通えるようになると、俺も同学年として学園に同伴してもらう、ということだった。
世の中話を聞くなかでは側仕えなどはあまり待遇がよろしくないらしい。身分の高い人達は自分に仕えるのが当たり前と思っている節があり、結果いいようにこき使われるようだ。
それに比べ、多少外面を守る為とは言え、十分に学のない俺に教育をしてくれるし、アラン様は幼いのでそこまで無茶な命令は下さないだろう。
「さて、これで私からの話は終わりだ。……君はこの話を受けてくれるかい?」
答えはもう決まっている。
「勿論、喜んで承けさせてもらいます。」
そうか、と安心したように笑ったご当主様はさらに、君はどこまで勉強ができるかい?と尋ねてきた。
あぁそうか、俺を教育するにあたって俺がどこまで出来るのか学力を掌握しないといけないもんな。だが尋ねてきた当の本人は既に俺から目を離して、ついでだから聞いてみた、な雰囲気をムンムンに出していた。
多分どうせ何もできないんだろ、とか、読み書きから勉強させなきゃな、とか思ってるんだろ!!
けど残念でしたぁ!!
「基本的な読み書きと計算なら一通り出来ます。あと微力ながら魔法も使えますし、古代文字も少しだけなら読めます。」
ふっ、ざまあみろ!!ご当主様に奥様にライナーさん、その他諸々の人達がそう言い放った俺の顔を勢いよく振り返り凝視してくる。……そんなに見つめちゃ、イヤン。
「ほ、本当かい?」
「本当です。」
じゃ、じゃあこれは!?と手元にあった紙に字を書き殴ってこちらに寄越してきたご当主様。
…そんなに信じられないか。
「あいうえお、ですよね。」
「あ、当たってる…」
愕然とした顔になったご当主様。ちょっと傷つくぞ。
じゃあこれは!?これは難しいわよ、と次に言ってきたのは奥様。ええと、なになに…
「世界一美しくお優しい奥様。その肌は異国に伝わる真珠のように白く煌めき、澄みわたるようなハニーブラウンの瞳と豊かな黄金色の髪があいまって、まるで天界に居る美と愛の女神がこの世に舞い降りてきたかのようだ。あぁ、私のような者があなた様のように誠に美しい方を視界に入れることをお許しください……。」
おい、おい…っ!!なんだこれ!!顔を上げるとうっとりと悦に入った奥様とそんな奥様になにそれ、ズルい!と怒るご当主様が居た。ズルいってあんたねぇ…っ!!ああもう、怒る気力すらなくなってきた。
「まあまあ、落ち着いてください。それじゃ君、最後にこれを読んで下さいな。」
ライナーさんに紙を手渡される。ああ、まともな人がここに居た!!なんだかライナーさんの周りが輝いて見えるぞ。えっと…
「ライナーさんはいかなる仕事も迅速に処理し、気が利く素晴らしい方です。また男性としても魅力が溢れ、未だに独り身なのが不思議なくらいです。その甘めのマスクで微笑まれたら女性はイチコロでしょう。私は側仕えとしても一人の男としても尊敬しています。」
ライナーさん、お前もか……っ!!




