杏奈と岡本くん
こんにちは(^^)
読んでいただきありがとうございます♪
毎回毎回サブタイトルを考えるのが
一番苦労してます(- -;)
一番注目して読んでいただきたい部分になるように心がけています。
それではお楽しみください☆
昨日のことが頭から離れないまま朝をむかえた。
あまり気にすることでも無いと思うけれど、やはり頭の片隅に残っている。
まだ慣れない足取りで学校へ着く。
玄関へ入り下駄箱から靴を取り出すと同時に小さな紙が出てきた。
不審に思ったが読んでみると、そこには黒いペンで『話がしたいです。13時に教室へ伺います。』と書いてあった。
転校してきたばかりだから嫌がらせかと思いつつ、教室へ行って杏奈に相談することにした。
「おはよう、杏奈」
「おはよう!」
杏奈はニコニコして挨拶してくれた。
「あのさ…これ……」
不安げに杏奈に紙を見せると、杏奈は目を見開いて興味深くその紙を見ていた。
「杏奈、これ何だろう。気味が悪いんだ」
私がそう言った直後、杏奈は「鈍い!」と大声を出して紙を私の顔ぎりぎりに差し出した。
「そら、これは100%告白だよ…」
「えぇ!?」
あまりにも杏奈が呆れている。口をパクパクしている私をよそに黙々と話し出した。
「まず明らかに男子の字でしょ!それに時間は入学式が始まる前にほとんどの生徒が下校し始める13時!私の予想だと…この字は岡本かなぁ」
「なるほど」と言うように首をコクコクと縦に振って杏奈の話を聞いた。「岡本…くんって誰?」と聞くと杏奈は少しため息をついた。
「皮肉にも私の元カレ…やめた方が良いよ」
「わ、私付き合う気なんてないよ……」
慌てて否定すると、ドアの方から男子が数人入ってきた。その中に安藤くんがいることに気付き、急いで視線をそらすが遅かった。
「おはよ、そ…」
安藤くんと目が合ってお互い視線をそらした。
(気まずい……今絶対安藤くん「そら」って言おうとした…)
そんなことを思いながら目を合わせないまま
「おはよう…安藤くん」と言うと安藤くんも「おはよう、そ…ら」と慣れない様子でいた。
そんな私たちを見て杏奈が気付かないはずがない。杏奈は私と安藤くんの顔を見比べてニヤリと笑った。
「あれれ~?どうしたの2人して(笑)顔が真っ赤だよ?」
ハッとして顔を上げると安藤くんが人指し指を立てて口に当て、「2人だけの秘密だから杏奈には教えられないな(笑)」と笑って自分の席へ行った。
「何なのー2人だけの秘密って!それよりそらのこと名前で呼ぶんだぁ…祐希もなかなかやるなあ」
杏奈がまたニヤリとそらの顔を見る。
「杏奈だって名前で呼び合ってるじゃん」
つい言ってしまった。
「あぁ、祐希とは小学校からの仲だし今も塾同じだし……気になるの?」
また杏奈は不気味な笑みを浮かべて意地悪そうに言った。
「違うよ、それより今は岡本くんとかいう人の方をどうにかしたい…」
朝までは昨日のことで混乱していたが、今は告白(?)のことで頭がいっぱいだった。
そして放課後―――
生徒会や委員会・部活動の代表を除く全ての生徒が下校となり、私はモヤモヤした状態のまま教室で待った。
生徒がほとんど下校すると岡本くんらしき人が教室に入って来た。
「あの、下駄箱の紙…僕です」
とっさに「あなた岡本くん?」と言いそうになった。まさかそんなことは言えないので「話って何ですか?」と言って誤魔化した。
「ごめんね、放課後に…そろそろ入学式始まるから手短に話すね。まず僕は2組の岡本創」
自己紹介されたのでペコリと頭を下げて「美木森そらです」と言った。
(やっぱり岡本くんか…)
内心、杏奈の予想が当たって驚いていた。
そんなそらに構わず話を進めた。
「あの、美木森さんのこと昨日から良いなって思ってたんですけど…良かったら僕と付き合ってください」
私をまっすぐ見つめていたので、思わず目をそらした。
(やっぱり告白だったんだ……)
私はしっかり岡本くんの顔を見て言った。
「ありがとう、嬉しいよ。きっと岡本くんはすごくいい人なんだと思う。でも私には好きな人がいるし、自分が好きだと思う人じゃないとダメなんだ…ごめんね」
岡本くんは一瞬表情を曇らせたが、すぐに笑ってくれた。
「聞いてくれてありがとう。あの…無理にとは言わないからさ、友達にはなってくれる?」
少し迷ったけど、転校したばかりでまだ友達が少なかった私はあっさり「いいよ」と言ってしまった。
その後すぐに帰ることにして校門で別れるとき岡本くんに
「美木森さんのこと『そらちゃん』って呼んでも良い?」
と言われ、安藤くんのことを思い出した。
(安藤くんも呼んでるからな、大丈夫か)
大したことないと思って「うん、良いよ」と言った。
岡本くんはすごく笑顔になって「じゃあ、僕のことも創でいいよ」と言ったが、呼び捨ては気が引けるので創くんと呼ぶことにした。
家へ帰って今日聞いた杏奈の連絡先に電話をする。
「もしもし杏奈?」
『あ、そら!やっぱり岡本だった?』
「うん…ちゃんと断ったよ」
『そっかぁ、良かったぁ。そらには好きな人いるもんね』
「…でも、創くんと友達になったんだ」
『………え?』
杏奈の暗い声が聞こえた。
(…もしかして、杏奈………)
「杏奈…創くんのこと好きなの?」
思いきって杏奈に言ってみたが、杏奈は黙りこんでしまった。
「ごめん今の無し!……杏奈?」
しばらくの沈黙のあと、杏奈が小さな声で言った。
『私ね…まだ創のこと好きなんだ………』
電話の向こうで杏奈は泣いていた。
今回も少し長めで半日しか進みませんでした(ノ_・,)
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