転校初日~そらの好きな人~
「え、そらちゃん!?」
みんなが驚いて私の方に視線を返してきて焦ったが、私は続けた。
「私は毎晩星を見て星を勉強してるの、星検だって持ってるの!」
すると祐希という生徒は「星検」という言葉に反応して、そらに近寄った。
「星検持ってんのか!?何級!?」
「え…3級だけど……」
「オレも3級持ってんだ!」
「あなたも!?嬉しい!クラスメイトに星に詳しい人がいて」
2人が「星検」の話題で盛り上がってるなか、他のクラスメイトは「星検」とは何のことかをヒソヒソと話している。
「あのさあ!星検って何?」
1人の男子生徒が2人に向かって言った。
「「星空宇宙天文検定」」
2人が同時に答え、星の話ばかりしているのでクラスメイトたちはそらへの質問を再開した。
「ね…ねぇ、逆に嫌いなこととか物ってあるの?」
「えっ、あ…雨が嫌いです」
少し目線が窓の方にいった。
今日は雲1つない快晴だ。
「どうして雨が嫌いなの?」
「だって……」
一瞬君の…――私の恋人だった岸田宙生のことが頭をよぎった。
「だって……髪の毛が広がっちゃうし、星がよく見えないでしょ?」
懸命に笑顔を作って答えた。
クラスメイトは「やっぱり星関係なんだね」と笑ってくれたから良かったものの、笑顔を作るのが辛かった…。
その後先生がプリントを持って帰ってきて、HRは終わり、すぐに下校となった。
「下校って言っても明日の入学式準備があるからすぐには帰れないんだよねー」
私の後ろの子が荷物を整理しながらつぶやいた。
「今から準備するの?」
私が振り返って言ったため、後ろの子はびっくりしていた。
「あ…うん、3年生が中心で掃除したり椅子並べたりするんだよ」
「ごめんなさい、急に…」
「大丈夫だよ(笑)私八坂杏奈、杏奈でいーよ」
「私もそらでいーよ」
杏奈はすごく美人で背が高くてモデルみたいだった。
「なんなら学校案内してあげようか?入学式の準備のついでに」
「え、いーの?ありがとう!」
こうして私は杏奈と校内を歩いた。
「……そういえばさぁ…」
杏奈が私の顔を見て言った。
「…何?」
私も杏奈の顔を見た。
「さっき聞くの忘れてたんだけど、そら好きな人とかいるの?」
胸がドクンと鳴った。杏奈は私が答えるのを待ってくれている。
「…私の好きな人…は……」