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空想的な現代社会  作者: 高野知彦
第一章 天魔ヶ原の生徒 編
5/6

第一話 四幕―戦闘技能訓練

やっとファンタジーらしく魔法がバンバン出ます。

視点は相変わらず侑子の一人称でお送りしていきます。


テキスト量を増やしました(2月20日現在)

 今回はタッグマッチを何戦かこなすらしく、一戦目は覆面男とドレス少女と当たることになった。

「ふっ…俺にれるとヤケドす…ぶべっ!」

 格好つけた言いまわしをしようとした覆面男は、それはもう見事にすっ転んだ。顔から床に。バチコーンといった具合で。

「あらあら、あまり図に乗ると身を滅ぼしますわよ」

 少女の方は落ち着いた物腰で、外見と似つかわしい印象が漂っていた。どこから、いつの間に取り出したのかおうぎで涼しげにあおいでいた。

「…ジーザスだ」

 先ほどコケたのを誤魔化ごまかすかのように覆面の男は自身の名を名乗った。が、鼻から血がポタポタと垂れており、いまいち格好がついていなかった。

「セリシア・レ・ハイエスフィールですわ」

 覆面男に続き、少女が名乗る。フランス人だろうか。流れるような美しい言葉遣ことばづかいから、少女がまとう雰囲気が洗練された、高貴な身分であることがうかがい知れた。

「我輩は黒田雅紀。コイツの名は榊原侑子である」

 雅紀が俺の分も併せて紹介を済ます。

 ジーザスと名乗った覆面男は、なにが可笑しいのかくつくつと笑い出した。

「悪いが、勝たせてもらうぜぇ…クククククク…」

 始まる前に勝ち宣言…。それって、俗にいう“フラグ”というやつではないだろうか。

 そんな俺の内心のツッコミを尻目に、まもなく、一戦目が始まろうとしていた。


 ケイス教員の試合開始の合図と同時に、雅紀は敵前に向かって駆け出した。敵の懐に潜り込み、初撃を喰らわせるつもりか。

 雅紀が外側に腕を振るう。その手には、ナイフが握られていた。指の間に一本ずつ挟まれているナイフ。それは、雅紀が攻撃を当てる寸前に薄く輝いた。

 セリシアはナイフの斬撃をモロに受けると見えたが、雅紀のナイフがヒットした瞬間、ゆらり、とその身体は掻き消えた。刹那、雅紀の横を一陣の風がひゅうと吹き抜けた。

「ッ!疾風魔法か!」

 雅紀が叫ぶ。セリシアはどうやら疾風魔法で虚像を作り出していたようだ。フィールドに小さな旋風が発生し、消えた。それと同時に、セリシアが姿を現す。

 雅紀と俺が彼女に気をとられている間に、ジーザスが雅紀に急接近する。腕を振りかぶり、どうやら殴りかかるようだ。

余所見よそみすんな……っつーの!」

 ジーザスは拳を突き出した。雅紀はサイドステップでかわす。が、ジーザスの拳から、ほのおが放出され、わずかに服を焦がす。どうやら、ナックルタイプの魔導具を身に着けているらしい。

 雅紀は俺を見てニヤリと笑った。

 口にするまでもない。ヤツの意図は長年付き合ってきた俺だから良く解った。

 相手の手の内はこのやりとりである程度見えた。

 俺は背負っている魔導具から、秘密兵器を取り出した。

 さて、反撃といきますかね。 

「ファンネルッ!!」

 ランドセル型の魔導具に、俺は魔力を込めた。

 数瞬の後、次々と飛び出していく小型魔導銃器―俺は某ロボットアニメからイメージを得、ファンネルと呼んでいる―は、まるで意思を持っているかのように拳を振りぬいた姿勢の覆面男に接近した。

 実はこの魔導具、中々厄介なクセを持っており、使用者の想像力、注入される魔力量によって複雑に行動パターンを分岐させる。

 つまり、相手の周囲で不規則に動き回りながら魔道弾を打ち込むことも、遠くから凄まじい量の魔法熱線を垂れ流すことも出来る。その点、某アニメのような攻撃ができるという訳だ。…代償に使用者の気力や精神力を磨耗まもうさせるが。

 相手の不意をついた攻撃は、見事に全て命中し、ゴンという大きな音を立てジーザスは床に倒れた。

「降参ですわ」

 倒れたジーザスを一瞥いちべつし、セリシアは手をひらひらと振った。

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