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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第一章『光の掟』
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第一章『光の掟』・第三話『虹の破片・重複せし灯火』Part1

『僕には貴女を守る力はありません。だから、代わりにこの石が綾乃さんを守ります』

 異世界の少女・綾乃はパシエンテ(不治の病を持つ者の意)の少年・レウィンと旅立つ決意をする。知識を一定以上得るまで指導を受けるべく、太陽城に滞在することになった綾乃だったが・・・・・!?



 アヤノ・・・・アヤノ。


 オレハ・・・・ココニイル・・・・。








「はい、全問正解です」

「よっし!!」

「よく勉強していらっしゃるようですね」

「エスティ君の教え方が上手いからだよ。勉強するのが楽しいの」

「そう言っていただけると、とても嬉しいです」

「あーもう、勉強疲れた・・・・・。レンだけの時はいいんだけど、クィルさんいると、はい勉強勉強勉強ー!!って詰め寄ってくるんだもん。疲れるよ」

 想像するのが容易過ぎて、レウィンは苦笑した。

 勉強用のテーブルに突っ伏した綾乃は、不意にむくりと頭だけ起こす。

 そうして、視界に立ったまま勉強用の教材を先読みするレウィンを捉える。

「ねーエスティ君」

「はい?何でしょう」

「太陽城の城下町ってどんなところ?」

「賑やかで・・・・活気に満ち溢れてて。僕にとっては凄く好きな場所ですけど・・・・・急に・・・・城下町がどうかしたんですか?」

「城の小間使いさんに聞いたの。いいところだって」

 綾乃は裏世界に来てからたった一度だけ城を出た。

 けれど、出たのは城の門の中までだ。

 その際レウィンと出会ったのだが、遠巻きに街が見えたくらいだった。

 城から出て、のびのびしたいのは当たり前のことだ。

「行って・・・・みたいなあ」

「行ってみますか?」

「え・・・・いいの?」

 ひょきっと、跳ね上がるようにしてものすごい勢いで起き上がった。

「陛下の許可を取って参りましょう。ずっと室内にいらっしゃると体が鈍りまってしまいますし。一息入れるということで、いかがですか?」

「行く!行きたい!!」

「けれど、いつも通り課題は出しますよ」

「うん。どうせ本一冊読んでくるようにって言うんでしょ?」

 一応しっかり課題という形で釘を刺すレウィンだが、この課題はいつもと同じ。

「はい、そうです。読書好きの綾乃さんには難なく熟せるでしょう。この国―――太陽国の風土記です。旅に出れは、すぐにでも必要になることでしょう。念入りに読んでおいて下さい。いつものように、それについて話し合い、内容の再確認と記述されてないことを補充しますから」

「了解。ちゃんとやる」

 綾乃はその課題が結構好きだ。

 翌日にあるその話し合いが、勉強開始時間より始まりが早まるのはそのためだ。

 大抵はレウィンが城に来次第始まる。

 いつも勉強の本であるとは限らず、レウィンが読んで勉強になると感じた物や童話なども含まれている。

 趣味が合うらしく、レウィンの選んだ本は面白くて流れるように最後まで読んでしまうものばかりだ。

 勿論その全てをレウィンは読破しているので、毎回会話は弾む。

 その時間は、綾乃にとってもレウィンにとっても楽しい時間となっている。

「では、許可を取ってきますから。その間に本を片付けたり資料を纏めておいて貰えますか?」

「わかった!」

 課題で喜ぶのは少し可笑しいかもしれないが、どこか嬉しそうなオーラを放つ綾乃を見てレウィンも微笑んでしまう。

 よほど城下町散策が楽しみなのか、綾乃はいそいそとテーブルを片付け始めた。





「わあ、これ可愛い!!」

 サフィールの許可は何ともあっさり得られ、綾乃とレウィンは城下町にやってきた。

 綾乃は初めてでテンションが上がり、主に装飾店に寄りたがった。

 それにレウィンは嬉々としてついて行っていた・・・・・が。

「ね!これ良くない?・・・・・・ってあれ?」

 オレンジの石が付いた指輪を自らの指にはめて振り返ったが、そこにレウィンの姿はなかった。

「まあ・・・・・ほんとについさっきまでいたんだし、何か買いたい物でもあったのかも。すぐ戻ってくるだろうからここでゆっくり見せて貰っとこ」

 小声で言って、綾乃はまた商品を吟味し始めた。

 流石太陽国だけあって赤・黄・橙系の色のものが多い。

 店の数は計り知れないほどあり、回れても三分の一程度だと思われた。

「これ、いくらだろ・・・・・4マルト?」

「お客さん、どうかしたかい?」

 見兼ねた店の人が店内から出て来た。

 50代くらいの、少し体付きのゴツい女だった。

「あの、マルトって・・・・・?」

「違うよ。Maltって書いて、メルトって読むんだよ」

「メル・・・ト?」

「おや。通貨単位も知らないのかい。全国共通の筈なんだがねえ」

「すみません・・・・・」

 女の呆れたような言い方に、綾乃は俯いて謝った。

 ・・・・・・・と、そこによく知る声が聞こえてくる。

「4メルトは表世界で言う1004円のことですよ。1メルトは251円なんです」

 レウィンが小さな包みを持って綾乃のすぐ後ろに立っていた。

「中途半端だね・・・・・・」

「そんなものです。本当は、250.876円ですから。そんなに上手く換算なんて出来ないものです」

 言って笑みを見せる少年の姿に、女は見覚えがあった。

「あれ・・・・・お前さんは・・・・・レウィンじゃないのかい?久しぶりだねえ。元気にしてたかい?」

「お久しぶりです、おばさん」

 笑顔を見せるレウィンの頭を女がくしゃくしゃと撫でた。

「その子はもしかしてレウィン君の連れかい?可愛い御嬢さんだねえ」

「お、おばさん!!」

 レウィンも、綾乃も照れて俯いた。

「おおっと。余計なこと言っちまったかねぇ」

「ところでエスティ君、どこに行ってたの?」

「ああ、忘れてた。・・・・・・はい、これ綾乃さんに」

 持っていた包みを開け、中から取り出したものを綾乃の首につけた。

 革紐に、直径1㎝くらいの大きさの、透明のガラスに覆われた虹の宝石が付いている。

「ペンダント・・・・?凄く綺麗・・・・・」

 似合っていらっしゃいます、とレウィンも嬉しそうにしている。

「レウィン、それはまさか・・・・・」

「はい。そのまさかです。護り石のペンダントです」

「なら、またダルテさんとこ大変なことになってるだろう。お前が来ると損なのか得なのか訳が分からないってよくアヤツ言ってるよ。アタシにとっちゃ、商売上がったりなんじゃ?って思うけど」

「えへへ・・・」

 突然、女がレウィンに向けてにやりと笑う。

 意図がイマイチ掴めない綾乃は、超傍観者的な立場で二人を交互に見つめた。

「レウィンの知識には恐れ入るよ。今日はいいのが手に入ったのかい?」

「それなりに!」

「いくつだい?」

「そうですね、三つ、といったところですね」

「三つ!?凄いじゃないかい!!そう簡単には見つからないよ!!」

「よかったねえ、御嬢さん」

「何のこと・・・・・・ですか?その三つとかって・・・・・何が三つ何ですか?教えて下さい」

「護り石のペンダントは有名だろう?通貨の単位も知らなかったようだし・・・・・どうしたんだい?」

「え、あの・・・・・えっと・・・・・」

「彼女、記憶喪失なのです。少しずつ思い出しているようなのですが、それらについてはまだ・・・・・・・・」と、レウィンは表世界の話に触れないようにそのことだけを事実から抽出した。

「そうかい。何か辛いことでもあったんだろう。可哀相にねえ」

「いえ・・・・・・」

「で、何なんですか?」

「この護り石のペンダントはねぇ、各国で産出される宝石から作られているんだ」

「宝石・・・・・?」

 縦縞の虹のように輝くその石の一層一層は、実は原石から価値の少ない残りカスの部分を薄く加工し、外側を透明のガラスで包むことで接着させたものである。

 一握りの価値の高い宝石には、魔力が宿っていることがある。

 採掘技術のあまり発達していない国があるために高級であるそれを買えるのは、各国の上位層でしか有り得ない。

 だが、その価値の低いものならば一般市民でも手に入るのだ。

 運が良ければ、中に一度だけ魔力が使える部分が混じっていることがある。

「じゃあ・・・・・このペンダントの石の十層の内、三層に魔力が宿ってるっていうこと?」

「はい。それが先程話していた“三つ”の意味です」

「御嬢さん、レウィン君は凄いんだよ。そうやって見ただけでどれが魔力を宿してるか分かるんだ。一つでも稀なのに運がいいねえ。そんなものをあげるなんて、よほどレウィンにとって大切な人だと見える」

「お、おばさん!!からかうのはやめて頂けませんか!?」

「おおっと、怖い怖い」

「・・・・・・ったくもう」

 真っ赤になって怒るレウィンが何だか無性に可愛らしくて、綾乃はじっと見つめていた。

 長話をしていたせいで日が暮れ、城まで綾乃を送り届けるとレウィンはそそくさと帰ってしまった。

 心なしかフードから覗く顔が赤く染まったままだったような気がして、そのこと思い出した綾乃も頬を赤く染める。

 レウィンは、いつもどこか自分のことを隠してる。

 サフィールは理由を知っていたので、教えてくれたのだが、自分がパシエンテであるからということらしい。

 やはりパシエンテというのはいろいろ付き纏ってくるのだ。

 綾乃が心に描いている以上に。

 でもそんな彼の一面が見えた気がして、何だか嬉しかった。

 名前の分からぬ感情が、この日を境に綾乃の中で渦巻き始めた。








 翌朝

 起きてすぐ違和感を覚えた綾乃は自室に備え付けられた巨大な鏡に、自分の姿を映した。その途端、綾乃はフリーズする。

「な・・・な・・な・・っ!何これ!わ、私・・・」

 映ったのは少年。顔が綾乃と瓜二つの。

 セミロングだった綾乃の髪は、思いっ切りショートだった。でも、男子にしては少し長めな気がする。

 性別関係無しの服をわざわざクローゼットから探し出して、それを身に着けた。

 それから急いで、朝食を食べ、自室にいるだろうサフィールの元へ駈け出した。









活動報告、これから少しずつ書いていきます。

是非見て下さい!


pixivにてキャライメージ画を掲載しているので、そちらもヨロシク!!

本当に読んで頂きありがとうございます!

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