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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第九章『砂の掟』
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第九章『砂の掟』・第二話『昔からの約定・複雑な恋心』Part2






 議会の議題・・・・・・それは、金星国ノーリネス家の王権剥奪について。

 サラは魔力を失い、それが戻る見込みは無い。

 何故なら、冥王星国を倒さない限り奪われた力は取り戻せないからだ・・・・・・・・。

 それ以上、サラは国を守る力は無く、守護神として認められないのである。

 議会の会場である金星城のホールでは、既に各国の王家代表がうち揃い、各々の席に座って待機していた。

 通例守護神達もこの議会に参加が義務付けられる。

 今までは旅中だったという理由で欠席であったが、今回の議会では守護神が大いに関係を持っている為に強制参加となる。

 レイトは流石にその頭脳故に事の次第を理解していたが、他のメンバーは何が議題とされるのか理解出来ず、レイトの深刻そうな顔の意図が読み取れなかった。

《レイト、どうしたその顔。何かあったのか?》

「いえ・・・・・ちょっと」



『ご静粛に。この度は、お忙しいところご臨席賜り誠にありがとうございます』



『今回の議会では、金星国の王権剥奪の件について話し合うことになっております。お手元に配布される資料を御確認下さい』



「なんだって!?王権剥奪!?」

 テイムが驚いて声を上げ、金星国王家の者であるサラを見た。

 サラの方も驚きを隠せず、目を見開いて固まってしまっている。

 配られた資料には、地球国での一連の事件が記載されていて。

 読んだらしい議員達のサラを罵倒する声が響く。

 ―――何と軽率な

 ―――幼いとはいえ、国を任されし者にも関わらず・・・・・無責任な

 ―――国のことをちゃんとお考えだったのか

 ―――ノーリネス家もお仕舞いだな

 ―――フェン様が敵になられたなんて・・・・・金星国も落ちぶれたな。同じ議会に集う者として情けない

 サラが椅子の上で丸くなり、顔を埋めた。

 背をよしよしと綾乃が撫でて宥めに入るが、何百人もの人に言われるのは相当辛い筈だ。

 レイトも関わっているし、辛いところだ。

 配布された資料には、金星国王位第一継承者が敵国に回り、海王星国守護神は本来の力を取り戻し、引き換えに自ら金星国守護神は魔力を捧げた―――およそそのような内容が記されていた。




「発言を、お許しいただけますか」




 散々罵倒が続く中、ホールに凛とした声が響く。

 隣に座っていた綾乃は立ち上がったレイトを見上げた。




「貴方は・・・・・・・海王星国守護神殿・・・・・・!!」

 議会の司会が声を上げる。

 そう、レイトは5歳から金星城で身分を隠して働いていた為、公に姿を現したのは4年前の海王星国守護神継承の儀のみだった。

 更にその時は、観覧席からステージまでは相当距離があるし、フードを被っている為に顔は一切見えなかった。

 それ故に死亡説、替え玉説が世に飛び交っていた人物だ。

 その人が、今・・・・・・・目の前にいる・・・・・・・。

 司会の声に一斉にレイトの方へ視線が集まり、ざわざわと話し声が聞こえてくる。

 ―――まあ、あのお方がレイト王子殿下?

 ―――天才で、美しいという、あの・・・・・・?

 ―――お噂通り・・・・・いや、それ以上だ。

 ―――わたくし、初めて拝見致しましたわ

 ―――それは私もだ

 水色の透ける髪、ウルトラマリンの瞳・・・・・・。

 ホールの誰もが目を引く、守護神の誰にもない生まれつきの色。




「地球国での出来事につきましては、私に大きな責任があります。それは御存じでしょうが、金星国の件、我が国に一任していただくことは出来ないでしょうか」

 レイトの発言は一見無謀だが、裏世界の議会ではそうではない。

 魔力をより強く持つ守護神のいる国に、より大きな発言権が与えられるからだ。

 以前は金星国が一番であったが、今は麒麟である湊生アレンと、白翼Sランクのレイトがいる。

 そして今、金星国の発言権は0である・・・・・。

 だから他の国の発言で決まったことを鵜呑みにしないといけない。

 次期国王となろう者が敵になった上、魔力を失った守護神を持つ金星国・・・・・・




「太陽国からもその意見に同意致します」サフィールが言い、レイトと綾乃に視線を送る。

「お父様・・・・・・!!」

 守護神継承の儀を行っていない以上、直接的な発言権を持っていない湊生は、ナイス!と綾乃の膝の上に座った状態で心中そう思った。



「太陽国もか!?」

「太陽国の守護神はあの目に掛かることすら奇跡である麒麟を守護神とする国・・・・・・そして、海王星国は白翼Sランク・・・・・この二国に盾突く愚か者など居はいないだろ・・・・・」

「同感だ・・・・・」




「異論のある者は」




 ざわついていたホールは一気に静かになり、誰もが口を噤む。




「では、そのように」



 司会の述べられた結論に、ほっとレイトは胸を撫で下ろした。



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