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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第八章『氷の掟』
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第八章『氷の掟』・第一話『国の責・涙す少年の秘密』Part3





「やめろオオォォォォっ!!」

 レイトはいつも落ち着いていて、どこか大人びていて・・・ここまで取り乱すことは滅多に無い。

 そのため、皆驚いて固まった。

 座り込んで頭を抱えて泣くその姿を見て、フェンはご満悦そうである。

 普通の人からすれば、そんなことか・・・・・という感じかもしれない。

 けれど、守護神にとって、自分の国が成したことに対する責任感は並大抵のものではない。

 そう、レイトの曾祖父も守護神だった。

 寿命が300年ほどである守護神達は、生まれて成人するまで普通の子供のように成長し、そこから死ぬまで成人時の姿を留める。

 340年生きたレイトの曾祖父は、死ぬまでの間にレイトに自分のしたことや後悔を語って聞かせていた。

 いつの間にか―――その重荷をレイトまでも背負ってしまったのだ。

 確かに、守護神はその国の象徴でもある。

 守護神と王家は、国の責任を負う・・・・・・そういうものだ。

 あまりのその冥王星国の責は大きく、そしてそれ以上にレイトは・・・・・・・。

「これだけじゃないぞ。オマエ自身も知らないことがあるのに、本当に止めてもいいのか?」

 レイトは口を噤む。

「海王星の天才王子にして、自らの国と表世界の惑星である海王星を守護する者・レトゥイル=シェイレ。その力は最弱かつ最低の“F”ランク。それが偽りであると、冥王星王はおっしゃった」

「偽り・・・?」

 湊生が驚きの声を漏らす。

「そうだ!嘗て何故Cランクまでは眠ってしまう魔法がかかっていた金星城の中でコイツは何とも無かった?」

 言われてみるとそうだ。

 もし本当にそんな魔法がかかっていたのであれば、だが。

 でも事実、魔法をかけた本人は眠らないとして、Bランクのサラが眠ってしまわないのは当然だ。

 レイトを呼び出そうと計画していて、少なくともCランクまでは眠ってしまう魔法を掛ける筈はない。

 その時から、もしかして・・・・・・。

 レイトは、元々彼の潜在能力が上回っていたからこそ―――影響を受けなかった、ということか―――!?

 そう湊生もレイトも推理した上で、湊生はレイトを、レイトは自身を見た。

 少し遅れてサラも同じところに至ったようで、レイトの方を見遣った。

「本来のランクは白翼のS、スーパーランクだ!!総合的に言うと麒麟や天麒麟には劣るが、魔力だけにおいては麒麟に匹敵する。少なくとも、白翼内では最強の魔力を持つ。“至上最強の白翼保持者”それがレイト、お前だ!」

 レイトの震えが不意に止まった。

 Fランクだと思っていた自分の力がSランクだって?

 自分の力は自分が一番よく知ってる。

 そんなの、ある訳ない。

 幼い頃から力が欲しくて、欲しくて歯痒くて。

 守れるものを力が無い為に守れなくて。

 何度も泣いた。

 火星での自分の行動を思い出すと、レイトはどうしても信じられなかった。

 あの時は確かに、記憶が戻っていなくて力が出せなかっただけと言われればそうかもしれない。

 でも守られてばかりだった。

 さっきは、何とか予知能力が使えた。

 でも本当は・・・・・・運試しだった。

 Fランクなどといった低ランクでは、魔力が安定して出せない。

 調子良く出せていても、その威力は小さく、そしていつ絶えるか分からない。

 十四年間・・・・・期待を重荷に感じて育ってきた・・・・・その僕が・・・・・・?

「スーパー・・・ランク、って・・・レイトが?」

 綾乃やサラは完全に動揺し切ってしまっている。

 湊生も同じだが、リフィアはまだ皆との関わりが薄いためか動じず、ただ黙って話を聞いていた。

「信じられません!そんなのデタラメです!」レイトが叫び、

「何か証拠か、その経緯でもいい。何か無いのか」と湊生が続きを求めた。

「ちょっと!湊生さん!」

「聞こうよ、レイト。それが本当に正しいか、信じてもいいのかは聞くだけ聞いてから判断すればいいだろ?」

「ですがっ・・・」

《レイト君、ゴメンね・・・・・今回ばかりは私・・・お兄ちゃん側につく。どうしても・・・レイトの真実を聞きたいから》

「綾乃さんまで・・・。分かりました・・・、聞きましょう」

 やっとレイトが腹を括った。

「俺も冥王星王から聞いて驚いたが・・・・・・・昔、海王星の守護神の魔力をゼロまで下げるコントロールを、冥王星王はなさったらしい。相当憎かったんだろう。それでレイトの曾祖父は守護神でありながら本来の守護神という名称の意味である“魔力持ち”ではなくなった。だがしかし、その次の代であるオマエは・・・」

「“魔力持ち”・・・」湊生がフェンの言わなかった言葉の続きを紡ぐ。

 フェンが頷いた。

 レイトの曾祖父は魔力も特殊能力も失いながらも、翼くらいは出せたらしい。

 形だけの守護神にレイトもなる筈であった。

 が、運命の悪戯か―――実際のところそうはならなかった。

 因みに魔力を失くし、それによって特殊能力が使えなかったが為に、彼は四国が自分を原因として消されることを予知出来なかったのだ。

「そうだ・・・。魔力をゼロに出来ないほどレイトの魔力が強いということだ」

 レイトの父・トランスは、大人になってから予知能力を手に入れた。

 勿論、はっきりしたものではなく何となく読み取れる程度であるが、それによって助けられたことは多い。

 その能力は、実は息子・レイトが王妃であるエフェリーに宿った時期と一致し、素晴らしい力が潜在していたレイトの影響であった。

 驚きと他のいろいろな感情がごちゃ混ぜになって、レイトは微動だにしない。

 フェンはレイトの前まで近付いてきて、突然胸倉を掴んだ。

 レイトが痛みで呻き、それを見た綾乃人が止めようと体を動かそうとしたが、結界に阻まれて進めなかった。

「俺はオマエが憎い・・・。冥王星王と組んだのは同志だったからだ・・・・・・!!」







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