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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第七章『火の掟』
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第七章『火の掟』・第三話『刃交えぬ戦・交差せし表裏』Part2





「どうして・・・・・・・ここに。お兄様・・・・・・」





「サラ、目覚めたんだってな。そこのレトゥイル殿下も、記憶を戻されたそうで」

「お蔭様で」と社交辞令程度に言葉を発したレイトに、フンと鼻を鳴らす。

 フェンは、やはり冥王星の配下にあるようだった。

 しかも、どうやらディライテの反応を見る限り、身分はそれなりに高い筈。

「今日は顔を見せるだけのつもりで来た。そう冥王星王にも言われているしな。・・・・・ディライテ」

「はい」

「こいつらを片付けておけ。死ぬとこっちとしても分が悪い。軽く遊んでやる程度にしておけ」

「ですが、相手は麒麟です。私共に敵う筈が・・・・・」

「手は打ってある。大丈夫だ」

「・・・・・・承知しました」

 言うや否や、フェンの姿は掻き消える。

 戦闘が始まると察知した一行は、各々構えた。

 ・・・・・と。

 ドクン・・・・・・ドクン

「・・・・・・・っ!」

 徐にテイムとサラが片膝をついた。

 伴って結界も不安定となり、揺らいで、そのまま消滅した。

《サラの守護が・・・・・・!!》

「姫様・・・・!?」

 慌てて綾乃とレイトはサラに駆け寄り、蹲るサラを支えた。

「何・・・・・これ・・・・・苦し・・・・」

 サラの身体から白い煙が立ち、全身を見えなくなるまでに包み込む。

 見れば、次第にサラの身体が成長していき、服装も変化し、その長い髪も肩甲骨辺りまで短くなっていく。

 まるで・・・・・・



「わっ!?テイム、お前・・・・・!!」

 湊生の驚いた声に振り向いた二人は驚愕して目を見開いた。

 先程までテイムが居た場所に、5,6歳くらいの女の子がポカンとした顔でしゃがんでいたからだ。

 と、レイトは誰かに肩をとんとんと叩かれてそちらを見る。

「貴方は・・・・・レウィン・・・・・君?」

 サラの変化は既に終わっており、煙も消えている。

 けれど、とても似てはいるが明らかにサラではなくなっている。

 大人の女性が、不思議そうな顔をして立っていた。

 綾乃には見覚えがあった。

 左側に束ねた髪の毛の房を垂らし、レースのついた桜色のシュシュをして。

 ひらひらした同じくレースの付いた淡いピンク色の服に、ネックレスを首から下げ、抹茶色のバルーンパンツの下に脹脛の中ほどまでのレギンス、それから銀色のパンプスの・・・・・・。

「あら?綾乃はいないのね?」

《砂羅・・・・・・?》

 自然と出て来た名に、綾乃は自分でも驚いていた。

 何故死してはいないとしても精神体だった砂羅が今、実体を持って・・・・・・?

 それに、それに・・・・・・。

 どうして、バンダナの無い状態のレイト君に、レウィン君って言うの・・・・・?

 知ってた、の?

《砂羅。私はここいるよ》

 いろいろと考えながら、綾乃は砂羅の前まで泳いで行った。

 そうすると砂羅は納得したような顔をして、手を出してくる。

 掌の上に乗り、綾乃は砂羅を見上げた。

「お久しぶり。元気だった?」

《うん》

「レウィン君も。バンダナ・・・・・いいの?顔見えるようにしちゃって」

 そう。

 もうレイトのバンダナは、一応してはいるが普通に被っているので顔も前髪も見えている状態だ。

「それを、いつ・・・・」

「金星城に来た日の、夜よ。ごめんなさい、綾乃と話した後に見ちゃった」

「誰かいる気配は・・・・・」と考え込むレイトを見て、砂羅は苦笑する。

「殆ど霊体だったもの。気付かなくてもおかしくないわ」

「そうだったのですか。あと、すみません、今の僕はレウィンではなくレイトなんです」

「どういうこと?」

「僕は記憶を操作されていたようなのです。本来の記憶を取り戻し、今はレイトと名乗っています」

 そう・・・・・やっぱり、そうだったのね、と零す砂羅に、皆驚く。

 どこまで知っているんだ。

 けれど、綾乃は何となく分かっていた。

 だって。

「やっぱりって、どういうことだ?」

 不測の事態に、敵の襲撃を逃れようと魔法で結界のようなものをサラの代理で作り出した湊生が、幼い女の子と化してしまったテイムを抱き抱えてやってくる。

 湊生が麒麟だからとはいえ、流石に大量投入された敵軍を一人で相手出来る筈が無く、そうなれば隙が出来やすい。

 況して、湊生自身いきなり姿が変わってしまった二人に動揺してしまっていて戦うどころではない。

 そうなれば、一旦戦線離脱するしかなかった。

「だって、そっくりなんだもの」

 綾乃を片手で抱きつつ、もう一方の手でレイトの頬に触れた。

「あの人に・・・・・」

 やっぱり、桜井麗人さんのことを言ってるんだ・・・・・・。

 当たってたんだな、私の予想。

 レイトが、表世界の麗人さんと、同じ魂を持つ人なんだ・・・・・。

 両方の世界で、サラはレイトのことを・・・・。

「あの人・・・・・・?」

「ううん、何でもないわ。にしても、どうして私・・・・・・」

 自身を見回す砂羅を見て、綾乃は異変の起こった二人の共通点に思い当たった。






 その身に宿した、宝玉という共通点に。








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