第七章『火の掟』・第二話『少年の一人語り・再来せん彼の戦』Part1
こんにちわ。
僕は海王星国の守護神レトゥイル=シェイレです。
気が付けば、綾乃さんと裏世界でお会いしてもう4ヵ月になります。
僕が金星城を去ったのが半年と一ヶ月前ですから、そういえば姫様と別れたのは綾乃さんがいらっしゃる三ヶ月前のことでしたね。
まったく早いものです。
記憶が戻って間もないのもあるのかもしれませんけれど、つい昨日のことのように鮮明に思い出せます。
あれから半年以上経ったにしても、何だか実感が湧きません。
取り敢えず無事全員の守護神がうち揃い、それなりに旅としましてはいい調子なのではないでしょうか。
私事にはなりますが、僕には非常に気になって仕方がないことがあるのです。
それはやっぱり・・・・・母国の、父上と母上のことでしょうか。
五歳で親元を離れ、最後に海王星国に帰ったのは僕自身の守護神継承の儀でしたから――――四年前ですね。
久々にお会いしたいですが海王星国に行くのは大変危険ですので、絶対無理でしょう。
それでも一年以内には、僕一人ででも一度は帰国しておこうとは思っています。
手近で気になることと言えば。
いつの間にか・・・・・・ほんわかしたこの一行の雰囲気はギクシャクしたものになってしまっていることでしょうか。
始まりは、姫様だったのですが・・・・・いつの間にか伝染してしまっていたようです。
綾乃さんに避けられているような気もしないではないのですけれど・・・・・・僕は身に覚えがありません。
本当にあれ?って感じです。
避けられるとは、悲しいものですね。
綾乃さんが異常に余所余所しくて、淋しいっていうのも本音です。
本当に心当たりが無いんですけど・・・・・・僕、綾乃さんに何かしてしまいましたっけ・・・・してない筈、です。
姫様は、おそらくですけど、僕を銃で撃ったことが原因でのことなのはわかったとはいえ・・・・どう声を掛けていいものか。
非常に難しいです。
そうそう、確かにあの時僕は心臓を打ち抜かれたと思うんですけど・・・・・・何故生きているのかということですけど、それくらいなら姫様には治す力があるんですよね。
姫様が治して下さった訳では無いようですから、どなたかがして下さったんでしょう。
元々守護神は生命力が高いですし、冷静に考えてもそう簡単にはくたばってしまわないものです。
僕が今生きていても、だから別に不思議ではないんですよね。
まあ、心臓撃ち抜かれたなら魔法治療が必須ですが。
何でしたっけ、綾乃さんが仰っていた表世界の治療法――――人工心臓とか、移植?はこの世界に無いんで・・・・・少し医学の発展の必要性を感じました。
表世界のこと、綾乃さんや湊生さんからいろいろ伺いますが、憧れを感じます。
表世界の僕であるらしい桜井麗人さんにも会ってみたいですね・・・・・本当に表世界に関することには何でも魅力を感じてしまいます。
「おーい、レイト。川に水汲みに行くぞー」
「早くしろよー」
湊生さんおテイムさんが呼んでいます。
「はい、すぐに行きます」
では一旦、ここで切らせていただきます。
僕はどうなるのか分からないですけど、もしかしたらまた次も僕が話すかもしれません。
では、失礼しますね。